2014年 Jリーグ2階の目線 横浜0-1浦和(日産)


浦和とチャンピオンシップを争ったのは2004年のこと。「浦和から生きて帰れると思うなよ」と書かれた、あの横断幕から、もう10年も経ってしまった。私たちは、今も生きている。しかし、立場は変わり、浦和は優勝へひた走る。私たちは降格も優勝も無く、ただ10位前後を舵の壊れた漂流船のように漂っている。

試合前のMcafeは、いつもに増してバラエティに富んだ仲間。スコットランド出身のあの人もいれば、珍しい顔ぶれも。
「今日は、他にJリーグが無いから、いろんなクラブのサポーターが来ているんだよね。」
なんと、あのブラジルW杯で日の丸ハチマキを配るプロジェクトを始めた池ちゃんも現れた、パキスタン人のサッカーファンを連れて。W杯決勝戦の舞台。そして海外でも評価の高い浦和サポーターの大量来場。第三者が見るに最適な試合だ。
「でも、今日はスコアレスドローか1-0だと思うよ。」

最近、ますます攻めが遅くなり、得点機が激減しているトリコロール。手数が多い。一方の浦和も慎重だ。絶対に負けたくないという気持ちが見える。リスクを背負わない。ゆっくりと組み立てる。両チームともに同じようなテンポ。(そうはいっても浦和のパスの方が数十倍速いしクリエイティビィティがある)
「こりゃダメだ。プロのまともな試合として成立していない。」
「このまま何も起きないんじゃないか?」
「やっぱり、これはスコアレスドローかな。」

中村大先生が先発で出場することで、見所は明確。果たして、どのような組み立てをしてくれるか?そしてフリーキックからの直接ゴールはあるか?ところが、中村大先生がいるからといって良い攻撃が出来るとは限らない。奪ったボールを、どの選手も、とりあえず中村大先生に預ける。他にフリーな選手がいても、浦和の守備陣形が整っていなくても、パスは中村大先生経由が大半だ。
「佐藤行け!」
「え〜、それも中村大先生にパスかよ!?」
「何もしないでとりあえず預けるって定期預金かよ!?」
「今は金利がやすいんだよ。預けたって、今はなんにも、ならねー!」

その直後のプレーで中村大先生が倒れる。動けない。これは緊急事態だ。試合が始まって間もなく、まだ見せ場が一つもないのにも関わらず、中村大先生はピッチを離れる。

プレー再開。佐藤にボールが回る。
「預ける相手はいないぞ。自分で行くしかないぞー!」
行く。佐藤が行く。自ら仕掛ける。

「よし、この展開はいいぞ。勝ち点パターンだ。」
ハーフタイムを迎える。ゆったりとした見せ場の少ない前半だったが悪くはない。
「でも勝ちパターンではないんだよね。」
そう。勝ち点は穫れる流れだ。

後半が始まると、浦和が仕掛けてくる。攻めが速くなる。前節のセレッソ戦も同じだ。おそらく、あのゆったりとした前半をトリコロールのペースだと見なしているのだろう。テンポを変えてくる。だが、相手合わせが信条のトリコロールも望むところ。後半は白熱していく。

そこでアクシデント。平川が倒れる。ボールが外に出る。でも平川はすぐに立ち上がる。
「やっぱりたいしたことねーじゃねぇか!」
「コロコロ倒れるなよ。」
ここで謎が解ける。それは、中村大先生が前半に倒れたときに、なぜ浦和サポーターが大ブーイングを行なったのか、という謎だ。要は、浦和の選手は押し込まれると、たいしたことが無くても倒れるのだ。倒れて間合いをあけるのだ。だから、中村大先生も同じように、たいしたことがないのに倒れただろうと思ったのだろう。失礼な話だ。そう、2002年に韓国に敗れたイタリアとスペインのメディアは「審判買収だ」と騒いだ。そして、W杯終了後に、それぞれのリーグで買収や八百長問題が起きた。それと同じことだ。自分たちに無いことを相手に当てはめることは出来ない。

浦和は苦しんでいる。ツーシャドーを兵藤とファビオが抑える。特に柏木は兵藤のマークを嫌いサイドに逃げる。そして、徐々に前線と最終ラインの距離が空いてくる。これは勝てるパターンだ。

浦和の攻撃の特徴はサイド攻撃だ。だが、いわゆるクロスを入れてくるサイド攻撃ではない。サイドで仕掛けて、相手のディフェンスラインを下げて、素早くグランダーのクロスを守備網の穴に差し込んでくる。特に、中盤の守備陣のポジションがずれると、そこに二列目の選手が入ってくる。この試合では、そのパターンが一度だけ披露された。それが失点。

負けた。チカラの差は歴然だった。いつもならば勝てる流れだったが、引き分けにすらならなかった。ワンチャンスを決められた。辛い敗戦となった。

試合後に、映画『We are REDS! TE MOVIE~開幕までの7日間~』の 金子陽太監督とも合流して食事会。金子監督親子以外12人は「僕たち完敗」のかけ声で乾杯。金子監督親子以外は残念会だ。さすがに4万人以上の観客が集まると店内は満席。赤青入り乱れて大いに盛上がった。

試合後に、なぜ敵チームサポーターとも一緒に盛上がれたかというと、きっと今は争わないから。
「僕たち、皆さん方と争うつもり無いですから。」
乾いた笑いが起こる。つまり、優勝争いもしていなければ残留争いもしていないから、こうして楽しめる。ずっと10位くらいのシーズン。本当は、それは不幸なことなのだが、このような順位の方が、他クラブサポーターとの新たな出会いがある。たまにはよいかも。

満席で入れなかった浦和サポーターの友人たちはHACの上の居酒屋に行ったようだ。あ、その店は、私たちが一年前に「あと一勝すれば優勝大宴会」を開催した店だ。縁起の悪い店に入ったようだ。

「その店で食って、あと1勝できると思うなよ。」

<みんなの採点>

榎本 哲也 5.5
失点はノーチャンス。

小林 祐三 5.5
安定した守備。ドリブルの判断も的確。

栗原 勇蔵 5.5
輝く存在感。見事な復帰戦。

中澤 佑二 5.5
裏をとられることも少なく主導権を握る。

下平 匠 6
また抜きパスを連発。攻撃のキーマン。

兵藤 慎剛 6
柏木を押さえ込んだ。

ファビオ 6
中村大先生が下がってからは、何でもファビオだった。

佐藤 優平 6
預ける先が無くなってから躍動した。

中村 俊輔 5.5
頼られすぎる不幸。

齋藤 学 5.5
ドリブル光るもパスの連携には乱れ。

伊藤 翔 5
パスが来ない。

藤本 淳吾 5.5
久々の司令塔役。

藤田 祥史 5.5
最後のチャンスは、せめて枠に。

矢島 卓郎  
出場時間短く採点不可

樋口 靖洋 5
あのまま矢島を出さなければ采配ミスを批判されなかった。

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