調査で判明。手放しで歓迎される訳ではない松本山雅の昇格 マリーシア感情的サポ論


熱烈なサポーター、地域リーグ時代からの爆発的な観客動員力、JFL昇格からスピード昇格、松田直樹の悲劇、背番号3を引き継いだ田中隼磨の美談など、松本山雅のJ1初昇格は、各種メディアでは歓迎ムードで報じられた。一方、松田直樹の元所属先で天皇杯での対戦経験もある横浜F・マリノスサポーターの中には松本山雅の昇格を歓迎しないムードもあり、ネット上では複雑な反応を示していた。この松本山雅とは特殊な関係にある横浜F・マリノスサポーターは、どのように松本山雅の昇格を捉えているのかをアンケート調査によって明らかにしてみた。

横浜F・マリノスサポーターは手放しで松本山雅の昇格を歓迎している訳ではない。そこには、サポーター論を巡る意見衝突の着火材になりかねない、クラブ、選手、サポーターを巡り、個々のサポーターで異なる想いの重みの違いや温度差が隠されていた。

松本山雅J1昇格についてのアンケート調査結果
2014年10月28日〜11月9日 有効回答数375
調査対象者 横浜F・マリノスサポーター(松本山雅の試合観戦経験者52%)

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松本山雅のJ1昇格を歓迎していると回答しているのは63%。これは多い数字に見えるが、J1初昇格に対して37%が歓迎していないというのは、異例の極めて大きな数字だということに注目してほしい。

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松本山雅のJ1昇格を歓迎する理由の第一位は「松田直樹が所属していたから。」となっている。日産スタジアムには、松田直樹が横浜F・マリノスを去っても、また、この世を去っても、松田直樹の幕が掲出されている。背番号3は永久欠番。その特別な存在である松田直樹が移籍しJ1昇格を目指したクラブが松本山雅である。松田直樹が存命中は実現することは出来なかったJ1昇格を、残された選手、関係者、サポーターが実現したのだ。横浜F・マリノスサポーターと松本山雅との特殊な関係が、この回答には明確に示されている。

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では、一方で、松本山雅のJ1昇格を歓迎しない理由が何かというと「サッカー以外のサイドストーリーで取材や質問が煩わしいから。」「松田直樹を山雅の象徴としているから。」となっている。ここには2つの要素が含まれている。

1 クラブ優先主義

選手個人よりもクラブが第一に優先される思想。あくまで、松田直樹は「愛する横浜F・マリノスの所属選手である松田直樹」なのである。「松本山雅所属だった松田直樹」を愛している訳ではない。一時、松本山雅に所属していたとはいえ「横浜F・マリノスの松田直樹」は永遠なのだ。

2 サッカー優先主義

サッカーには、様々な要素があるとはいえ、まずはサッカーという競技での勝負が中心にある。同じJ1というカテゴリーで対戦することになると、本来の興味の対象であるはずの勝負よりもサイドストーリーでの世間の興味関心が圧倒的に高まることが予想される。そして、それに気遣いをしなければならない煩わしさが、今から予想できるのである。

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J1で対戦する松本山雅とのホームゲームでの対戦に期待することの第一位は「圧勝」となっている。しかし、回答者の内訳を見ると単純ではないことが分る。特に松本山雅のJ1昇格を「嬉しい。歓迎する。」と回答した横浜F・マリノスサポーターは「圧勝」「勝利」「勝敗に関係なく好ゲーム」の回答数が、ほぼ横並び。そして、サッカー本来の興味の対象であるはずの勝負よりも「松田直樹への想いの共有」の回答数が上回る。これは、まさに「サッカー以外のサイドストーリーで取材や質問が煩わしいから。」と回答した横浜F・マリノスサポーターと真っ向から対立することになる。ここが、一番の内部対立を発生させるリスクだ。

このような意見もある。

「松田直樹はもちろんその場に自分が立ってることを大前提としてJ1昇格を目標にしたのだ。」

サッカー観戦は宗教に例えられるくらいに、個人の思い入れには他人が踏み込めない面がある。サッカー教の宗派は複雑で細分化されている。「松田直樹の元所属クラブだった横浜F・マリノスサポーターはサポーター全体で松本山雅を歓迎しているだろう」という思い込みは、見当違いということが分る。

2015年のJリーグの中で、横浜F・マリノスと松本山雅の対戦は、間違えなく大きなトピックス。全国的に注目を集めるだろう。各種メディアや、他クラブのサポーターには、ぜひ、この複雑な心理を理解した上で松本山雅と横浜F・マリノスの対戦を出来る限り大きく取り上げてほしい。そして、もっとも、そのデリケートな心理に配慮が無いのではないかと不安になるのが、他でもない我がクラブである。だが、クラブにはクラブの、また違った想いがあるに違いない。

 

 

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