Jリーグ2階の目線2016 横浜2-3川崎

アディショナルタイムは9分。そこから2点を奪い、同点に。しかし、振り出しには戻っていない。我々は勝たなければならないのだ。もう1点がほしい。ところが、もう1点は我々のゴールネットを揺らしてしまった。スコアは2-3の1点差。最少得点差だ。でも、この試合は惨敗だ。得たものはなく、勝ち点は0。リーグ優勝は手の届かない、遥か彼方に飛んで行ってしまった。

絶望的な90分間を終えた後で、なぜ、同点に追いつくことができたのか。途中投入された前田と天野が怯えることなく勝負し、ゴールを奪う努力をしたからだ。彼らが入るまでのトリコロールは、あまりに情けなかった。川崎の守備力に対してビビり過ぎていた。そう、これは書き間違えではない。トリコロールは川崎の守備力に対して怯えていたのだ。だが、残念ながら、同点に追いつくことができた主な理由は、もう一つある。 それは、川崎が3点目を獲りにきたからだ。安全に試合をクローズすることを選択せずに、さらにとどめを刺しにきた。タイトルへの焦りだろうか、それとも「神奈川ダービー」という意識がそうさせたのか、あれほどのパスワークを持つ川崎が、パスをつないで時間を使うことなく、こちらに攻めてきた。そこで隙が生まれた。トリコロールが力づくで奪い取った得点ではないのだ。だから、この試合は、私たちにとっては。どうしても3-2で勝たなければならない試合だったということになる。なぜならば、負けてしまっては、あの2得点は「屈辱同点劇」でしかないからだ。川崎に舐められたのだ。「このトリコロールからは、もう一点を奪える」と、私たちは川崎に舐められたから2得点をできるチャンスを得た。ただそれだけのことでしかない。

この敗戦は、通常の敗戦よりもさらに重たい敗戦となった。舐められた。トリコロールは闘えなかった。川崎の守備力を恐れ、トリコロールは前半を安全策のサッカーで通した。前半から川崎と真正面から闘ったのは学だけだった。闘ったから、試合後に、学は泣いた。他に、何人の選手が真正面から闘ったというのだ。クロスを見送り1失点目。なぜか浮き球でパスミスをして2失点目。そして、力尽きた3失点目。これが実力だ。前半のシュートは2本。そして、優しき伝統を貫いたのは川崎のGK新井が頭を打ったときだ。試合を再開しても足取りがおかしい新井。これは川崎のミスだと考えられる。選手の安全を優先すれば、あの時点で新井を交代させるべきだった。しかし、新井がピッチ上に自らの意思で立っているからには、トリコロールにとってはゴールを奪うチャンスだった。ところが足取りのふらつくGKを目の前にしてシュートを一本も放てない情けなさ、いや、優しさ。それが、トリコロールの優勝に対する執念の浅さだ。
「いつものことさ。勝負所で勝負できないのがトリコロール。」
と、この試合を片付けてしまうことは簡単だ。たしかに、エンターテイメントとしては、この試合は面白かった。だが、それで良いのか。私たちは優勝するために、ここにやってきたはずだ。この先、タイトルを獲得するためには、その優しさを排除するところから始めなければならないだろう。

最後に主審の家本さんについて触れたい。細心の注意をはらい、気遣いをしながら警告も少なく、この難しい試合を進めた家本さんに感謝したい。そして、家本さんの凄さを見た。新井が再び倒れたとき、家本さんは「時計を止めているよ」というジェスチャーをゴール裏席に向かって行っていた。選手だけではなくサポーターにまで説明を行い、場内の雰囲気が荒れるのを防止しようとする主審を初めて見た。

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Jリーグ2階の目線2016 横浜3-1新潟

「行け!前田!!!」
「行け!!シュートだ!!」
「シュート狙え!!」
「きめろーーーーーーーーーー!!!!」

歓声は屋根にこだまし怒号のように響く。右サイドで天野からのパスを受けた前田は小さなフェイントを入れて中に切れ込む。そしてシュート。それはそれは美しい弧を描いてボールはゴールマウスに吸い込まれていくのが見える。その軌道が見えたとき、ゴールを確信し飛び上がる。そして、空中で拳を振り上げたとき、ゴールネットが揺れた。

「前田!!!!!!!!」
「決めたぞーーーー!!!!」

遂に決めた。前田が決めた、まるでスローモーションのように。前節での活躍で、前田にゴールの予感はあった。しかし、1点差に迫られた大切な場面で、ここまで鮮やかに決めてくれるとは期待以上だ。待っていた。このゴールを待っていた。迷いがなくなれば、前田の持ち味は生きる。スタンドの雰囲気は最高潮に。我々は、まだリーグ優勝の権利を持っている。そして、前田が救世主となって、これから上位との直接対決に入る。

エース学が先発落ち。メンバーが足りない。ユースの選手までがベンチ入りしている。だが、それをピンチに感じない。大宮戦、仙台戦を通じて描き始めた上昇機運(途中の福島戦のことは忘れよう)。さらには、中村大先生のベンチ入り復帰。スタンドのムードもとても良い。

「緑かよ!」

ミッドウィークに、久々の読売戦を控え、緑に過剰に反応する。オレンジに青を加えた新潟のユニフォームはトリコロールと色の重複があるために、今日のユニフォームは緑。闘志に火がつく。しかしながら、ピッチ上ではゆったりとしたサッカーが続く。新潟からは残留争いのピリピリ感が伝わってこない。これは監督の性格の反映か。なぜかよく解らないセンターバックの連携ミスから兵藤が芸術的なボール扱いで抜け出して先制。前半のうちにリードを得る。難しいシュートを榎本が防いでくれたことは大きかった。

三ツ沢での大宮戦で栗原のプレーには大きな変化があった。前線に大きく蹴り出すことが少なくなった。そして、後ろで待ち構えるだけではなく、前に仕掛けてボールを奪い取ることも。これまでの、どっしりと力強く、そして空中戦で金を取れる選手に加えて、縦への強さが加わった。そんなシン・ユウゾウが前に出た。ペナルティエリアの近くまで走り込んでボールを奪取。上手くボールをコントロールしてゴール前に突進すると見せかけて、右サイドのポジションでフリーになっていた中町に左足でパス。待ち構えていた中町は、足を止めて振り抜き、美しく地を這うように放たれたシュートは逆サイドのネットを揺らす。

「すげーーーー!!!」
「決まった!!」
「中町だ!!!」
「なぜ、いるんだ!!」
「納得いかないけどすげ〜!!!」

後半開始2分で得点差を2に広げる。この理由なき得点力の発揮で、なぜか勝利に貢献する中町。ゴールしてもスタンドに向かってスプリントすることはない。その場でドヤ顔が中町品質。

その後、1点を奪われるものの、終始主導権を離さない。パクジョンスは、新人ながら、チームメイトから絶大な信頼を得てボールを集める。安易に倒れたままだったのでシュートを撃てず得点を1つ損したが、マルティノスは全体にヤルキノスだった。前田は天野との相性が良いようだ。中村大先制を温存したままで逃げ切りを図る。

前田はよく走った。あの見事な3点目のゴール。全ての力を使い果たすほどの渾身のシュートだった。得点後、右サイドでパスを繋ぐ。前田は動けない。目の前をボールが通過するが直立不動のまま見送る。

「あー、前田が燃え尽きた。」
「もう、燃えかすになっている。」
「もう、お疲れ様だ、前田。」

新潟の攻撃を凌ぐ。学がボールを持ってドリブルで前進する。右サイドを見る。

「あー誰もいない。」
「前田がいない!どこにいる?」
「前田が後ろの方にいた!」

みんな、前田のゴールに気を良くしている。走れない前田。でも、もう十分だ。前田には、試合中の今からでも「ありがとう」と言いたい。

試合終了のホイッスルが鳴る。勝てなかった日産スタジアムでの勝利。しかも3得点。3点以上を奪っての勝利は3節の神戸戦以来、約2か月ぶりのことなのだそうだ。スタンドが盛り上がるわけだ。そして、トリコロールに勝負強さが備わってきた。猛暑の中で交代枠を残すなど、納得のいかないところもある。だが、選手の頑張りには頭が下がる。

リーグ戦の次節は、あの川崎戦だ。年間勝ち点1位から、川崎を引きづり落とすチャンス。あの最終節の配線の屈辱を晴らすには、次節での圧勝が必要だ。圧勝、そして連勝。川崎を絶望の底に沈めセカンドステージを制覇してこそ、はじめて、あの屈辱を晴らすことができるのだ。やっと私たちにチャンスが巡ってきた。

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Jリーグ2階の目線2016 横浜1-0仙台

「終わったの?」
「終わったのか!?」
「勝ったの!?」
飯田主審の鳴らしたホイッスルを試合終了と確信できない。勝ったことをすんなりと信じられない。それほどまでに追い詰められた状況の中で1-0での完封勝利。確かにアディショナルタイムを終え勝利したということを確信し、一呼吸おいて歓声をあげ表情が緩む。このスタジアムは客席が暗い。やや沈んだ色に見えるトリパラが舞い始まる。涙を流す者もいる。鳥肌が立った者もいる。こんな勝利を予想していなかった。前半を終えた時点で、こんな大勝利を期待できる状況にはなかったのだ。

全く良いところがなかった前半。選手の動きが重たい。対する仙台も、復興ユニフォームとはいうが屋上のウルトラマンショウの休憩時間に頭を脱いでしまったようなアルバイトのような弱そうなユニフォームに身を包んでいることもあって怖さがない。そして、ディフェンスラインは乱れている。積極的に中央を突いていけば攻略できるはずなのに、トリコロールの攻撃はエンジンがかからない。でも無理もない。過密日程。ミッドウィークには120分間の天皇杯。この試合では内容を問えない。低いディフェンスラインを敷いて失点を回避するサッカー。ボールを奪っても瞬発力がなく、時間を要する攻撃。もどかしい。後半に、このサッカーが改善されるだろうか。望み薄に思えた。今日はスコアレスでも仕方ない。うまくセットプレーで1点を奪えたら、守り抜いての引き分けでやむを得ない。

後半開始早々に前田が素晴らしいプレーで仕掛ける。中を何度も確認してのアーリークロス。合わせる伊藤翔。
「来た!!!」
それは突然に来た。伊藤翔が足を延ばす。私たちの腰が浮く。ボールはゴールポストの外に離れていく。
「惜しい!!!」
「決まれば美しかった!!」
このプレーが号砲となる。前からボールを奪い素早い攻めに。どこに、このような力が残っていたのだろう。右サイドから仙台に圧力をかける。前田と小林のパス交換。生き生きとした小林が躍動する。ディフェンスラインの裏を何度も狙う。またしても前田のクロス。
「学!!!!」
「届かなかったか!!??」
猛攻が15分間続く。
「行け!!ここが勝負だ!!」
「何が何でもゴールを奪え!」

しかし、奪えない。支配した時間帯が終わる。一進一退の攻防に。ゴールを奪える雰囲気は減退。逆に奪われるピンチが増える。前半とは違う展開。といっても、疲労の残る選手たちにいつものキレはない。気力で闘っている。ギリギリの戦いだ。激しいぶつかり合い。ときには汚いファール。学はなんでもないフェアーなショルダーチャージに吹っ飛ばされた。踏ん張りが利かない。ついには、新井が金井に代わるアクシデント。

それでも、何度もチャレンジする。倒れても立ち上がる。数日前までのドリブルをすれば一人では止めることができなかった学の姿はそこにはない。今、目の前にいるのは、脚の痛みに耐え、重たい身体に精神力で鞭打ちドリブルでまっすぐ前進し続けるエースの姿だ。仙台のディフェンス陣が下がる。クロスを入れる。入らない。やはり身体が動かないのだ。ところが、跳ね返ったボールに素早く近づき叩き込んだボーレーーー。

「兵藤!!!!!」
「来た!!!」

ゴールネットを突き破らんばかりにボールがゴールに飛び込んでくる。気がつけば兵藤が、中町が、ゴール裏スタンドの前にやってくる。兵藤の身体が宙を舞い広告看板の上にあるのが見える。幸せだ。何て幸せな時間なんだ。ここに来て良かった。この幸せな気分は、このスタンドにやってこない限りは味わえない。

「よくやった!!」
「勝つぞ!!」
「絶対に勝つぞ!!!」

ここから簡単に追加点が獲れれば、もっと楽な試合だっただろう。例え追加点が獲れなくても、普通の試合であってほしかった。なぜなら、選手たちは疲労困憊。満身創痍なのだ。ところが、杜のラフプレー王・大岩は、それを許さなかった。学の脚をめがけて、遠くから猛然とスライディングタックル。危険を察して学はボールを放棄して飛び跳ねる。まともに脚を刈られていたら大怪我をしたところだろう。それは回避するが、それでも倒れて、なかなか立ち上がることができない。これまで、アドバンテージの見極めに慎重なジャッジをし続けてきた主審の飯田さんは、即座に大岩を追いかけてイエローカードを提示する。

「これは酷い。」
「大丈夫か、学。」

新ルールの導入により担架は入らず、ピッチ上で治療を行う。大岩への怒りとレッドカード相当のプレーだというアピールをベンチ前で行ったマルティノスに飯田主審がイエローカードを提示。おもしろ外国人としての存在感を示すが、これは良くない。さらには、物をベンチに投げ込んで大荒れの様子。試合再開。しかし、学はプレーできずピッチを去ることになる。

「うわぁダメか。」
「おい、どうするんだ、交代の準備はできているのか?」
「誰を出すんだ!」
「マルちゃんは、もうカードをもらっているから怖くて入れられないぞ。」
「なんということだ!?試合に出ていないのに!」
「消去法で遠藤しかない。」
「ここは遠藤に頑張ってもらうしかない。」

ピッチに入った遠藤にシュートのチャンス。遠藤は、絶対にGKにキャッチされないシュートを慎重に放つ。枠外。キャッチされてカウンターを食らうことのない上隅を狙ったシュートだろうが、遠くゴールの上をボールは飛んでいく。

「なんじゃそりゃー!」
「いや、いいんだ。これでいいんだ。」
「カウンターを食らうよりも100倍マシだ。」

そのあとは覚えていない。ただ、絶叫し、コールし、手拍子した。

「終わったの?」
「終わったのか!?」
「勝ったの!?」

まだリーグ優勝の望みがあるトリコロールは最後まで闘い続けた。サポーターは苦しい状況を理解した上で、現実的な戦術を認め応援し続けた。我々には目指す物がある。2ステージ制最後の王者の座を譲りたくない。一方、仙台は目指す物がなかった。天皇杯で隣県の県庁所在地である盛岡に大敗。サポーターは試合前の応援をボイコット。優勝するわけでも残留争いをするわけでもない順位で目標を見失った。試合前のボイコットで仙台サポーターの応援はボルテージが上がらないままに試合終了を迎えた。

まさかの激しいゲームに笑顔が出始めるが、疲労も襲ってくる。そして、突然の空腹。昼は塩釜のすし哲で贅沢三昧に美味しい魚を食べたというのに。でも大丈夫。国分町の店は抑えてある。祝勝会の準備は万全だ。普通の牛タン料理店では食べられない美味い牛タン料理が待っている。今夜の祝勝会は、いつもの祝勝会よりも3割り増しで美味しく味わえそうだ。これだから仙台遠征はやめられない。

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Jリーグ ルヴァンカップ2階の目線2016 横浜1-0大宮

第1戦は1-2で敗戦。貴重なアウェイゴールを奪ったものの、引き分けにできる試合を落とした。
「1-0で勝てば勝ち抜ける。だからじっくりやればいい。」
それは、堅守トリコロールのお家芸といわれてきたサッカー。たしかに、これまでは、それを誰もが自信を持って言えた。しかし、今回は違う。完封勝ちでの逃げ切りは困難と言いたくなるほど、守備に安定度がない。采配ミスでの失点も続いている。
「勝負は立ち上がりの10分間だよ。」
「そこでやられれば負ける。」
大宮は、逆にアウェイゴールを奪って早期に決着をつけようとしている。先発メンバーにムルジャと江坂。リードを奪ってから途中交代で温存をしようという狙いだろう。リーグ戦でも、第1戦でも大宮は立ち上がりから猛攻を仕掛けてきた。今日、そこで怯んだら、そこで勝負ありだ。じっくりやって勝てる相手ではない。むしろ、攻撃のエンジンがかからないままに時間が進むことが怖い。

榎本のビッグセーブで難を逃れる。これが決まっていれば、この時点で試合終了。立ち上がり、10分間は大宮の猛攻を受ける。だが10分間で、この猛攻を抑えることができた。縦を切られてドリブルを封じられてしまって空回りするマルティノスを除けば、どの選手も気迫とプレーがシンクロしている。いつ間にかスタンドも「じっくり」というムードではなくエキサイトしていく。

これぞカップ戦。激しく体をぶつけ合い、一歩も引かない。共に「絶対にシュートまでは持ち込むぞ」という意気込みを感じる入魂の攻撃を展開。第1戦では、あれほど、試行錯誤しながらの手探り攻撃であったのに、見違えるようなプレーだ。敗退の危機感が、トリコロールを蘇らせた。大宮はファールを連発。トリコロールは一対一を積極的に仕掛け、一度くらい奪われかけても諦めない。何度も繰り返す。奪われても奪い返す。

特にスタンドのボルテージが急上昇したのは、ムルジャのシューズが脱げたシーン。
「お人よしにボールを出すんじゃないよ!」
「怪我じゃないし!」
「ファールでもないし!」
「シューズが脱げたらプレーを止めてもらえるならば、ピンチになれば何度でも靴脱ぐわ!!」
それまでのファールの連発にイライラを募らせていたスタンドは、ここから、一気にヒートアップする。さらにはコーナーでの中澤とマテウスの対決。譲らない!

金井がパスミス。大宮から出されたパスを金井が奪い返し、伊藤翔へ。伊藤翔は学にボールを預けると全速力でディフェンスラインの裏を狙う。ディフェンスラインが下がることで生まれたスペースにカイケが居残ってパスをもらい、さらに伊藤翔が横に走って大宮のディフェンダーを引きつけコースを開ける。そこでシュート。

「ぐぉーーーーーーーーー!!!!!!」
あまりに美しいシュートに座席から飛び跳ねて、前列の高校生に突っ込みそうになる。
「すげー!!!!!!」
「ちょっと待て!カイケ!そんなシュートを持っているのか!」
「話が違うぞ、カイケ!!!!」

早すぎる先制点は不安になる。しかし前半終了間際のゴール。こんな嬉しいタイミングの先制点は予想外。

後半立ち上がり。カウンター攻撃でカイケが見事なスルーパス。マルティノスは決めるだけ。ところが塩田に止められる。
「うわーーー!!」
「決められないか!」
プレーは続く。しかし、マルティノスは前線でしょぼくれたまま。
「あちゃー、ヤルキナスになっちまった。」
「心のダメージが・・・。」

ここからしばらくは、大宮の低くて速いクロスショー。波状攻撃が続く。悲鳴が上がる。腰が浮く。間一髪で跳ね返す。いや、逆サイドまでの抜けるクロスの方が多かったか。大活躍の栗原が足を攣りベンチに下がることになり、さらにピンチが続く。それでも、引かない。攻めの姿勢・攻撃的な守備を崩さない。第1戦での先発落ちがプライドを傷つけたのか、カイケの気合の入り方がもの凄い。大宮の選手に体当たりしてカードをもらう。

「このまま持ちこたえられるのか?」
「マルちゃん、そのそろアウトだろ。」
「カイケも厳しいぞ。」

第1戦では弱気な采配に感じたモンバエルツ監督だが、マルティノスに替えて投入したのは天野。引かない意志を感じる(そもそも守備の選手のベンチ入りが少ない)。だが、予定外の状況に応じた選手交代は苦手なようで、ここからしばらく、動きの落ちたカイケを放置。さらに押し込まれる。カイケの交代を榎本が要求。それでもベンチは動かない。

「おいボールボーイ!早すぎる!!」

選手だけではなく、ボールボーイの動きにもスタンドから注文が飛ぶ。カイケが倒れる。そこからベンチが慌てて動き始める。

「遅い!遅すぎる!」
「なんとか耐えてくれ!!!!」

投入されるのは前田。時間稼ぎと見せかけてドリブルでボールを中央に運んでシュート。枠を外れる。

「惜しい!」
「前田!それは決めないと!!」
「フリーじゃねえか!」
「でも、やっと前田らしいシュートを見られた。」

どの選手も必死だ。アディショナルタイム5分間を耐える。天野のシュートが決まっていれば満点だった。だが、満点でなくても良い。とにかく完封するのだ。

「前で回せ!」
「繋げ!」
「下がるな!」

試合終了のホイッスル。絶叫。総立ち。得点時に突っ込みそうになった前列の高校生たちとも喜びを分かち合う。素晴らしい勝利だ。引かずに闘い続けた。高い位置でボールを奪い返しにかかる攻撃的な姿勢。それを続けたことが完封勝ちできた理由だ。やっとトリコロールらしいサッカーが帰ってきた。ピッチ上の選手が闘う姿勢を崩さず、ベンチもそれに応えた。さぁ、準決勝ではルヴァンパーティだ。今日は闘志のスパイスが効いていた。今日の勝利に、次は何をトッピングする?

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Jリーグ ルヴァンカップ2階の目線2016 横浜1-2大宮

ノックアウトステージ準々決勝の第1戦。アウェイ。苦手の大宮。すでにリーグ戦は、すべてを勝つ勢いで最終節を迎えたときに上位が総崩れになっていれば運良く優勝があるかもれないという星勘定。タイトル獲得のためには、このリーグカップ狙いが第一照準となる。ところが、結果的には、モンバエルツ監督は、リーグ戦の1試合と同じように、この試合を闘った。通常であればアウェイでの第1戦を1-2で落としても、アウェイゴールを獲得できているので、ほぼ横並びの折り返し地点。第2戦を1-0で勝てば勝ち抜けるという展望が開ける。しかし、どうやら、そのような希望は持たないほうが良い。堅守は過去の話だ。

強風の風下というハンディはある。それにしても、まったく歯が立たない前半。ボールを奪う位置が定まらず、奪ったボールを預ける先も決まらない。リーグ戦と同様に大宮の素早いプレッシングに戸惑い、ミスを連発する。中央にいる学にはパスが入らない。そもそもボールを触る回数が少ない。ボールを奪ってもサイドに逃げる。チャレンジがない。全体にビビっているのがわかる。気の弱い前田は、この雰囲気にのまれたのか、更に動きが硬く、ボールをもらおうとする動きがないからパスが来ない。マルティノスもキレがなく仕掛けが少ない。

「リーグ戦のときと違って、今日は涼しいからな。」
「大宮の動きが後半も落ちないかもしれないな。」

0-3で終わってもおかしくなかった前半。チャンスは一度だけ。得点の気配がないどころか、敵陣に攻め込むことすらままならない。覇気の感じられないピッチ上のプレーを見たカイケは、後半から出場する気で満々だ。ハーフタイムにはビブスを外してユニフォーム姿で練習。ベンチにアピールする。

「後半から、前田とマルちゃんを2枚替えで交代でもしないと後半の立ち上がりが不安だよ。」
「でも、ファビオの怪我で1枚交代カードを切ってしまったから、さすがに2枚替えは無理だよ。」

後半が始まる。ピッチ上は前半と比べて仕掛けようという意志を感じる。ベンチの脇ではビブスを身につけないカイケがウォーミングアップのピッチを上げている。前半は何もやっていなかったに等しい前田は後半の立ち上がりも消極的。マルティノスは仕掛けるが突破に至らない。カイケは投入されると、まるで闘将のごとく大きな身振りで選手の奮起を促す。こんなカイケは見たことがない。しかしゴールは遠い。この苦しい展開を救ったのは両サイドバックだった。小林が鋭いクロスをねじ込み、逆サイドに詰めていた金井がゴールに叩き込む。
「なぜ、そこまで上がってたんだ!金井!!」
「よく決めた!!」

オープンな展開でボールがピッチを行き来するようになる。といっても、圧倒的に攻撃のクオリティは大宮の方が高いため。再三の失点ピンチに肝を冷やす。凌ぐ。だが、こちらも攻撃の手を緩めるわけにはいかない。引けば守りきれないだろう。逃げ切る意味でも、前に重心を残してボールを自陣ゴールから遠ざけておく必要がある。カードをもらっている金井、喜田を下げる必要があるかもしれない。それに、試合トータルで見れば出来が良くなくリスキーなプレーをしてしまう可能性があるマルティノスも交代候補だ。

残り時間わずか。

「誰か出てきた。」
「誰だあれは?」
「新井?え?新井をどこに入れるの?」

ピッチ上の選手たちも疑問に思っただろう。プレーが切れないために、しばらくタッチライン脇に立ち続ける新井。修羅場経験の少ない新井で、ここまで多数のピンチにさらされる試合をクローズできるのか。目の前に新井を見たマルティノスは自分が下げられるのではないかと感じたかもしれない。小林とマルティノスが無理をした。ともに許されるプレーではない。愚かなプレーだ。だが、信じられないような愚かなプレーを引き起こす環境をモンバエルツ監督が生み出してしまったとも言えるだろう。
「まさか、遠藤がいなくても遠藤枠が生きているとは・・・。」
あの失点と、新井がタッチライン脇に立ったこと、この2つが同時に起きたことを偶然とは思いにくい。

失点により新井の起用は見送り。仲川が投入されるが試合終了。痛い敗戦となった。

「いやー勿体無いことをした。」
「普通ならばアウェイゴールで1-2はOKなのだけれど、ちょっと今のウチで1-0で勝てば良いとは言いにくい。」
「何かあれば1失点は起きる。その覚悟はして試合に臨まないとダメだ。」
「となると2得点だと2-1で延長戦になってしまう。3-0で勝つくらいのつもりがないと守りに入ってはダメだ。」
「ウチの選手は、みんなおとなしいからなー。誰かが闘志に火をつけてくれればいいのだけれど、またフワッとはいるとやられるぜ。」
「誰かがリーダーとして引っ張ってくれないと。」
「今日のカイケは、相当気合が入っていたね。でもリーダーにはなれない。」
「もし、試合の入りが悪かったら松永コーチがベンチで暴れるしかないな。ベンチを壊すくらいの暴れっぷりで選手の闘志に火をつけないと。」
「いや、でも、ウチの選手だと、それを見たらどん引きするんじゃないか?」
「まぁまぁまぁ、松永さん落ち着いて、とか言って冷静になだめそう。」
「今日みたいなビビったプレーじゃダメなのだから、誰か、なんとかしてくれよ。」
「気を引き締めて応援に行くしかないな。」

難しい日曜日になりそうだ。でも単純に考えよう。気迫で負けない。まずはそこからスタートだ。

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Jリーグ2階の目線2016 横浜2-2鹿島

佐藤隆治さんの主審担当試合では、過去の戦績は9勝7分4敗。けっして悪い結果に陥っているわけではない。しかし、フラストレーションが溜まる。アドバンテージの取り方が上手くないことと、反則判定の基準がトリコロールの好みではないことが原因だ。前半は鹿島のプッシングが多く見逃された。
「押し放題だったな。」
「あからさまに感じるプッシングも吹かないからな。」
「公平なのだけれどやりにくいからイライラするよね。」
「後半は、ウチも、もっとアグレッシブに行かないと。」
「だって、押しても吹かないのだから。」
「そうだよ、ちょっとは押してもいいはずだよ、もっと。」
「でも、手加減が難しいんだよ。大体いつものパターンだと、ウチが押すと、押しすぎてカードが出てもめる。」
後半開始。喜田が押す。カードが出た。
「ほら、手加減が難しい。」

試合後。坂を下りながら話をする。
「なんで、こう勝てないんだよ。」
「引き分けが多すぎる。」
「調査だな。これ欧州だったら調査の対象になるレベル。八百長疑惑。」
「だって、名古屋にも引き分けて、ファースト優勝の鹿島にも引き分け。」
「どこにでも引き分ける。」
「相手の強さには関係ない。」
「しかもシュートが少ない。攻撃が消極的。」
「今日は違うけれど、いつもならば、後ろでパスを回していて攻撃に枚数をかけない。」
「調査対象だわ。」
自虐で痛む心を紛らす。

「手の打ち様はいくらでもあったはずなんだよ。なんで金井を下げたのかわからない。」
「目的が、勝つことではなく遠藤を育てることになってきていないか?」
「遠藤も、栗原も気の毒だわ。」
「左サイドバックに兵藤が入るのかと思ったのだけれど・・・。」
「下げるなら、金井ではなくて伊藤翔でよかっただろ、守り切るならば。」
「鹿島はクロスをふわりといれてこないし、グランダーでパスを中に入れてくるのだから、中の人数を増やす意味がわからない。」
「鹿島に金井のサイドを再三破られたのは、サイドバックがスピードに乗って追い越しをかけてきかららなのだから、最終ラインのスペースを埋めても意味がない。」
「栗原がサイドバックに入って、金井を前に出して、数的不利を解消するのかと思ったのに。」
「ファビオを中盤にあげて、中盤の底を2枚から三枚にあげて兵藤が金井の前をケアすればよかったのに。」
「別の方法の共通項は、サイドバックのオーバーラップで生じる数的不利の解消なんだよ。方法は違うけれど、みんなの考え方のベースは一致。でも、エリクだけは違ったみたい。」
「理解しがたい。」
「すべてが台無しだった。」

モンバエルツ監督には、ここまでの采配を感謝する。攻撃のスピードは上がった。進まなかった世代交代が一気に進んだ。若い選手が成長した。でも、この試合で判明した。優勝を狙いにいける監督ではなかった。やはり、日本でもフランスでも、育成型の監督というのは、このような采配をするのだろう。元日まで、体制は変わらない。まだタイトルのチャンスはある。栄光を目指して応援しよう。でも、来年は、次のステップにトリコロールは上がるべきだ。

<試合後のコメントはこちらをご覧ください。>

<様々な目線から捉えた試合>

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Jリーグ2階の目線2016 横浜0-1東京

右からのクロスに兵藤が頭から突っ込む。一か八かのダイビングヘッド。しかし、ボールは秋元の手に。ここで家本さんは試合終了のホイッスルを吹き、情けない試合は終わった。いつもならば試合終了と同時にブーイングが巻き起こるところだが、その音は小さく弱く。ブーイングをする気にもならない放心状態の人も多い。ここまで、見る人に心の動きを与えない試合は珍しい。まさに完敗、いや惨敗と言って良い。

中澤が前に出て、そのとき、小林が少しだけ中へ絞れば東にシュートを撃たれなかったかもしれない。室屋へのプレッシャーのかけ方が甘すぎたから自由に中に入られた。小さなミスが重なって失点に結びつく。そういうことはよくある。そこからの反撃に期待した。でも、選手たちに、その気概はなかった。マルティノスが主審に荒れ狂っていても止める者もなだめる者もいない。ピッチ上の全員が協力して優勝を目指すというひたむきな姿すら、スタンドに伝えることが出来なかった。兵藤を投入するまでの時間で、局面を打開するために無理を承知でプレーしていたのは中澤とカイケくらいだ。

みな、それなりに頑張った。いつものようにプレーした。それは認めようじゃないか。でも、いつものようにプレーしても勝てないはずの試合だったはずだ。学とパクはコンディションが悪そうだった。キレがない。喜田は出場停止。そんな状況の中でモンバエルツ監督はパクと中町のセントラルミッドフィルダーをセレクトした。横並びで中澤とファビオの前にへばりつく2人。縦の関係を作らない。天野やカイケとのコンビネーションプレーが少ない。でも、中町は特に悪いプレーをしたわけではない。いつも通りのプレーをしたまでだ。小林、学、マルティノスらがサイドでキープした際に、スライドしてパスを受けに行き彼らを助ける動きは足りない。といっても、そんな気の利いた、いつも通りではないプレーを中町に要求することが無理な話。このモンバエルツ監督のセレクトが全選手の動きに悪影響を与えたのは明らかだ。となれば、始まってしまったからには一人一人が無理をしながら空いた穴を埋めていくしかない。それなのに、ピッチ上で打開しようとする意志と動きを感じさせたのは中澤とカイケくらいだったのだ。足元で休み休みパスをつなぐプレーが続出。選手たちに工夫が見られなかった。それも、また一つの事実だ。東京が梶山を起用してくれたら、また違った試合結果もあっただろうが・・・。

勝負事なのだから負けることはある。そこは問題ではない。だが、負けてなお、85分までは全く何もメッセージを観客に伝えられない試合だった。こんなものを見せて、このクラブの未来を誰が感じるのか。監督、選手、関係者は罪の深さを自覚してほしい。

<試合後のコメントはこちらをご覧ください。>

<様々な目線から捉えた試合>

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Jリーグ2階の目線2016 横浜1-1大宮

リーグ優勝にふさわしいクラブとは、どのようなクラブだろう。攻撃力、守備力、観客を魅了する力・・・様々な要素がある。そんな要素の中で、最も重要なのは「勝負所で力を発揮できる」ということではないだろうか。いわゆる「勝ち方を知っている」と言われるクラブだ。この大宮戦ではアディショナルタイムに同点に追いつくことができた。しかも、10人。一人少ない劣勢を跳ね返した。だが、本当に、力を発揮すべき勝負所はそこだったのか。実は、違うのではないか。そんな無念さがある。負け試合を引き分けにしたように見えるが、実は勝てる試合を取りこぼした試合だったのではないか。

前半から、うまくいっていないイライラが伝わってくる。ファビオの左サイドでのスライディングタックルや無駄なファール。大宮は、立ち上がりから強いプレッシャーをかけてきた。攻撃も川崎のように左右に振り回すパスワーク。一方的に押し込まれる時間が続く。主審がマイボールのスローインだと大きなジェスチャーで示しても「ファールなのではないか」とボールボーイが接触プレーのあった位置に立つ大宮の選手にボールを渡してしまう一幕まであった。

「おいおいおい。」
「ボールボーイがセルフジャッジかよ。」
「大人になる前からセルフジャッジでは先が思いやられるぞ。」

トリコロールの選手たちがフラストレーションをためているのはスタンドから見てもわかる。その雰囲気を察して、山本主審は神経質に感じるほど細かく笛を吹き、簡単には警告を出さずに注意で試合を落ち着かせようとする。例えば、ゴール前のポジション争いで腕を広げて大宮の選手の動きを塞ごうとするマルちゃんには、プレーを止めて2度の注意をした。ところが、そこまで注目をされて、しかも指導を受けていながら同じ反則をして笛を吹かれてしまうマルちゃん。そのプレーに象徴されるように、トリコロールの選手たちは、なかなか冷静にプレーをできない。

「あちゃー。」
「あれだけ見られているのだから、ちょっとは考えないと。」
「あれは吹かれるなー。」
「焦るな、もっと落ち着いてやろうよ。」

年間順位をひっくり返そうと、大宮の選手たちは、相当な意気込みでトリコロールに立ち向かってきた。しかし、真夏の8月。大宮の勢いは続かず脚が止まり始めたのは35分頃から。そこに、確かに勝機はあった。だが、攻勢をかけることは出来なかった。その勝機を感じる余裕がなかったのかもしれない。

前半に不用意な足の裏を見せるスライディングで警告を受けてしまった喜田。後半に入っても本来のプレーをできない。簡単に泉澤のフェイントに引っかかりコースを空けてしまい失点。直後に、再び泉澤にドリブルで振り切られる。そして、オフサイドのセルフジャッジでアピールをした直後にトラップミス。ボールを家長に奪われ後ろから掴んで退場に。アンダーアーマーのシャツはよく伸びる。

「あーやっちまった。」
「これは退場だ。」
「いやー、まいった。」
「馬鹿野郎!なんてことしてくれるんだ。」

そのまま家長を見送って失点するよりは退場になる方がマシではあるが、前半からの自らのイライラで本来のプレーをできないままにミスをして退場。あまりに痛い。

「喜田らしくない。」

ここから猛反撃が始まる。ずっと自制していた小林はリスクを背負ってドリブル突破を仕掛ける。沸き起こる大歓声。カウンターを仕掛けると、バックスタンドも総立ちになり絶叫する。

「まだ、時間はあるぞ!」
「大宮の脚は止まっているぞ!」
「大宮は動けないんだ!一人少なくても、ちょうど良いハンディだ!!」

コール、チャント、声援。後押しもあり同点のゴールを生み出す。しかし、そこまでだった。無念の引き分け。放ったシュート数は、いつもの通りに一桁。学、中町がゴールライン際で突破をしたシーンは、これまでにはなかなか見られなかったチャレンジの成果ではある。夏休みの試合として盛り上がりはあった。アディショナルタイムでの同点は劇的だった。だが、優勝を目指すには痛すぎる引き分けだった。上位との勝ち点には、また差が開いた。首位・浦和との勝ち点差は6。順位は5位に。

最後に、山本主審のレフリングについて触れておく。58分の胸で押さえ込んだプレーは、あれだけ、手でコントロールしたくないという意志がはっきりと見えると、手に当たっていたとしてもハンドリング(手でボールをコントロール)とは判定しにくい。ハンドと言い切れないのは明白で、逆にテレビ解説の金田さんはノーファールを明言していた。87分の浮き玉のハンド疑惑(胸か腕か)はテレビ中継ではリプレイも流さない。主審からも見えやすい位置だし選手もあっさり引き下がっているので反則はないだろう。両プレーとも山本主審は大きなジェスチャーでノーファールを示していた。あえてノーファール判定だが最も誤審の可能性が高かったプレーを挙げると54分に中町が自陣ペナルティエリア内で大宮の選手の腰に手を回したホールディングの見逃し疑惑。大宮サポーターからすれば、あれはPKではないかと不満を持つだろう。実際に、アウエー側バックスタンドでは悲鳴が上がった。

ファン・サポーターが目の前で見えた、感じたことに反応するのは自然なことなので、ブーイングが起こることは全く悪くない。素直な感情表現こそがスタジアムでは優先されるべきだ。ただ、振り返ってみて、その反応が正しかったのかは録画などで検証した方が、Jリーグにおける応援という視点では、より良いと感じる。優勝をするためにスタンドに足を運ぶのであれば、審判への悪い先入観は、次の試合には全くプラスに働かないのだ。

この試合をマリーシアメンバーと一緒に一人のブラジル人女性が観戦していた。トリコロールに不利に感じる判定があったときに「日本の人は審判にフィリォ・デ・プータって言わないの?」と不思議そうにしていた、ということを報告しておく。人それぞれ、国民性も様々だ。

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<様々な目線から捉えた試合>

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オウンゴールした中山雄太の評価が高まっている。 マリーシア感情的サポ論

2016年8月6日に行われた横浜×柏で柏レイソルの中山雄太はヘディングで1得点、右足で1得点(ただしオウンゴール)の大活躍。評価がぐんぐんと高まっている。特に、横浜サポーターからの評価が高い。

横浜サポーターほどオウンゴールを高く評価するサポーターは、世界広しといえども存在しないだろう。これは、横浜サポーターの間で長年、共有され続けてきた価値基準なのだ。「美しいオウンゴールを決める選手はセンターバックとして大成する」「美しいオーウンゴールをマークしてこそトリコロールのセンターバックとして認められる」という伝統をも生み出した。

まず、3分50秒からの美しいゴールを見てほしい。

この惚れ惚れするようなダイビングヘッドはJリーグ史上初のオウンゴール。ただのオウンゴールではない。21世紀となっても「Jで最も美しいオウンゴール」として語り継がれている。決めたのは90年代のレジェンドであり、日本代表がワールドカップ初出場をしたときの主将・井原正巳。現在はアビスパ福岡の監督を務める。彼は、「Jで最も美しいオウンゴール」を生み出しただけれはなく、最も多くのオウンゴールを決めた選手でもある。

そして、もう一人紹介するのは小村徳男。横浜×柏のテレビ解説を務めた。1996年にディフェンダーながらハットトリックを達成した。さらに、失点も彼のオウンゴールだったために、一人でこの試合の全ゴールを叩き出している「記憶に残る元日本代表選手」だ。

横浜サポーターはすべてのオウンゴールを賞賛するわけではない。

オウンゴールには美が必要だ。では、オウンゴールの美とは何か。それは、困難な体勢であっても身を投げ出してクロスをクリアしようとするギリギリのプレーから生まれる美しさだ。つまり、どのような状況でもゴールを守りきろうとする責任感と、必要なポジションにいる試合の流れを読む力がなければ美しいオウンゴールは生まれない。

伝統的に守備が固く、さりげない守備のポジションニングだけにでも拍手が湧き上がる横浜サポーターだからこそ見つけ出すことができた、好選手発掘の価値基準。それが美しいオウンゴールなのだ。

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Jリーグ2階の目線2016 横浜2-1柏

松田直樹選手の訃報について(喪章着用のお願い)
横浜F・マリノスに16年間在籍し、わたしたちに勇気と感動を与えてくれた松田直樹選手が、本日8月4日午後13時6分、34歳をもって永眠いたしました。16年間、わたしたちと共に戦った故松田直樹選手にこころから哀悼の意を表します。この訃報に際し、故松田直樹選手への追悼の意味をこめ、次戦8月6日柏戦(日立台サッカー場)で、横浜F・マリノスのファン・サポーターと松田直樹を愛した全てのサッカーファンの皆さまに、喪章の着用を呼びかけたいと考えております。

2011年8月⒋日に松田直樹は永眠。その2日後の8月6日に、この日立台で柏戦は行われた。これはNPO法人ハマトラ・横浜フットボールネットワークがサポーターに向けて発信したメッセージ。連続引き分けを経て乗り込んだアウェイ。奇しくも同じ日、同じカード、同じ会場。優勝するためには、私たちは、この日立台から再び前進しなければならない。その決意は、スタンドからよりも、むしろピッチ上の選手たちから発信されていた。

今日も中村大先生は不在。カイケをトップ下で使用したくないモンバエルツ監督はツートップを放棄して選手登録でもトップ下に天野を起用。中央での収まりに期待した。サテライトリーグの試合では散々な評価がサポーターから発信されていたパクジョンスが久しぶりにベンチに入った。はたしてパクジョンスに試合覚は戻ったのだろうか。

圧倒する前半。積極的に仕掛ける金井、喜田。立て続けに放った天野のシュート。気迫に満ち溢れ怯むことなく闘う。これまで、ひ弱さが弱点とされていた天野は的確な守備で最前線で存在を示す。カイケとマルティノスのコース限定の役割わけも素晴らしく、柏の攻撃をスピードに乗せない。ただでさえアツくなりやすい日立台を更にアツくする。暑さのせいか、柏が前線からプレッシャーをかけてこなかったという幸運もあるが、のびのびと、そして闘志を見せてプレーする天野がトリコロールを牽引する。倒れない。前を向く。後ろにパスを簡単には下げない。どの選手も身体を張り競り合いを避けない(カイケ以外)。頭から勇気を持ってボールに飛び込む。

ところが、後半のアタマからマルティノスが下がり遠藤が入ると、状況は一変する。

「苦しい。押し込まれ続けている。」
「前で、誰かが収めてくれないと・・・。」

快足でドリブル突破を防ぐマルティノスの守備。そして、苦しくなればサイドでボールの収まり先になる謎のキープ力。この2つを同時に失ったトリコロールは、まるで舵を失った難破船のように、黄色い海を漂った。その窮地を救ったのは天野。小さなパス交換からディフェンスラインの裏に飛び出して早くて低いクロス。中にはカイケが1枚いるだけだったが、見事なコースにコントロールされたクロスを柏の中山が押し込む。

「きた!!!!!」
「やった!!」

目の前で揺れるゴールネット。苦しい展開の中での先制に、スタンドのボルテージが急上昇する。天野への手荒い祝福をする選手たち。前半からの労を惜しまないプレーへのご褒美だ。だが、先制が根本的な問題を解決するわけではない。

「これは試合をコントロールしているわけではないぜ。」
「早めにケイマンか誰かを入れないと、持ちこたえられない。」
「奪っても一息つく場所がない。」
「ブロックはいいけれど、奪った後で簡単に奪われすぎる。」
「遠藤のところが、一気に突破されると止めきれない。」
「このまま押され続けたら足が止まる。」

モンバエルツ監督の打つ手は遅かった。そして、セットプレーの守備時に伊藤翔を投入。ファビオがマークを見失い、フリーの中山にゴールを奪われる。あまりにフリーな選手からの失点に言葉を失う。伊藤翔の投入で柏の勢いを止めようという考えだったであろう。手を打つタイミングが遅かった上に守備に負担のかかるセットプレー時の交代が裏目に出た。得点で勢いに乗る柏。スタンドの後押しもあって一気呵成に攻め込んでくる。まったく伊藤翔投入の効果が出ない。

「止めろ!」
「怯むな!!」
「縦を切れ!」

チャント、コールの合間に絶叫と悲鳴が上がる。勝ちたい。どうしても勝ちたい。優勝するためには、ここで引き分けてはならない。勝たなければならないのだ。またしても、この窮地を救ったのは天野だった。絶対に好きなようにはさせないという気迫を感じる競り合い。背後からの飛び膝蹴り。ファールでイエローカードをもらう。その直後に柏の選手に背後から受けるスライディング。

「報復じゃないか!カードを出せ!!」

もう、存在感の薄い軽い選手ではない。天野は報復のファールを喰らうくらいに柏に脅威を与えていた。そして、アドバンテージで継続した攻撃の流れで得たコーナーキック。天野が曲げてきた!!押し込んだのは中町!!!

「よし!!!!」
「決めた!!」
「中町だ!!!!」

とはいえ、守りきれるのか。この守備の状況で逃げ切ることができるのか。その疑問に答えるモンバエルツ監督の采配は意外な選択肢の採用だった。パクジョンスの起用。ベンチに下がる天野をビジター指定席は立ち上がって迎える。

「大丈夫なのか?」
「試合感覚が戻っていると良いのだけれど・・・。」

パクジョンスの能力に疑問はない。早期の復帰が望まれていた選手だ。しかし、ブランクによる試合感覚の欠如は如何ともしがたい。不安を抱いてパクジョンスのプレーを見極めることにするが・・・。

「ツートップか!!」

試合後のコメントを見ると「トップ下に入れ」という指示だったようだ。守備の時にはツートップの位置でポジションをとるのがモンバエルツ監督のトップ下守備の基本陣形。なんと、伊藤翔とパクジョンスの大型守備的ツートップ陣形。

「うわぁ、パクジョンスの存在感が効いているわ。」
「柏の最終ラインが縦にパスを入れられなくなっている。」
「そこに立っているだけで、圧倒的な存在感。」
「いきなり増嶋が萎縮。」

これにより、柏は後ろへのパスが増える。早いタイミングで右サイドを揺さぶられることがなくなり、遠藤が蘇る。ここまでの劣勢はモンバエルツ監督の決断の遅さが招いたものだが、パクジョンスの投入でこれを封じ込める。見事な帳尻合わせ采配。守備に追われ、しかも機能していなかった遠藤が機を見てゴール前に迫るシーンを産む。

「行け!」
「決めろ!!」
「トドメを刺せ!!」

長い距離を走る選手たち。ゴールを奪えず、膝をついて呼吸を整える。奪われても置く座に奪い返す。全力を出し尽くして勝利を奪おうとする。無理矢理なコーナーキープは行わずにボールを動かして時間を使う。ちょっとしたプレー選択の誤りにも、即座に学は遠藤を呼んで説明する。まるで、かつて、中村大先生が学に行ったように。私たちは久しくリーグタイトルから遠ざかっている。今でもチームの顔はベテラン選手だ。それでも、チームは新陳代謝を繰り返し、伝統は引き継がれ、日々、新しい力を育ててきた。この、リーグ戦の中の、たった一つの小さな試合に、その過去からの確実な一つ一つの歩みが詰まっていた。トリコロールは止まらない。常に、私たちと共にあり前進する。そして、きっと、まだ見ぬ次の世代にまで、想いもやり方も引き継がれていく。進化をしながら。

思い出は、遠い日の花火ではない。そこに背番号3のユニフォームがなくても、幕が掲出されていなくても、過去の恋人・松田直樹は、ずっとそこにいる。サッカーにおいて、過去は現在の中に生き続け、現在は未来への入り口でしかない。トリコロールは永遠に。

<試合後のコメントはこちらをご覧ください。また、アディショナルタイムの熱狂も。>

<様々な目線から捉えた試合>

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