2014年 Jリーグ2階の目線 横浜0-0セレッソ大阪(日産)


「フォルランがいないなんて、今日、私たちは何をしにここに来たんですか!?」
仲間がスタンドに到着するなり、怒り気味だ。残留争いまっただ中のセレッソは、W杯MVPのフォルランを怪我で欠く。ベンチにも入っていない。山口螢の今季絶望の大けがの後、ずっと低空飛行だ。できれば、天皇杯で披露した、フォルランとカカウのツートップを見たかっただが、私たちの希望は叶わない。
「フォルランがいないなんて・・・それを見越して夏に長居に行ったんじゃないですか。」
「いや、あれは、フォルランがシーズン途中で帰っちゃうんじゃないかって予測だった訳で・・・。今日は、いるのにベンチにも入っていないなんて、勘弁してほしいです。」
「いや、まぁ、いないと思っていて、結局いなかったわけですから。」
「私なんて、アウエーに賭けたよ。だって、過去に、ミューレル(ブラジル代表)もイルハン(トルコ代表)もラウドルップ(デンマーク代表)も見ていないんだもん。みーんな、ウチのホームゲームの前に帰国しちゃってさ。だから、どうしてもフォルランを見たかったんだもの。」
「でもさぁ、フォルランはいないけれど、カカウだって大物外国人だぜ。」
「知名度はイマイチですけど、元ドイツ代表で南アフリカ大会でも得点していますからね。」

すでに残留を確実にし、リーグ戦は消化試合に入ったトリコロール。前節の大宮戦は、苦手な対戦相手に、何が何でも勝ってやろう、という気持ちが前面に出た好ゲームとなった。しかし、この試合は・・・。

前半が終わる。何が起きたか、思い出せないほどの印象の無さ。いや、何も起きなかったのかもしれない。とにかく中盤が動かない。動けないのかもしれない。本来はバランサーで似たタイプの兵藤と佐藤が並ぶ中盤の底は、前にボールを運べない。ゆっくりとディフェンスラインでパスが回っていたことを微かに思い出す。そこで下げられることになったのは伊藤翔。確かに、良いプレーは無かった。そして、そもそも伊藤には縦パスが入って来なかった。中村大先生が、サイドや後ろにポジションを移すと、さっきまで中村大先生がいた中央のエリアにトリコロール不在の大きなスペースが出来る。だれも、そこに入って来なかったのだ。これではチャンスは生まれない。

後半開始前にピッチに向かい入れられる藤田。大宮での劇的な勝利から日が浅く、大きな歓声と拍手が起きる。ここ数試合では、パスの受け方が格段に上達して見える藤田だ。今日も、何かやってくれるかもしれない。
「でも、ワントップで孤立させたらダメだぜ。藤田は一人で何か出来る訳ではない。」
「中村大先生が、ツートップにのような位置まで上がってくるかな?」
「それよりは、中村大先生が中盤の底に下がって佐藤が前に上がった方が、まだ、スムーズなんじゃないか?」
いくら大学時代はボランチだったとはいえ、数日間の練習で成果をあげられるポジションでもあるまい。

後半からチームは生き返った。日産自動車の従業員の声援を受けてトリコロールは躍動まではいかないが動いた。それは藤田の活躍でも、樋口監督の采配でもなく、セレッソのアクションがキッカケだった。
「前から来たぞ。気をつけろ!」
セレッソは、後半開始早々に攻勢をかける。前からボールを奪いにくる。そして、攻撃に枚数をかける。前半はカカウが一人で全てを行なっていたが、後半は機能するまではいかないが動いた。監督の指示だろう。

それにより、セレッソの守備の密度が薄くなる。スペースが出来ればパスを通す意欲が沸く。仕掛けも出来る。どちらかというと中村大先生は低い位置からのゲームメイクが多い。そしてミドルシュートを連発。
「惜しい!」
どうしても入らない。ゴールを阻まれる。そんな中で消極的なプレーが目立った藤本が絶好機になぜか後ろにパスをし、少しの時間をおいてベンチに下がる。

「あれ、なんで下げちゃったんだろうね。」
「あれは、さすがにダメだなー。」
「大学サッカーとかだと、たまにあるよね、ああいうプレー。一年生がゴールキーパーと一対一になったのに、なぜか後ろから走ってきた3年生にパスしちゃう奴。」
シーズン開幕当初の自由な発想の藤本は、もういない。窮屈にパスを繋げ、安全なプレーを優先する藤本。あのゴールハンターのような攻撃的なサイドプレーヤーは、どこへ隠れてしまったのだろう。
「ウチにくると、なんだかみんな型にはまっていっちゃうよね。」

セレッソは途中までは勝つつもりだったようだが、引き分け狙いに移行する。そんな中で、どうしても勝ちたいプレーをしているカカウが交代を命じられる。なかなかピッチ外に出ないカカウ。大きなジェスチャーで不満を示す。ベンチに戻ると、慌てて選手やコーチが4人掛かりで止める。
「カカウ、そんなに不満なら、すぐにウチにこいよ!」

終盤は引き分けを狙って守備陣が下がったセレッソを攻立てる。しかし、時間はあっという間に経過して試合終了。スコアレスドロー。日曜日のナイトゲームだ。選手がスタンド前にやってくるのを待たずに帰宅の足を急ぐ人が多い。あっという間にスタンドは空になっていく。あまり、語るべきことが多くない試合だ。特に前半は勿体なかった。

「大宮戦で3得点したから、みんな忘れているかもしれないけれど、ウチ、ぜんぜん得点できていないからね。スコアレスドローといっても『あーやっぱりね』って感じだよ。」
「ここ5試合で3試合が無得点ですからね。」
「しかし、ホント、チャンスは少ないしシュートは枠に飛ばない。」
「タイトルも穫れないし、せめて、リーグ最少失点クラブだけは守りたいね。」
「この先、全て完封で。」
「完封は良いが、無得点の可能性もある。」
「そうすると5試合連続スコアレスドローでシーズン終了か。」
「それ、記録でしょう。」
「下手すればギネスに掲載されかねない。」
「もう、ずっとスコアレスドローが続いたら、最終節なんて、勝たなくて良い。スコアレスドローでイイよ、とか。」
「PKなんて吹かれようものなら・・・。」
「頼む、外してくれ!得点はいらない!とか。」
「記録のために。」
「目標を失うと、もう、わけ分んなくなるな。」

結局のところ、こうして会話は弾んでいる。勝つにこしたことは無い。そう、勝ちが一番の喜びだ。でも、勝たなくても、こうして仲間と一緒にいる週末に価値がある。あ、勝ちが無い。今シーズンは勝ちが少ない。まさか、93年以来の通算勝ち星が清水より少なかったなんて・・・。次は勝とう。浦和を首位から引きづり落とすぞ。

 

< みんなの採点 >

榎本 哲也 5.5
ディフェンスラインを落着いて統率。ピンチを未然に防ぐ。

下平 匠  5.5
今日も好調。選手も観客もやっと個性を評価し始めたようだ。

ファビオ  6
もう、栗原と対等な立場でポジションを争えるのでは。

中澤 佑二 6
貫禄でセレッソの若手を寄せ付けない。

小林 祐三 5.5
クロスを入れようにも中央に人が足りなかった。

佐藤 優平 5.5
中村大先生が前にいるときは、何も出来なかったに近い。

兵藤 慎剛 5.5
キャプテンシーはあるがゲームを動かせる訳ではない。

齋藤 学  5.5
まだキレは十分に戻らず苦戦。

中村 俊輔 6
この人が撃たねば誰も撃たぬ。頼られ過ぎ。

藤本 淳吾 5.5
怯えたようなプレーになってしまうのはなぜ?ヘディングは惜しかった。

伊藤 翔 5
調子が良いとはいえないが、パスが来ないので気の毒ではあった。

端戸 仁 5
存在感無し。

藤田 祥史 5.5
次節は先発もあり得るが、この試合では起用される時間が長過ぎた。

樋口 靖洋 5.5
前半を無駄にした。準備時間が無かったことを差し引いても無策。

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