Jリーグ2階の目線2017 横浜1-1大宮

せめて、人並みの勇気があれば・・・。前半から乱発した、とりあえずクロス。間に合わないと自ら判断してパスを追わないシーン。競り合いを避けて、相手のミスを離れて待つ姿勢。そして、ペナルティエリア内でのシュート放棄。2度目のシュート放棄はGKとの1対1の勝負となる場面だった。彼は臆病だった。勝利よりも彼にとっての見栄えのよい振る舞いを優先した。

しかし、天野純、たったひとりが臆病風に吹かれたから勝ち点2を失ったわけではない。

そう、そして、もう一人。彼に、全盛期の切れ味と思い切りがあれば、試合の結果は、全く違ったものになっていたはずだ。あの日立台での輝くような強いインパクトを、この試合では感じなかった。村上さん。前半から、もっと遠慮なくカードを出してくれれば・・・判定は・・・みんな正しかったじゃないか・・・。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜1-1柏

素晴らしい立ち上がりだ。前からボールを奪いに行く。守備の連動が美しく、次から次へのトリコロールの選手が柏の選手に近づいて圧力をかけていく。ボールが下がる。拍手と歓声。奪い取る。声援が高まる。試合開始直前に大コールを受けて深い礼を返した山中がサイドを駆け上がる。ボールがこぼれて学の前に。ここで外からカーブをかけたシュートの軌道はゴールマウスに向かっていく。

絶叫し、飛び跳ね、隣の仲間と抱き合い・・・浴衣の帯が一瞬で緩んだサポーターは足元がはだける悲劇を防止するために、一瞬の冷静を取り戻す。だが、興奮は冷めない。再びの絶叫。

試合が進むにつれて口々に感想が漏れる。
「やればできるんじゃん。」
「前節が悔やまれる。」
「ぜんぜん、守備の位置の高さが違う。」
「なぜ、これを前節にできなかったのか。」
「あれが、無敗、無失点のプレッシャーだったのか・・・。」

しかし、選手から余裕が感じられるかといえば、そうでもない。学はスローインの判定にクレームをつける。そこから流れが悪くなり押し込まれる。前半の、唯一の悪い時間帯だった。木村さんはアドバンテージの取り方が上手くない主審だ。
「止めないでくれよー!」
この試合3度目だ。
「きっと、木村さんは、前節のウチの試合を見たんだろうな。」
「ここで流しても、チャンスにならないでしょって。」
「どーせ、すぐに下げるんでしょって。」

上々の前半。やりたいことができてきた。大きなピンチも与えていない。これならば、前節のショックを払拭する良い結果を残してくれる、誰もがそう思った。だが、Jリーグは甘くはなかった。

ケイマンが縦パスを前で収める。柏の最終ラインを追う。前半にできていたプレーが、後半は影をひそめる。高い位置でプレッシャーをかけてくる柏に押し込まれる。後半は学が前を向いてボールを持ち、そして山中が外を追い越して、空いたペナルティーエリア内のスペースに天野が侵入するとチャンスが生まれる。だがそれだけだった。人数をかけて2点目を奪うという意図を感じられるシーンが記憶に残らない。

柏の2枚目の選手交代が裏目に出て、クリスティアーノがサイドへ、伊東がサイドバックに移ると、余裕を持って試合をコントロールする時間が生まれた。ここでモンバエルツ監督が打った選手交代はケイマンを下げて喜田の投入。天野をワントップに置くという、過去に見たことのないゼロトップ布陣だった。しかし、トップにいるはずの天野が、柏の縦パスについて下がって行ってしまい、ケイマンが行っていたような前からの守備を出来ずに柏の最終ラインからの自由な配給を許すなど、ピッチ上はギクシャクし、明らかに不慣れを伝えている。柏が息を吹き返す。

その6分後に、前からの守備を一人で受け持っていた喜田が、何を考えたのか焦ってか、ボールを奪い取ろうという守備をしてしまいFKから失点。
「シュートを撃たせない守備だけでよかったのに・・・。」

「ウーゴを入れろ!!」
試合再開となり、腕組みで悩むように立っていたモンバエルツ監督だが・・・。
「あっ、座った。」
動くことはなかった。

残念だが、最後のビッグチャンスに、学はシュートを撃つチャンスが2度あった。だが、撃つ決断をできなかった。日本代表GKの中村の見えない力に屈した。

勝てなかった。2点目を奪い取ろうとする強い意志を見せず、後半はシュート1本だったのだから、この引き分けは、妥当な結果であったと認めざるを得ない。「運が良ければ2点目を」が全ての試合で通用するわけではない。優勝を狙うならば負け試合。残留を目指すならば勝ち試合。ACL狙いならば引き分け試合。この試合が、3つのうちのどれに相当するのかは、サポーターの立場であれば答えは明確だろう。さあ、まだ残り試合は沢山ある。だが開く勝ち点差。ここからの選択は難しくなった。優勝を目指すサッカーを求めるのか、クラブや監督の発言にあるように優勝ではなくACLを目指すのか。布陣もサッカーのやり方も、目指すゴールで変わってくる。

この日の前半は素晴らしかった。特に、川崎戦に先発しなかった選手のパフォーマンスは素晴らしかった。今シーズンの素晴らしい歩みを止めるか、見事なコンビネーションを錆びつかせるか、それとも花を咲かせるか・・・それは、次節からの選手の心次第だ。監督は優勝を目指した采配をしてこないだろう。では、サポーターは・・・優勝を目指して応援するんじゃないかな。その方が楽しい。私は、そのつもりだ。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜0-3川崎

サッカーは難しいスポーツだ。自分たちが100%のプレーをしても勝てる保証はない。なぜならば、対戦相手がいるからだ。100%×100%でがっぷり四つにプレーしてもスコアレスドローということはある。だから、サッカーで重要なのは、相手にミスをさせることだ。どのように相手に圧力をかければミスを引き起こすことができるか、そこで勝敗は決することが多い。

つまり突き詰めていけば、「ミスが多いから負けた」はあり得ない。相手のかける圧力に屈してミスをしてしまったのだ。0-3は屈辱的な敗戦だ。しかも「ミスが多いから負けた」のではなく、川崎の組織的な守備に手も足も出なかったから負けたのだ。守備に絶対の自信を持ちカウンター攻撃を得意とするクラブが、パスの選択肢を失い、川崎の守備に屈したのだ。扇原の持ち味は、中村と小林によって巧みに潰された。家長のファールによるダメージも大きかった。マルティノスはドリブルで持たされて3人に囲まれた。川崎はボールを奪い取って攻撃するための守備が出来ているのがスタンドからでもわかった。準備をし、それを実行した。

一方のトリコロールは引いた。サイドで振り回されることの繰り返し。しかし、サイドから放り込む気などさらさらない川崎だ。ゴールライン付近にまで持ち込まれても中央でクロスを跳ね返せば良いなんて単純な考え方は当てはめられない。では、どうするつもりだったのか。無失点で凌ぎたい気持ちだけはわかった。凌いで、跳ね返して、どのように得点するのか。勝つための意図や準備が見えなかった。デゲネクが開いて、扇原が中央で作る。それを淡々とやろうとしてやらせてもらえなかった。ただ、引く守備以外に工夫は見えず、勝負は、立ち上がりの14分で決した。

「矛と盾の対決」なんて嘘だったのだ。すべての面で川崎に圧倒された。それが悲しい現実だ。

等々力から駅までの重たい足取り。気を抜けば、迷い魔界へ送り込まれてしまう武蔵小杉の道に油断は禁物だ。慎重に、夜道を歩く。会話をしても、トリコロールの良いところがなかなか見つからない。

「ウチの方が2週間の試合間隔があって、コンディション作りは出来たはずなのに。」
「喜田が消極的すぎた。中町の投入が遅すぎたよ。」
「この2週間で、川崎のことを研究して準備出来たはずなのに。」
「予選帰りのデゲネクを、なんで使ったかなー。」
「川崎は、ACLの初戦で浦和に大勝していなかったら、今日は、来週のミッドウィークの試合を意識した選手起用になったはずなのに。」
「全く気にする必要がないベストメンバーだもんな。」
「中村を下げないし。」
「ガスにも楽勝したし、余裕で臨んできた。」
「つまり・・・。」
「今日の完敗は浦和が悪い。」
「そうだよ、浦和が悪いんだ。」
「ふざけんな浦和。」

サポーターは現実からの逃避が可能だ。だが、現実は残酷なものだ。選手は、すぐに、この試合で明白になった課題を解決していかなければならない。これまでの歩みに疑問を挟む余地はない。だが、まだ、実力不足だ。残り試合で、何を伸ばせるのか。選手の心が試される。必要なのは意地よりも工夫する心。言い換えれば心意気だ。なぜなら、まだ、意地だけで栄光を阻む壁を越えられるほど強くはないから。欲しいのは無失点でも連続無敗でもない。勝ち点3だ。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜1-0東京

思い出してほしい。2017年2月のことを。対戦相手は中村俊輔と学についてコメントした。扇原もウーゴも山中もいなかった。松原は守備に課題と言われていた頃だ。びっくりするような勝利だった。だが、あの頃は、実力を半信半疑だった。でも、今は違う。確実に強くなっている。実力が増していくことを実感できる。例えば、中澤のドリブルからのパスの選択。シーズン開幕当初とは全くレベルが違う。これデゲネクから盗み取った新たな技術だろう。松原、山中の守備での一対一の強さ。天野の前進力。

観戦していて気がつく前節との違いは、選手のプレーに一喜一憂し声援と拍手を贈るスタンドの一体感だ。ここにはよそ行きの人は少ない。いや、少なくなった。相手のちょっとしたミスに歓声が起き、適切な守備に大きな拍手が起きる。誰もが当事者になりトリコロールの一員を意識している。素晴らしいスタジアムだ。前節ではアウエーゾーンでしかなかった観戦スタイルが、この巨大スタジアムでは当たり前になっている。

神戸でのスコアレスドローから続く長い無得点の時間に、やっと終わりを告げたのは扇原の飛び出しから。これぞCFGメソッド。ペナルティエリアの角の内側から縦に飛び出して裏に抜け出し、逆サイドへの山なりのクロス。そこに待っていたのはウーゴ。叩きつけたヘディングシュートがワンバウンドし、ゆっくりとゴールに向かって飛んでいく。終盤までのスコアレスの試合において、勝負を決定づけるシュートは、スピードがゆっくりであるほど良い。期待に心踊る時間を経て、ゴールネットが揺れるのを確認すると喜びを爆発させる。

このチームは生きている。大きく呼吸をしながら前進し成長している、サポーターと共に。ただの堅守ではない。あの80年代から90年代にかけての勝負強いトリコロールが帰ってきた。そして珍しく勝つための采配も。モンバエルツ監督は、早い時間にウーゴを投入。仕上げは抑えの切り札・栗原勇蔵。割れんばかりの大歓声に迎え入れられた栗原を加えた最終ラインには松原、中澤、デゲネク、栗原。これはこわい。
「ここにウタカ一人で挑んで、ガスは何をしようとしたんだ?」
中島のシュートに肝を冷やしたシーンはあるが、ペナルティエリアの中に良い形で侵入を許すことはなく、高いボールを入れさせることもなかった。

かつて「月刊(月間)ノーゴール」を達成したことがあった記憶も新しいが、今月は「月間無失点」。2位への浮上。次は川崎戦。柏戦も待っている。9月はホームゲームが少ない。シビれる秋がやってくる。1位は鹿島。追いつくことができるかはわからない。でも、ここまでの歩みは間違えではなかったのだから前進あるのみだ。試合後のスタンドには笑顔が溢れた。次節は皆で乗り込もう、あの等々力へ。昨年の屈辱を晴らすため、忌まわしい迷路から、この日と同じ笑顔で帰ろう。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜0-0神戸

ウォーミングアップのときから、ボコボコと芝が剥げていく。ピッチは緩く踏ん張りが利かないのがわかる。選手が走れば、煙が昇るように足元から土が舞う。真夏の試合でもあり、かなりの消耗戦となることは予想できた。試合開始前後に、メインスタンドの後方にはエアコンが入り、屋根の下と足元から冷気が流れてきたが、スタンド前列、そしてピッチ上にその恩恵はない。レアンドロ、橋本、過去には藤田や小川など、神戸の主力選手にけが人が続出する状況を理解する。

藤谷と小川の仕掛けのコンビネーションに左サイドが押し込まれる立ち上がり。藤谷はドリブル。小川と渡邉がボールを引き出す動きを繰り返す。しかし、両クラブの実力差は歴然。ゲームをトリコロールがコントロールしていく。誰も引かなかった。天野は何度も蹴られ、かなりアタマにきていただろう。しかし耐えた。そしてプレーを妥協せず闘った。シュート数は少なかった。だが、ボールは停滞しなかった。このコンディションの中では驚異のゲームだ。一人一人が無理をして、それでいて無理をしすぎず、パスをつなぎながら何度も追い越しをかけて前にボールを運ぶ。神戸のタイトな守備陣形に対して、逆サイドの裏へのサイドチェンジ一発で揺さぶりをかける攻撃も効果的だった。

逆に、神戸は小川の運動量が落ちると攻撃の糸口を失っていった。ポドルスキーは走らない。そして、ポドルスキーの要求するパスを神戸の選手は出せない。ポドルスキーの見せ場はノーステップのサイドチェンジとパスカットをした守備のシーンくらい。

60分台に扇原と喜田がカードをもらう。さすがにボランチ2枚に退場のリスクが生じると、モンバエルツ監督はいつもよりも早く動く。すぐに中町を呼びタッチラインの外に立つ。ここで、ピッチ上ではパスをつなぎ続けるトリコロール。神戸も奪いにくる守備をできないため、マイボールの時間が長くなる。ふとピッチサイドを見ると・・・。
「あっ増えてる!」
ケイマンも加わって、中町と共に二枚替え。

直後に中澤が神戸の縦パスをカットしダイレクトに前の中町へ。中町は動きながらワンタッチで素晴らしいスルーパスをマルティノスに流し込む。マルティノスからのクロスを折り返しケイマンが飛び込む。これが最大のビッグチャンスだった。

ほとんど何もしなかったポドルスキーに替わってマイク・ハーフナーがピッチに登場する。しかし、これがまた、ポドルスキーを上回る(下回る?)低調なマイク・パフォーマンス。ボールに絡んだのは3度のファールくらい。神戸の選手たちはマイクが入った後に何をやりたかったのだろう。

藤田のロングスローによる強烈なヘディングシュートや小川の仕掛けに肝を冷やす場面はあったものの、神戸の攻撃は組織的ではなく、あまり失点をしそうな気配はなかった。しかし、あまりに足元が悪いため、終盤までスコアレスで進むと、トリコロールはミスからの失点を恐れて慎重なプレー選択をせざるを得ない。暑さで動きが止まることがなかったため、勝てる試合に感じたが、選手の心理を考慮すれば仕方ない引き分けといえよう。

三宮にまで脱出し、神戸牛を口の中で溶かしながら試合を振り返る。
「ポドルスキーにはガッカリ。フォルランの方が100倍よかった。」
「コンディションが悪いのか、周りが理解していないのか、いずれにしても喜田とやりあっている場合じゃないだろ。」
「存在感だけは凄くあったけど。」
「大きいし。」
「動かないから見失わないんで存在感は半端なかった。」
「でも、ウチにポドルスキーが来たら点を獲りまくると思うな。」
「うん、そう思う。」

Jリーグはクラブの総合力でタイトル争いをする。神戸でプレーするポドルスキーを見て、それを実感する。個人力だけで勝てるほど甘いリーグではない。それに対してトリコロールは、確実に地力を上げてきていることを感じた。勝てなかったことを嘆くような試合ではない。この暑さの中でも、テンポよくボールが繋がり、足の止まる選手がおらず、神戸のファンに最後まで脅威を与え続けていたのが、その証明だ。だから、この勝ち点1は小さな前進。このスタジアムのピッチとは違って、足元は固まってきた。大航海時代の到来まで、あとわずか。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜1-0鳥栖

3試合連続の完封勝利。素晴らしい試合・・・というよりも凄みのあった試合だった。松原と山中の勇気。鳥栖の攻撃を止めるというよりも、攻撃を断ち切るといった表現の方がふさわしい。激しさは驚きに、そして感動に通ずる。

学が山中の前のスペースにパスを出す。ドリブルで仕掛ける山中。中にコースをとる。その外側を猛然と駆け抜け、学が山中を追い越す。鳥栖のディフェンダーが学へのパスに警戒して、ほんの少しだけ身体を外に動かした瞬間に、その内側を山中の地を這うシュートが襲う。権田が精一杯のセービングで弾いたボールを、全速力で詰めていたウーゴが押し込む。あまりに見事な攻撃に、もう、勝利を確信する。先制すれば負けなしだ。

マリーシアの中では「身体能力の低い黒人選手」という噂で期待が大きかった元コロンビア代表のイバルボ。この試合の注目選手だ。大柄。イタリア南部のカリアリでプレー。飛んだり跳ねたり身体のバネを生かした躍動感あるプレーを見せてくれるだろうと期待が膨らむが、スピード感に欠け、パワーも感じない。そして、ハイボールに跳ばない。フェアにジャンプするトリコロールの選手の身体を下からさらってファールをとられる。
「なんだよ、良い加減にしろよ。」
また、跳ばない。下から身体をさらわれると空中でバランスを崩し頭から地上に落ちるかもしれない。危険な反則だ。
「跳べよ。」
「なんで、あいつは跳ばないんだよ。」
「跳ばない奴はサガン鳥栖なんだよ。」
「じゃあしょーがない。」
噂通り。期待を裏切らない選手だ。

確かに守備は固い。しかし、次第に天野の運動量が落ちてウーゴが孤立。ボールの預けどころがなくなり、反撃はカウンター一本槍。ドリブルで仕掛けて、すぐにボールを奪われ守備に走ることの繰り返しに。そして、鳥栖はサイドに張る三丸が曲者で、その内側に入ってくる原川からのクロスが危険。この攻撃を凌ぐために、トリコロールはかなり消耗した。
「交代しないのかよ!」
「でも、マルちゃんの在り方を、これでいいと監督が考えているのだったら、今、交代する選択肢もないかも。」
「とにかく耐えろ。」
そこで打った手は、ウーゴに替えてケイマン。原川へのパスコースを絶った。そして、松原が頭から突っ込む闘志あふれるプレーと、奪ってダッシュでパスを受ける拍手喝采の好プレー。このポジションを奪われたくない気持ちが伝わる。

また完封勝ち。また、トリコロールは強くなった。そして、勝ちに徹したところは大きな進歩だ。学は、絶対に決めなかればならない決定機に枠を外す。それでも、スタンドから過剰に大きな嘆きはなかった。「まぁよーがないねー」という反応。学のノーゴールへの過剰な意識は見えなかった。学にゴールさせることよりも、スタジアム全体が勝利に気持ちのベクトルを合わせていたのだ。

三ツ沢の坂を下りながら話をする。
「もうさぁ、学はノーゴールでも良いよ。」
「ゴールがなくても試合への貢献が大きいもの。」
「山中に出したパスが素晴らしかった。」
「パスの後は山中がシュートするときには後ろから追い越している。」
「これは、ウチが優勝して学がノーゴールなのにMVPという流れだ。」
「学ノーゴール無敗伝説を12に伸ばした。」

とりこぼしなく上位対決まで、厳しい闘いは続く。選手の頑張りが新しい道を切り拓く。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜2-2清水

勝てる試合だった。圧勝してもおかしくなかった。ボールも人も止まらない、何処からでも縦を狙い、ディフェンスラインの裏を突く、まさにヨーロピアンの香り。

「Jリーグではあまりやっていないけれど、ヨーロッパでは普通のサッカーだよ、これは。」

そう、常に欧州への道を見据えながら創ってきたトリコロールのサッカーは華やかで魅力的だ。スタンドは期待以上のプレーを目にして沸く。攻撃に守備に拍手が轟く。

「このサッカーだったら、自信を持って友達をスタジアムに誘えるよね。」
「ずっとテンションが高いから、すっげー面白い。」
「ちょっとでも手を抜けば控え選手にポジションを奪われるから、これをやり続けるしかないんだよ、みんな。」

「うぉーーーー!!」
「撃ってきた!」
見事なカウンターからのマルちゃんのゴール。
「きた!!」
「すげー!!」
「美しい!」
狙いすました山中のクロスからの天野のボレー。トリコロールのゴールは美しい。ゴールを奪う流れまでもヨーロピアンの香り。

ただ、気候だけは日本だった。暑さ、湿気、豪雨。両チームの体力を消耗していく。突然に電池切れを起こしたのは中町だった。
「前半から見事なプレーをしていたからなー。」
「ここはすぐに代えないと。」
周囲を見る余裕がなくなり、ほんの少しのコントロールミスからボールを奪われシュートを撃たれる。クロスバーを弾き難を逃れたが、直後に失点。いつものように得意とは言えない監督の選手交代が後手を踏んだ。

プロ入り後、最高のプレーで攻守に大活躍した天野が中盤の底に下がると、トリコロールはパスのリズムを失った。マルティノスは右にいる時間も長く、スムーズにボールを前に運べない。ウーゴ・ヴィエラに良いパスは供給されない。反撃の狼煙は上がらず、逆に鄭大世の力強いポストプレーから作られるピンチを凌ぐ。

激戦は引き分け。

「PKはどうだったんだろうね。何の反則だかよくわからなかった。」
「学は置きにいっちゃったからな。あれならどんなGKでも止められる。」
「ま、そもそもPKかどうかよくわからなかったし、入らなかったダメージがあったわけでもない。」
「あの緩かったPKはフェアプレーでいいんじゃない!?」
「ボールを返したのかよ!」

「しかし、試合がスイングするねー。」
「この試合でもっともスイングしたのは前半に鄭大世をデゲネクが後ろから倒したシーンだな。カードはもらいたくないけれどファールで良いから止めておきたいデゲネクと、背負って自由が効かないから、とりあえずファールをもらいたい鄭大世の意図が一致した。」
「まさに阿吽の呼吸。」
「見事な軽く倒れるファールだった。」
「あれはいいねー。」

この豪雨の中でも観客数は約24,000人も。攻めの姿勢が面白い。手拍子が屋根にこだまする応援が楽しい。インターバルでレベルアップしたトリコロールのサッカーが対戦相手を惑わせ、スタンドを魅了する。暑い夏をの壁を乗り越えろ。壁の向こうに見えるアジアへの扉を開くのは我々だ。

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「浦和酷い負けかた。親善試合は遊びなのかな。」は、どれほど許しがたいツイートなのか?マリーシア感情的サポ論

上西議員がサッカーファンを騒がせている。さすがに、このツイートは酷い。侮辱物だ。

では、上のツイートよりも先に投稿され、発端となった、このツイートはどうだろう。

このツイートの発言者が、上西議員以外の人物であったとしたら、どのように感じただろう。注目すべきは、上西議員が「親善試合は遊びなのかな」と書いていることだ。この発想は、ある程度、サッカー観戦のキャリアを積んで、サッカーを理解していないと出来ない。実際に、浦和レッズはリーグ戦と比較すると緩めの守備をしており、監督も布陣のテスト采配。警告覚悟の決死の守りはなく失点を重ねた(3失点目は単純なミス)。「親善試合は遊びなのかな」は間違えとは言えないツイートだ。それでも猛反発の総攻撃が発生した。このツイートに対して1,144のリプライ(2017年7月17日現在)が付いている。そこには上西議員のツイートへの反論ではなく、上西議員を攻撃するツイートが大量に存在する。中には連絡先を記載してクレーム電話をかける行為を奨励しているツイートもある。

最初に紹介したツイートは、これらのツイートを受けてから投稿されている。

この現象は上西議員が国会議員だから起きたことだろうか。実際には、スタジアム各所でも起きているのではないか。また、さらに広く見れば、こいつと思った標的は徹底的に打ちのめす日本人気質を示した例でもあるのではないか。これは、攻撃を受けた者が自殺に至るケースも多数あるイジメと似た行為だ。

自分は、一度、スタジアムで、総攻撃の対象になったことがある(こちらにも、そのようになる原因は存在したのだが)。試合中でありながらスタジアムのトイレの前に呼び出される、結婚相談サービスの会員に勝手に登録される、新聞や雑誌の文字を切り抜いて作った脅迫状が郵送される・・・などなど、文字で書くと冗談のようなことが実際に起きた。「もう、スタジアムへ行くのはやめよう」と弱音を吐くことはなかったが、その年にリーグ優勝を果たしたときに、これで脅迫は止まるだろうという気持ちになり「これでスタジアムに来ることを続けられるよ」と言って友と抱き合って泣いた。もう昔の話だ。もちろんSNSなど存在していない頃の話だ。その経験があるので、上西議員への総攻撃はSNSだから起きたというわけではないと断言する。そして今回の場合は「許しがたいツイート」であるかよりも、「あいつを許せない」上西議員という人物を標的に指定して総攻撃している面が強い。サポーターの広大な人的ネットワークの中では「あいつならば総攻撃しても大丈夫な安心感」は一瞬にして共有される。それくらいサポーターの人のつながりは強い。

その標的にされる人の属性やきっかけは様々だ。「にわかに何がわかる」と観戦歴の浅いサポーターが攻撃を受ける場合もあれば、逆にコアサポーターやコールリーダーが人格攻撃の総攻撃を受ける場合もある。「女は黙れ」「ろくに応援もしていないのに黙ってろ」・・・何がきっかけに誰が総攻撃を受けることになるか、予想できない。だから、上西議員を攻撃している人に言っておきたいことがある。いつの日か、その正当な理由なき総攻撃の対象が自分に向くことがあるかもしれないから、その覚悟はしておいてほしい。こうした攻撃が、サポーターやサッカーファンの仲間を広げる方向に役立つのかどうか、今一度、考えてみてほしい。野球の応援と比べてサッカーのサポーターは「敷居が高い」「作法にうるさい」「暗黙のルールが細かい」という声をよく聞く。特に若い世代からだ。それはなぜなのか。Jリーグサポーターの閉鎖性が生み出す負の側面、その一端を示した事件だったのではないだろうか。

石井和裕

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他サポから見た「俺たちの浦和事件」応援は誰のものか?マリーシア感情的サポ論

「俺たちの浦和を返せ!」
等々力競技場で去っていく選手バスに乗るミハイロ・ペトロヴィッチ監督に向かって浦和レッズサポーターが叫んだ言葉だ。2017年07月5日(水)明治安田生命J1リーグ 第13節で浦和レッズは川崎フロンターレに4-1で大敗した。「俺たちの浦和」とはいつの浦和なのか・・・そのインパクトのある言葉は、すぐに他クラブを応援するサポーターの間で話題になった。
・ACLを制した、リーグ優勝を果たした、あの強い浦和か?(Jリーグの優勝は1回)
・ビスマルクとラモスにヘディングを繰り返し繋いでゴール前に運ばれ武田にゴールを奪われたJ開幕当初の浦和か?
・福田が優勝に向けて快進撃を続ける中で「負けないよ!」とインタビューで答えた頃の浦和か?
・J2降格が決まってしまった後にVゴールを決め喜べない勝利を味わった頃の浦和か?
・今のサポーターの基礎を築き赤い旋風を巻き起こした1992年の浦和か?

7月8日(土)までは、「俺たちの浦和」は他クラブのサポーターからは笑いのネタでしかなかった。そして、勝てなければミハイロ・ペトロヴィッチ監督が辞任するという2017年07月9日(日)明治安田生命J1リーグ 第18節の新潟戦に注目が集まった。浦和レッズは逆転で勝利。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の首はつながった。

試合後にゴール裏で事件が起きる。Curva NORDと言われるゴール裏北スタンドに陣取るコアサポーターのコールリーダーが「今日はやめよう」とトラメガで発言。勝利後に歌うのが恒例(必ず歌うというルールではない)の「We are Diamonds」を歌うことを拒絶したのだ。

コアサポーター以外のエリアからブーイングと罵声が飛び、Curva NORDの意に反してスタジアムは「We are Diamonds」の歌声に包まれた。トラメガで喋るコールリーダーの横を無視するように、たくさんのサポーターが出口に向かっていく。「We are Diamonds」が歌われる間に、コールリーダーの周辺に空席が増えていく。そして、何本かの動画の中に、こんな女性の声が入っていた。

「あなたたちだけのレッズじゃないでしょ。」

ここで気がついた。笑いのネタになっていた「俺たちの浦和」は、広島からの流入が始まる前の浦和を指してはいるものの、そのベースにあるのは過去の浦和レッズを指す時間軸から表現された言葉ではなかったことに。「あなたたちだけのレッズじゃない」その言葉で表されていた。「We Are REDS !」全ての浦和レッズサポーターが浦和レッズの一員であり、Curva NORDはレッズサポーターの代表者ではなかったのだ。ただ、コールを扇動する役割を担っていたグループに過ぎなかったのだ。

突然に起きたわけではない。過去にも近い事件は起きていた。1997年のこと、駒場スタジアムの東側立ち見席に陣取るURAWA BOYSは太鼓を使用しない応援の推進を試みていた。しかし、それに同意しなかった西側立ち見席に陣取るサポーターが太鼓を持ち込み、応援方法は混乱。最終的には太鼓を再び使用することになり、現在に至っているのだ。

つまり、サポーターの世代交代や「JAPANESE ONLY事件」による「クルバ・エスト」の解散を経ても、浦和レッズサポーターのスピリッツは変わっていない。スタイルは引き継がれ、ゴール裏を引退したベテランサポーターはメインスタンドやバックスタンドで声を枯らして応援し続けていることを証明した。

私は浦和レッズサポーターに嫉妬した。そして、ゴール裏でコールを扇動しているコアサポーターは「応援は誰のものか?」について、改めて学んだのではないだろうか。

石井和裕

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Jリーグ2階の目線2017 横浜1-1広島

厳しいレギュラー争いになった。帰国したデゲネクはピッチ上にはいない。バブンスキーはポジションを失い、代表招集で離脱したマルティノスの穴を埋める場所に起用された。かつて欧州のクラブの移籍した日本人選手が「代表招集で日本に帰国し、代表戦後にクラブに戻ってみるとポジションがなかった」などということが数多く起きたが、それと同じことがトリコロールでは現実に起きている。ポジション争いを勝ち取った者がスターティングメンバーとしてピッチに立つ。

広島の指揮を誰が執るのか、試合直前まで知らなかった。調べてみると経歴が出てきた。日本リーグ2部の1990/91シーズンでアシストランキング3位。
「うーむ、微妙すぎる。」
「得点ランキングではなくアシストランキング。」
「しかも日本リーグ2部。」
「当時の2部のレベルを考えると、ポーンと蹴って誰かが決めるパターンが大半だったからな。」
「つまり、たくさんゴール前に蹴ったということか。」

試合開始早々に積極的な仕掛けでチャンスを作る。しかし、2人でボールにチャレンジするが全体が連動しているわけではなかった広島の守備は、時間が進むにしたがって強固になっていく。明らかにバブンスキーの左ウイングは機能しておらず、山中の困惑が見える。ボールは動き、停滞感はなかったが攻めあぐねた前半。監督解任直後の広島は、完全に残留争いモードで割り切った試合の準備をしてきていた。

後半に入ると、バブンスキーのポジションが、幾分か前になりワイドからの仕掛けも出来るようになる。それでもダイナミックさに欠けると、学と左右の位置を入れ替える。

「倒れるなよ!」
「簡単に吹っ飛ばされるな!」
金井が倒れ、誤審をアピールするブーイングも飛んでストレスが最高潮に達すると、そのエネルギーがスタンドの熱を上げる。大観衆とは言えない観客数でありながら、今シーズンで一番の音量の手拍子。声援。我々は勝てる。勝ち進むことができるという期待が大きな一体感を作り出す。ボールを奪い取りカウンター。大歓声。中澤がドリブル。大声援。惜しいシュートに揺れる。

モンバエルツ監督はバブンスキーの左サイド起用という誤った手を講じてしまったが、後半の選手交代は早めに、しかも攻撃的に。今シーズは、苦しい試合展開から2得点してチームを救っている「切り札感までは無い切り札」前田を投入。見事な抜け出しからスルーパスを受けて、強引に得点を強奪する。待ちに待った先制点。大音量の絶叫とともに跳ねる。
「すげーゴールだ!」
「よく決めた!」

守りきるか、もう1点を奪いに行くか、判断の難しい時間が残る。そして、得点の直後に追加点の絶好のチャンスが飛び込んできた。しかし決まらない。広島は、途中投入された茶島が中盤の深い位置からドリブルで仕掛けて、守備に揺さぶりをかけてから鋭いパスを打ち込んでくる。あの攻撃に対応が後手を踏んだ。そして、持ちこたえられなかった。

悔しい引き分け。誰かが手を抜いたわけでもなく、油断を漂わせるところもなかった。引き締まった好ゲームだった。その証拠に、試合後も多くの観客は一気に帰るわけではなく、選手たちの戻りを待った。大きな拍手が贈られた。前半のスコアレスも、終盤の盛り上がりを生み出す溜めであったと考えたい。あのストレスがあったからこそ、手拍子を主体とした応援と、成長し前進するクラブの姿がシンクロした。

「でも、残留争いのクラブに、また優しさを提供してしまった。」
「さぁ上に行くぞ!というところで立ち止まる。」
「こういう試合では、どうしても勝てない。」
「でも、負けたわけじゃない。」

そうはいっても、どうすれば勝てたのか、なぜ勝てなかったのか、試合後の会話は続く。

「なんかさぁ、前半の攻めあぐねを見たときにさぁ、ここで『俺たちのマリノスが帰って来た』って思っちゃったんだよねー。」
「なんか、ここで勝てないのが『俺たちのマリノス』だよね。」
「俺たちはさあ、『俺たちのマリノス』を返せとか、ぜんぜん言っていないのにさぁ・・・。」
「ここで帰って来ちゃうんだよ。」
「しばらく忘れていたのに。」
「帰ってくるなよ『俺たちのマリノス』。」
「あいつらが等々力で『俺たちの浦和を返せ』とか言うから、勘違いして『俺たちのマリノス』が帰って来ちゃったじゃねーか。」
「だからさぁ、浦和サポーターが悪いんだと思うわけだよ。」
「結論としてはそれだ。浦和サポーターが悪い。」

勝てなかった。しかし、涙がこぼれそうになるほどの大音量の手拍子に、確かな手応えを感じた。まだまだ、このクラブの進化は止まらない。上を目指そう。進んでいける。

<試合後のコメントはこちらをご覧ください。>

<様々な目線から捉えた試合>

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