Jリーグ2階の目線2017 横浜0-2柏

残念な完敗だった。脚に違和感を持つ学は何もできなかった。

「サイドで勝負できないから中央に動くのだけれど、それはただ逃げているだけになるから意味をなしていないんだよね。」
「あの場所だと、いてもらわない方が、まだ他の選手がやりやすい。」
「やっぱり交代せずに最後まで使わないとダメなのかなー。」

目の前の学が不調で、いつものような仕掛けがないため、金井のプレーに戸惑いが見える。逆サイドの前田は、気が利いた、状況に合わせたプレー選択をするのは苦手だろう。自分の持ち味で突っ走るタイプ。逆サイドも息詰まる。

「こうなると、マルちゃんの方が、ひとまず受けてくれるだけ良いということなのか。」

序盤は互角だった。広島戦で浴び続けたシュートの教訓からか、モンバエルツ監督は守備の立て直しを図った。バブンスキーに代わって先発メンバーで起用されたのは扇原。天野を一列前に出す。これが功を奏した。危ないピンチは無かった。だが、不運な失点から気落ちし、追加点を奪われてからは、攻め手を失った。学が不調なのは見ての通り。そして、喜田が弱気なパスを連発する。ボールの収めどころがないのだ。

モンバエルツ監督は、現在のウーゴ・ヴィエラとバブンスキーの併用では守備が持ちこたえられないと考えたようだ。だから、バブンスキーを投入して攻撃のスイッチを入れるのと引き換えに、ウーゴ・ヴィエラを伊藤翔に交代して守備のケアも行ったのではないか。1+1は1.3くらいにしか攻撃面では作用しない。それが明らかになった雨中の一戦だった。我々は、この仮設スタンドのスタジアムに勉強しに来た。勝負はできなかった。

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Jリーグ ルヴァンカップ2階の目線2017横浜0-2神戸

忘れられているかもしれないが、モンバエルツ監督はリーグ優勝を宣言していない。明言しているのは「ACL出場権を狙うこと」「カップ戦タイトルを獲ること」だ。昨年のリーグ戦順位が二桁ということもあり、軽々しくリーグ優勝を口にすることはできない。だが、カップ戦に関しては、獲ることは十分に可能だという考えだ。その上で、この試合のメンバーがセレクトされている。起用された選手は、監督の期待に応えられただろうか。

驚いたことに、時間が進むにつれて、このチームを牽引しているのが遠藤だということが判ってくる。今シーズンの闘い方を、リーグ戦と遜色なく、そのまま実践できているのは遠藤なのだ。だから、遠藤をのプレーを見ると、不思議な安心感がある。「あ、いつも見ているトリコロールね」という心地だ。前田や新井のように、リーグ戦に出場している選手たちからは、今シーズンのやり方を感じる。だが、どうしても、それを感じられない選手もいる。選手の前をパスが通過するシーンが目立つ。走るべきタイミングに走れていないからだ。闘う姿勢や、やる気だけではサッカーの課題は解決しない。失点すると積極性が不足し、試合は徐々に停滞していく。

試合が動き、スタンドから歓声が続けて上がるようになったのは、背番号41の山田がピッチに登場してからだった。すぐに、中盤の底から、左サイドを駆けて、パスを呼び込む動きを仕掛ける。山田の動きで、やっといつものトリコロールが帰ってきた。しかし、時間切れ。ゴールを奪うには、あまりに与えられた時間が短かった。

試合後のスタンドから選手に贈られる声に、いつもの熱が足りなかった理由は、負けたからでも、気温が低かったからだけでも、古河の社宅が消えてしまったからでもないだろう。試合終了直後には、ブーイングも聞こえた。

思い返してみれば、グループリーグを1位抜けした昨年も、2試合を終えて勝ち点1だった。だから、今年も、まだ道を見失っていない。だが、ピッチ上の彼らが、このクラブでプロサッカー選手として歩んでいくための道幅は意外と狭い。次の世代が、すでに闘いには参入してきているのだ。それを、どのように受け止め、次の試合に臨んでくるのかに注目したい。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜2-1磐田

ここまで負けて失うものが大きな試合は、25年間のクラブの歴史の中で数えて3つしかない。1つめは2001年11月24日。敗れれば降格の危機があったJリーグ最終節。神戸ウイングスタジアムでの試合だ。2つめは2007年8月11日。横浜FCとの「最後のダービー」。この磐田戦は、ただの一試合ではない。まさに、クラブの尊厳を賭けた一戦となった。

立ち上がりから両チームともに動きが硬い。金井など、明らかに考えすぎでシンプルなプレーをできない。そして、なぜか60分を過ぎると、トリコロールの足が止まる。
「まずい。このままだとやられるぞ。」
「なんで、お休みしているんだ!!」
スタンドに追い詰められた雰囲気が漂う。この試合は、絶対に勝たなければならない試合なのに。そんなとき、目の前に起こったのは、金井の完璧なトラップ。最もシュートを撃ちやすい場所にボールを置き(止めというよりも置きだ)、素早く、そして余計な力をかけることなく滑らかに脚を振る。ボールはゴールに吸い込まれていく。
「うぉーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「決まった!!!」
「すげーーーーーーーー!!!!」
揺れるスタンド。倒れる人。ぐしゃぐしゃに、もみくちゃになって拳を突き上げる。
「誰だ?誰が決めたんだ!?」
「金井だ!!」
「金井が決めたぞ!!」
大抜擢あり、挫折あり、不祥事あり、移籍あり・・・それでも、このクラブに食らい付いてきた金井が、このゴールを決めたことに大きな意味がある。金井に、ピッチ上の選手が、そしてベンチから仲間が駆け寄り祝福する。

それにしても酷いレベルの試合だった。落ち着きなく、高い技術を披露するシーンも少ない。特に、中盤にぽっかりと空いた大きなスペースを磐田に自由に使われることで、スタンドからは何度も悲鳴が上がった。このような守備のやり方には、このスタジアムは慣れていない。

しかし、リードを奪うと。モンバエルツ監督は、これを選手交代で解消して見せた。扇原を守備的トップ下で起用。右サイドには遠藤。国際試合で修羅場を経験してきている扇原は試合を落ち着かせる見事な働き。確実に磐田の攻撃の速度を低下させていく。遠藤は、デビュー以来、最高の気迫で駆けた。スタンドからの声援が、彼を後押しする。こうなれば、孤軍奮闘していた松原も活きる。アディショナルタイムに最後までボールを追い込んでコーナーキックを奪ったシーンでは、バックスタンド2階席は総立ちになった。さらには栗原の投入。そのときの歓声は、マルティノスの先制シーンに匹敵する大音響。「絞めて勝つぞ」という決意がスタジアムを一体化させる。

苦しい試合を勝利する。この勝利に爽快感がない。残ったのは、選手への感謝と安堵。我々は、このクラブの尊厳を守り、行くべき道を見失わなかった。降格時に強豪としてのアイデンティティが崩壊し、あらたなクラブのブランド構築を進める磐田とは、目指すものの違いを応援で、そして選手はプレーとコメントで表現した。我々は次の航海に向けて錨を上げた。

試合前、メディアが、中村俊輔のプレーに期待をするトリコロールサポーターを選んで取材していた。メディアのあては外れただろう。そして、多くのトリコロールのサポーター自身も、このような試合になるとは予想していなかった。例えば、私は、中村俊輔にブーイングすることになるなど、試合開始まで思っていなかった。選手紹介ではブーイングをしないと決めていた。しかし、試合が始まると、大きなブーイングが中村俊輔には浴びせられた。私も、その感情に共感して、目一杯のブーイングをした。

ベテラン選手の選択として中村俊輔の移籍決断を理解していた多くのサポーターが、人間・中村俊輔の度重なる発言に反発した。試合前の2日間のスポーツ新聞に掲載される記事は、磐田のメディア戦略もあって(名波が仕掛けた)、ナーバスな気持ちをだめ押しで刺激した。メディアも、中村俊輔も、磐田の関係者やサポーターも、日産スタジアムは中村俊輔の帰還を歓迎するだろうと考えていただろう。だから「凱旋」などという見出しまでが使われた。しかし、日本のプロサッカーは成熟した。クラブとサポーターの絆は、この25年間でとてつもなく太く強固なものになっていた。過去の功績や選手個人のキャラクターも大切だが、愛するクラブを守りたい絆は、クラブを傷つける発言を続ける者に我慢ならなかった。そこにメディアは気づいていなかった。そして、ピッチ上のプレーだけがプロサッカーではない。オフザピッチも含めて、全てがプロサッカーだということを、この25年間で私たちは学んできた。だが、なぜか不思議なことに、欧州生活の長い偉大な10番だと言われた選手は気がついていなかったようだ・・・いや、自分自身の希望する世界観を維持するためには、現実に気づきたくなかったのだろう。もし、中村俊輔が指導者としてトリコロールに戻る希望を持っていたとしたら、大きな過ちを犯した。おそらく、それを中村俊輔が認めるには長い時間を要するだろう。

トリコロールは勝利した。激しい守備を免除された中村俊輔は10番のプレーを楽しんだ。ババを引いたのはジュビロ磐田だけだった。
ところで、松井大輔はどうしたのだろう。

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試合の思い出は都合よく変わる、久保のブレイクとともに。マリーシア感情的サポ論

2011年12月29日15:00キックオフ。国立競技場は延長戦には入り、すっかり空は暗くなっていた。95分に大黒が、職人芸とも言える見事なシュートを決めて、横浜F・マリノスは格下の京都サンガに追いついた。天皇杯最多優勝を狙う名門クラブが、格下のクラブに95分に追いつけば、まず逆転勝ちの流れだ。しかし、信じられないことに116分と120分に得点を追加したのは京都サンガ。横浜F・マリノスは天皇杯準決勝戦で敗退してしまう。

この試合は、長く屈辱的な敗戦として語られてきた。まさかの敗退。
「あの流れで負けるかよ。普通、押せ押せで勝つだろ。」
という落胆。そして、翌日には木村和司監督の電撃解任。多くの横浜F・マリノスサポーターは、この試合のことを口にするのを避けてきた。

ところが、それから5年。状況が変わった。この屈辱の試合は、自慢できる試合になった。
「絶対勝ちパターンだったのに、負けるんだよ。信じられないだろ。誰にやられたと思う?それが、まだ18歳のときの久保裕也にやられたんだ。あいつ、当時から一味違ったよ。凄いゴールだった。」

そう、今や日本代表のエース格に成長した久保裕也を、誰よりも早くから見ていたかのような語り口。サポーターは試合の思い出を都合よく変える。事実は1つ。でも、サッカーに真実など、どうでも良いことなのだ。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜1-1新潟

惜しい試合を落とした。前半と比べると、後半は良いカタチが減った。
「やっぱり、浦和とか札幌とか守備の弱いチームだったから、あの攻撃ができたのかなー。」
上々の滑り出しだった今シーズンだが、鹿島、新潟と守備の強いチームとの対戦では、華麗な連続攻撃を披露するにまでは至らなかった。だが、それは結果を見ればのこと。そのプロセスにおいては、昨シーズンとの違いを、この試合でもしっかりと披露できている。

「枠内シュートだ!」
試合開始から2分も経たずに枠内シュート。積極的な攻撃姿勢。初先発のウーゴは、すこしばかり無理な体勢からでもシュートに持ち込むことができる。斜めに長い距離を走ってニアに合わせる得意のプレーも楽しみだ。とにかくゴールに向かっていく姿勢に胸を打たれる。バブンスキーもコンディションが上がって来たようでドリブル回数が増加。意外性のある間合いで敵を欺きスタンドを沸かせる。

しかしこの試合は難しいものになった。おそらく原因は学の怪我の影響。ドリブルに緩急の変化はなく、踏ん張りが効かずに倒れることも。ボールをもらってゴールへ一直線という攻撃を見せることができない。それゆえにか、逆サイドのマルディノスの気負いが裏目に出る。解説の水沼貴史は、こう言っている。
「マルティノスの魅力はドリブルではなくてランニングだと思うのです。」
ところが、繰り返されるドリブル。いや、フェイントまでであって、持っている時間の長さの割には、あまりボールは前進していない。
「持ちすぎだよ。」
「そこでパスしないと!」
「パス出せよ!」
「持ちすぎる…うぉーーーーー!!」
「すげーシュート!!」
「なんだそりゃ!?」
「うわーマルちゃんごめん!すいません!」
まさかのスーパーゴール。

サッカーとは理解に苦しむスポーツだ。あれほどドリブルで停滞感を出し続けたマルちゃんのスーパーシュートで得点できた。この後もマルティノスは残念なフェイントを繰り返すというのに。そして反撃に出てくる新潟。これを主審の荒木さんの密着マークで凌ぐ。タッチに出したボールは、ボールボーイが素早く戻す。
「そこ一気に行こう!」
「あれ、スローインを受けに来る選手がいない。」
「なんだよ、これ。主審が守ってボールボーイが素早くパスして・・・試合の流れを読めていないのが選手だったか。」
その直後、天野の素晴らしいクロスをどフリーのウーゴが外す。嫌な雰囲気が出た直後、今度はマルティノスとは逆で、あれほどボール奪取で大活躍した中町のバックパスのミスで失点し、勝ち点2を失ってしまうのだ。

決定機を多く作ったのはトリコロール。新潟の決定機はゼロといっても良い(あのゴールだけだった)。

つまり、試合の結果は紙一重だ。やるべきことをやろうとする姿勢は継続している。勝利を目指して全選手が闘っている。例えば、些細なことだが、選手交代で外に出るときのウーゴの姿。試合の流れを止めないために奪取でピッチ外へ。ピッチに下がった後に「まだやれる」とアピールしていた松原。選手が一丸になっている。

勝てなかったことは残念だ。だが、希望の見える引き分けだった言えるだろう。次のホームはビッグマッチだ。選手一丸の強さを見せつけるときが来た。

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Jリーグ2階の目線2017 横浜3-0札幌

まさかの開幕2戦連続の3得点。またしても美しいゴールを連発。3-0の快勝。元レッドスターの2人は連続ゴール。豪州代表のデゲネクは1人で3人を倒した。強い。勝ち点3を奪取し、次節の鹿島戦への勢いをつける。

選手たちは、自らの発見した課題を解消し、ステップアップしていく。サイドに走りこんでくる天野のプレーは何度も札幌ゴールを脅かした。バックステップの隙を突かれたデゲネクは、試合前から半袖短パンで、一人、バックステップからのヘディングの練習。ゴール以外の自らのプレーに不満だった前田は積極的なドリブル。

札幌は、守備を始める位置は深いが最終ラインが浅くコンパクト。更には、厳しくコンタクトしてくる。ファール後に謝罪するもののかなり際どい。そしてトリコロールを苦しめたのは試合開始前に撒き過ぎた水。選手が足をとられる。うまくいかない試合展開の中で選手たちが声をかけあう。天野のセットプレーのときには、Jリーグ史上最も可愛いキャプテンが、フィールドプレーヤー全選手に自ら回って声をかけ、大きなジェスチャーでプレーに注文をつける。

トリコロールがゆっくりとパスを回すことはなかった。昨年までの堅守遅攻の行き詰まりから解放されたトリコロールは、後半に一気呵成に攻め込み堅守速攻でスタンドを沸かせた。何が起きたのか、一瞬、わからなかった。だからゴールネットが揺れて歓声が起こるまでの間に、小さな間が空いた。それほど、バブンスキーのゴールは難しく、また芸術性が高い。後ろからのボールを左足のアウトで巻いてゴールマウスへ。こんな男を練習生として地球の裏側にまで連れてくるとは、CFG恐るべし。

そしてケイマン。ごっつあんゴール。それが良い。ストライカーは難しいことをする必要がない。良い場所で簡単にゴールを決めるのが最も良い。スタンドから祝福の声援と歓声。
「斎藤だけが喜んでいない!」

「昨年までは弱点だった選手交代なのに。」
「今年は選手交代すると戦力がアップするぞ。」

パスを預け、天野が左サイドに回り込んで縦に走る。そこにパスが出る。速くて低いクロスを入れると走りこんできたウーゴ!GKの股を抜いたシュートはゴールへ。
「素晴らしい!!」
「見事!!」
「天野も凄い!!」

昨シーズンに広島の佐々木に悪質なタックルを食らわして靭帯断裂に追い込んだ記憶も新しい札幌の横山が、ウーゴのファールをアピールしている。プレー再開後もウーゴの腕を引っ張るなど負け惜しみ(横山がウーゴを止めようとウーゴに手を伸ばさなければ横山が倒れることはなかった)。札幌は前半は見事な闘いぶりだったが、肝心のセンターバックが、このような選手なのが惜しい。逆にトリコロールはギラギラしている。誰も油断できない。なぜなら、敵は札幌にあらず。いつ誰にポジションを奪われてもおかしくない選手たちは、ボールをもらえばゴールに向かって突進する。結果を残さなければならないのだ。少しばかり無理なコースであってシュートを狙う。ゴール前のシーンが増える。それは、サッカーという、この単純なルールのスポーツの、最もあるべき姿だ。その単純な面白さがスタンドを沸かせる。

試合終了。3-0。前節に続いてスカッとする勝利。三ツ沢の坂を下る足取りも会話も軽い。
「鹿島戦は、そう簡単には勝てないと思うけれど、けっこうやれると思うんだよ。」
「松原が持ち味を発揮したし。」
「これからウーゴのコンディションが上がってくるからな。」
「でも、この勢いでハーバーを食べるとウーゴ、やばいぞ。」
「ただ、この調子でいっても、そう簡単じゃないですよ。」
「デゲネクは6月にコンフェデで抜けるんですよ。」
「マケドニア代表のワールドカップ予選もある。」
「神戸のアウェイには行きたいな。だって、ウチのスキーの方が神戸のなんとかスキーよりも安くて凄いぜ!!」

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Jリーグ2階の目線2017 横浜3-2浦和

「シーズンあけまして、おめでとうございます。」
「おめでとう。」

シーズンが無事に幕を開け、こうして、しばらくぶりに仲間が顔をあわせることを祝う。だが、多くのサポーターは「無事」とは、程遠い心境に追い込まれたシーズンオフだった。年が明けて、これまでにない的確な補強、そして練習試合での新戦力の評判の噂を聞き、期待は大きく膨らんではいたが、半信半疑というのが正直なところだろう。キックオフ時間は12時35分。他のどの試合よりも早い。2017年のJリーグは、私たちによって始まる。

ピッチ上をトリコロールが躍動していた。昨シーズンに年間勝ち点1位を獲得した浦和を、立ち上がりは圧倒。学の仕掛けが2度、同じ形で繰り返され、バブンスキーが折り返されたグラウンダーのクロスからのシュートを繰り返す。同じ形だが2本目のシュートは鮮やかにゴールネットを揺らす。

「凄い!!」
「美しい!!」

新生トリコロールのお披露目には、贅沢すぎる程の見事な型を見せつける。躍動している。選手に迷いがない。誰もが前に仕掛け、速い。

予想通り、無失点とはいかない。不安定なディフェンスラインを破られ、またミスも重なり逆転を許す。さすがに、浦和は実力者。ケイマンへのパスコースを塞ぎ、両サイドにおいては、学のサイドからの攻撃で、学の位置を後ろに下げようとする。トリコロールの縦への推進力が鈍る。ボール保持率は試合終了時で40%を切った。だが、反撃の機会を、虎視眈々と伺った。プレーに悲壮感はない。

途中交代で投入された選手たちが積極的に仕掛け、再び、決定機を創り始めたトリコロールが、終盤に追いつき、アディショナルタイムに、またしても学からのグランダーのクロスが中央に送られ、今度は前田が、狭いコースを正確に突いて逆転。大興奮の熱狂に包まれて、2017年のJリーグ、最初の試合は華やかにフィニッシュ。

「俺はさぁ、トルシエが言った『ナカムラがいるとベンチが暗くなるから』って意味が、ちょっと解ったような気がするんだよ。」
こう試合後に語ったのは、マリーシアのメンバーで、最も中村俊輔を長く深く愛した仲間の一人だ。2002年の日韓ワールドカップのメンバー発表の際に、中村俊輔の名前が読み上げられることはなかった。その際に日本代表監督のトルシエが「ベンチが暗くなるから」と説明に加えた。当時、サポーターは中村俊輔を擁護し、トルシエは強く批判された。

時は15年を経て、いまだにプレーが錆びない中村俊輔はサッカー界のアイドルのポジションを維持し続けている。このオフでの磐田への移籍は、大きな騒動を巻き起こした。レギュラー選手は、極めて少人数が移籍しただけなのにもかかわらず「大量離脱」という文字が躍ったのは、中村俊輔の存在感が故にだろう。そして、この試合で、私たちは中村俊輔の存在感を、あらためて知ることになった。
「今日の選手のプレーぶりは明るいもん。なんかノーテンキなくらいに仕掛けてさぁ。」
「やるべきことが決まっている感じだったね。」

「俊輔さんの求めているサッカーだったら、このタイミングで動かなければならないかもしれない。」「俊輔さんのパス選択だったら、ここは、一度、後ろに下げて作り直すかもしれない。」などなど、そんな遠慮や迷いが感じられたのが、昨シーズンのトリコロールだった。選手たちは、モンバエルツ監督の目指すサッカーと、中村俊輔の好むサッカーとのギャップに折り合いをつけることで苦心していた。遠慮し、迷っていた。モンバエルツ監督の目指すサッカーは、おそらくずっと変わっていない。なぜならば、モンバエルツ監督就任の直後のサッカーは、昨シーズンよりも、この日のサッカーに近かったからだ。そして、中村俊輔の目指すサッカーも、また、すっと変わっていなかった。

バブンスキーのポジションは「10番のポジション」ではなかった。バブンスキーを経由してゲームをじっくりと組み立てるという考えはなさそうだ。天野のポジションは少ないボールタッチでボールを素早く動かす役割だった。そして、天野に限らず、突然に前線の学やマルティノスに送り込まれる対角からのロングフィード。これまでのJリーグでは、あまり使用されなかったパスが多用された。それが、プレーから感じる明るさだった。このサッカーには悩み考えている時間はない。サイドからはゴールに向かってのドリブル。マリノス誕生から25年。木村和司、中村俊輔に引き継がれた「日本の10番がゲームを創るサッカー」は、この日で終わりを告げた。私たちは、かつてない、スピーディーなサッカーで、この一年間を闘う。

2017年のJリーグ開幕と同時に、私たちは中村俊輔の存在感から解放されたのだ。新しい背番号10はサイドアタッカーが背負った。

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マリノス三大期待はずれ助っ人

まず、皆様に申し上げたいことは、助っ人には当たり外れがあるということです。そして、期待されていなくて外れた場合には記憶にすら残らない。そんな助っ人たちが多々いる中で、「期待はずれ」と記憶される助っ人は、それなりにサポーターを楽しませてくれたと言えます。

 

1 不幸にも膨らみすぎた期待 バスティアニーに

アルゼンチンリーグ2部のボカ・ウニドスという謎のクラブに所属し、以前の所属クラブもイタリア セリエC1、ベネズエラ プリメーラディビジョン、イスラエル プレミアリーグながら、絶大な期待で迎え入れられた。なぜなら、ネット上で公開されていたプレー動画のデキが、ものすごく良かったからだ。実力をはるかに上回る期待が膨らんでしまったという珍しい助っ人だ。目立った活躍をできず、さらには右眼網膜剥離で手術。そして、東日本大震災で帰国した家族との生活を選んだ本人の意思を尊重し契約解除となり日本を去った。

 

2 怪我の久保、安貞桓の穴を埋めるはずが怪我持ちだった アデマール

エースの久保と安貞桓が怪我。迫っている過密日程。そこで、韓国の城南一和に所属し、トリコロールを相手にA3杯とAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でゴールを挙げたアデマールに白羽の矢が立った。かつてはVfBシュトゥットガルトにも所属した経歴。シーズン開幕ギリギリに大きな期待で迎え入れられたが、入団直後に怪我が発覚。明らかにコンディションが悪く、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の1試合出場のみでの帰国となった。

 

3 3年契約の高額助っ人はプロ・インスタグラマーだった カイケ

得点力不足に泣くトリコロールが獲得した待望のストライカー・・・だったはずだ。発端はツイッター。シーズン中にブラジル時間に合わせて深夜にツイートを多発することでサポーターが不安視。その後、コンディション不良からかベンチ外に。川崎戦開催中に銀座で撮影した写真をインスタグラムに投稿するなどが問題になり、理由のない遅刻の常習も発覚。無期限練習参加禁止処分となる。その後もツイッター、インスタグラムへの投稿は止まらず戦力外に。しかし、3年契約の違約金や高額年俸がネックとなり完全移籍に至らず。レンタル移籍となった。

 

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第96回天皇杯2階の目線2016 横浜2-1G大阪

試合を終えて帰宅してから知ったのだが、ガンバ大阪は天皇杯3連覇の夢を断たれたのだそうだ。いつの間にか、すっかり強豪クラブとしての地位を重ねていた。トリコロールは、今ではすっかり、強豪でも名門でもなく「古豪」という肩書きに片足を突っ込んでいる。立場は逆転し、今日の勝利も番狂わせのようだ。かつて、トリコロールは8回、決勝戦に駒を進めた。優勝回数は7回。唯一、決勝戦で敗れて優勝できなかったのは、今日と逆の立場で3連覇を賭けた1990年(70回大会)だった。トリコロールの三連覇の夢は絶たれた。そう、雨の国立PK戦。対戦相手は松下電器(現ガンバ大阪)。でも、考えてみれば、その試合に限らず1994年に初優勝し1993年に2連覇を達成するまでの間でPK負けを全て勝っていたら10連覇だった。もう、夢のような過去の話だ。

今、私たちは、ひたむきにチャレンジすることを求められている。かつての夢のような時代とは違う。下馬評は低い。確かに強くはない。ストライカーもいない。でも、ここまではやってきた。そして結果はついてきた。ガンバ大阪を破った。けっして伝統の堅守のイメージを守れる試合ではなかった。だが、厳しく真正面からぶつかり合う気迫が伝わってくる闘いだった。弱点である藤ヶ谷を追い込むために、いつもよりも前から守備のプレッシャーをかけてボールを藤ヶ谷に下げさせる。勝つために、こういういやらしいサッカーは悪くない。怪我をした喜田、脚を攣った小林。痛がらなかったマルティノス。ピッチ上に立つ全ての選手が全力を勝利のために注いだ。リーグ戦と遜色のない2万人以上の観客が集まり、スタンドから選手を後押しした。

新潟戦での決勝点は「90分+4分 天野純」。ガンバ大阪戦の決勝点は「90分+6分 天野純」。どちらもアディショナルタイムだ。略してAT・・・もう、天野タイムで良いのではないか。今シーズンの天野は上手い選手から闘える選手へ脱皮。そして、遂に勝負を決められる選手にまで到達した。美しき弾道は栄光への道。この大会に限って言えば、エース齋藤学と並ぶ二枚看板だ。

試合後に決勝戦のチケットを求めるトリコロールのサポーターたちは、ガンバ側のスタジアム出口に向かった。「決勝戦のチケットを譲ってください」と声を上げるサポーターを見ながら、ガラの悪いガンバ大阪サポーターの一群が「こいつら、優勝するつもりでおるで」と揶揄した。敗者よ笑うが良い。私たちは、君たちにはできない優勝をするつもりでいる。狙うは最多、8回目の天皇杯優勝。そして、次の対戦相手は、リーグ優勝でトリコロールと並ぶ18冠を達成した鹿島。私たちは強くはない。だから、強い王者に対して、ひたむきにチャレンジすることを求められている。当然、優勝するつもりだ。勝って19冠に王手をかけるのだ。勝てば、新たに見えてくる明るいクラブの未来が、きっとあるはずだ。

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今年のマリノスを漢字で2016は「学」

毎年恒例、一年間を漢字一文字で振り返る「今年のマリノスを漢字で」。2015年は「艶」でした。さて、ツイッター上で多数のご意見をいただき選定した「今年のマリノスを漢字で2016」は下記の一文字に決まりました。

 

スクリーンショット 2016-12-05 21.22.04

 

2016年は齋藤学が初めての二桁ゴールをマーク。日本代表にも復帰し名実ともにクラブの柱となった年でした。逆境から、何度も学に助けられました。学あっての横浜F・マリノスでした。そして、クラブの歴史の曲がり角、タイトルから遠ざかる辛さ、現在のクラブの実力などなどを学ぶことになった一年でもありました。

学!天皇杯も頼むぞ!そして2017年もトリコロールを頼むぞ!

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