ブラジル組とドーハ組、ちょっと危険な共通点。 マリーシア感情的サポ論


日本代表の新しい監督に元メキシコ代表監督のアギーレ氏が就任することとなった。一部ではあるが「敗因分析の検証作業の結論も出ていない段階で、先に監督が決めるのはいかがなものか。」という声も出ている。その声の主は、元選手、ジャーナリスト、そして現地参戦組のサポーターなど。

日本代表の有名サポーターの一人、アシシさんは上記とは若干異なり、JFAは詳細な敗因分析を行なっていることを承知の上で「こういった記者会見を見ていると、JFAは僕らサポーターのことを軽視しているように感じられます。」とブログに書いている。

アシシさんはW杯ブラジル大会開幕5カ月前にブラジル入りし、日本代表が試合をするレシフェ、ナタール、クイアバを入念に下見。現地参戦ノウハウ講演会の開催、電子書籍の出版などなど、日本代表を応援するとともに、日本代表サポーターへのサポート活動も展開する人物。また、本職は経営コンサルであり、とても論理的に物事を理解し説明する人物でありながら、「僕らサポーターのことを軽視しているように感じられます。」という、やや飛躍した感情を表明していることに私は驚いている。

さて、過去にも現地組サポーターと国内テレビ観戦組サポーターの間で、感情的に大きなギャップが生まれたケースがある。それは1993年W杯アメリカ大会アジア最終予選。そう「ドーハの悲劇」だ。

「ドーハの悲劇」を体験した現地組サポーターはJリーグでも勝利へのこだわりが極端に強くなり過激化先鋭化しスタジアムが荒れた。1994年のJリーグでは各地のゴール裏サポーターは分裂。次第に、楽しい応援よりも激しい応援に主流が傾き、ストイックな闘いがサポーターリーダーから強要され、暗く重苦しいスタジアムの時代が到来した。当時の若い現地組サポーターの中には、植田朝日さん、吉沢康一さん(現サッカージャーナリスト)、永野将さん(現あるJリーグクラブを応援するスポンサー企業の担当者)、木内岳夫さん(現ギラヴァンツ北九州運営部部長)らがおり、その後の人生の舵を大きく切るほどの影響力を彼らに与えている。

過去のW杯本大会で日本代表は2つの惨敗を喫している。フランス大会とドイツ大会だ。しかし、この2つの大会では、逆に大会を楽しんだ現地組サポーターが国内テレビ観戦組サポーターから「何をしに現地に行ったのだ!」と批判されることの方が話題となっていた。いずれも欧州で開催された大会だ。

では、ブラジル現地組とドーハ現地組、その共通点はあるのだろうか。それは距離と希少性であると私は考えている。

今では、日本代表サポーターが海外にまで応援に行くことは当たり前のように捉えられている。しかし、当時は、まだ珍しいこと。特に、一般的な日本人にとっては「地の果てのような中東にまでスポーツの応援に行く人がいる」というのは大きな驚きだった。ドーハ組は、帰国後に羨望の眼差しで見つめられることになった。(今でこそドバイが「ハブ空港」となったり、世界的な超高級リゾートとなっているが、その象徴である「ブルジュ・アル・アラブ」が改行したのは1999年。「ドーハの悲劇」当時の日本人は、中東など駐在員以外が行くところとは考えていなかった。)

今回のブラジルW杯では、日本代表応援3試合の旅行ツアーが1,780,000円(JTB)と、とても高額。旅行ツアーを使わなかった現地組日本代表サポーターは、現地の交通事情の悪さなどに苦戦しながらの旅となった。はるばる地球の真裏まで応援に行った現地組日本代表サポーターは、自らの貴重な時間と金を費やしている。苦しい闘いだった。それゆえ、どうしても敗因分析に対して感情的に発言をしてしまうのであろう。

さて、一方で、「ドーハの悲劇」の体験は好意的に共有されている要素も多く、サポーターと選手は、その経験を生かした。4年後のW杯フランス大会に日本代表は初出場を果たすことになるのは周知の事実だ。

W杯ブラジル大会の「敗因分析」「サポーター軽視」については、その発言をドーハ後の時代ような対立軸に据えることなく、日本サッカーを盛り上げるための話題として、サポーターの活動を活性化していくことに役立てたい。それが出来れば、日本サッカーの未来は更に明るく輝くのではないだろうか。ブラジル現地組と接点を持つ場所は沢山ある。Jリーグ試合会場、イベント、彼らが集まる飲食店など。まずは、貴重な生の声を聞いてみることが重要だ。

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