2014年 Jリーグ2階の目線 横浜1-0新潟(日産)


民衆の歌が流れる、映像が始まる。今シーズンに、この映像を見るのも、これが最後だ。「闘う者の歌が聞こえるか・・・。」精一杯の大声で歌う。見れば、大型スクリーンに映し出されているのは強かったトリコロール。リーグ開幕当初の連勝のトリコロール。藤本が、まだのびのびとプレーをしていたトリコロール。全ては遠い日の思い出のようでもあり、一瞬で過ぎ去った昨日のようでもあった。王者になるはずだった私たちのトリコロールは、いつの間にか深い闇に沈んだ。まだ11月だというのに、もう目標は見えない。しいて言えば、僅かに、川崎よりも上の順位にことだけが望みだ。ああ、今シーズンも終わるんだな・・・と思いながら試合開始のホイッスルを聴く。

しかし、ピッチ上は予想外にアグレッシブ。中村大先生不在の試合は、テンポが速い。縦への仕掛けが目立つ。連続して奪取するコーナーキック。藤本の放つ弾道は、今シーズンで最も美しいかもしれない。ゴールに迫る。今シーズンのホーム最終節は、良いゲームで終われる予感。

試合が動き出したのはアクシデントからだった。新潟の左サイドバックの小泉が負傷退場。
「誰が入ってくるの?」
「おいおい、松原じゃん!」
「ここで日本代表の投入かよ。」
気がつかなかったが、アギーレジャパンで右サイドバックに起用されている松原が投入される。これで新潟の攻撃は組立を変える。中に当てて、スペースに走り出す松原を使うダイナミックな攻撃。振り回される。再三のピンチに悲鳴が上がる。

そして、ゴールを守る守田が的確な守備。
「いやぁ、この新潟のゴールキーパーはいいね。」
「東口をガンバに穫られたので、カターレ富山から獲得したゴールキーパーなんですよ。」
「そうなのか、それは知らなかった。」
「富山から新潟の移籍とか、太平洋側に住んでいると気がつかないよね。」
「そんなわけないでしょ!」

前半を無得点で折り返す。
「これは、後半の頭から中村大先生の投入が必要かもしれないな。」
「さすがに、やられ過ぎだ。」
どこかで動かないと、この劣勢を跳ね返せないかもしれない。

新潟の縦に速くテンポよくパスを繋ぐ攻撃は脅威。ほんの少しずつの運動量なのだが、選手がポジションを変えることで変幻自在にパスコースを創っていく。来シーズンも指揮を執ることが決まっている柳下監督の見事な戦術。
「ヤバい。強い。っていうか面白い。」
「うわぁ!マズい!」
「松原がくるぞ!」
「来た!裏をとられた!!」
「大丈夫、大丈夫ですって。新潟はウチよりも得点数が少ないんだから。」
「え!?マジ!?信じられない。」
呆気にとられるほどに見事なパスワークでトリコロールの守備を切り裂いていく新潟。しかし、確かにフィニッシュは雑だ。
「っていうか、この面白いサッカーの、どこが不満で川又は移籍していったんだよ!」

局面打開のために、中村大先生の準備が整った、そのとき伊藤翔が決めた。
「そのまま入れろ!」
早いタイミングでのクロスがファーサイドに。競り合った選手の頭に当たってゴールの前に。そこに足を伸ばしたのは伊藤翔。どっと沸き上がるスタンド。絶叫と共に揺れる。劣勢の中でのまさかの先制。これぞトリコロール。

攻める新潟。凌ぐトリコロール。そして、繰り出すカウンター。縦に早い攻防は見応え十分。両チームのゴールキーパーが好守で引き締める。約30,000人のスタンドが興奮する。
「ああ、こんな試合を続けていたら、きっと、もっと楽しいシーズンだったのにな。」
そんな想いを心の片隅に置きながら、目の前のプレーに一喜一憂する。

中村大先生が登場する。樋口サッカーの集大成だ。サイドに起点を創り、スローテンポからじっくりと攻める。
「ああ、こうやって3年間を過ごしてきたんだな。」
中村大先生、学、藤本、攻撃陣のスターが勢揃い。日産スタジアムでのフィニッシュが近づく。さらいは、樋口サッカーの守備戦術の要だった中町の登場。そして、藤田で守備固め。

試合終了。ホイッスルとともに総立ちに。大歓声。見事な勝利。ホーム最終節は完封勝ちだ。そして、声が飛んできた。
「アディショナルタイムに名古屋勝ち越し!」
よし、これで大宮降格の可能性が高まった。浦和も引き分け、素晴らしい一日じゃないか。

「浦和は次節で、実はゴールしても優勝できないことに気が付かないで、ゴールした選手に抱きつく奴いないかなー。」
「あ、あれね、ゴールして大喜びして福田に抱きついた池田。もう降格が決まっていたのに。」
「あの池田を誰かやってくれないかな。」
「それ、森脇でしょ!」
「あ、森脇!ぴったりだ。」
もうご機嫌で饒舌だ。日産スタジアムで勝利したのは久しぶり。そのまま祝勝会に流れ込み。

「かんぱ〜い!!」

今日は正真正銘の乾杯。完敗ではなかった。今年、このスタジアムで、みんなと会うのは今夜が最後。残す試合も味の素スタジアムの最終節のみ。悔いの残らないようにしよう。思い切り、声援を送りたい。

 

<みんなの採点>

榎本 哲也 7
決定機に好セーブ連発。MVP。

栗原 勇蔵 6
ギリギリの競り合いで強さを見せる。

小林 祐三 6.5
タイミングよくドリブルで崩す。

中澤 佑二 6
ファビオとのコンビネーションよくボール奪取。

奈良輪 雄太 5.5
殊勲のクロスは見事だった。

兵藤 慎剛 6
後ろに下げること無く積極的なパス。

齋藤 学 5
ミス多くドリブルも冴えない。

ファビオ 6
すっかり安定したボランチぶり。

佐藤 優平 5.5
長髪なのに目立たなかった。

藤本 淳吾 5.5
積極的なシュート。プレッシャー厳しい中盤ではミスが多い。

伊藤 翔 6
ゴールは、あのポジショニングが真骨頂。

中村 俊輔 5.5
キレなくFKも大きく逸れる。

中町 公祐 5.5
落着いて新潟の攻めを凌ぐ。

藤田 祥史 出場時間短く採点不可

樋口 靖洋 6
予定通りの時間に予定通りの交代。

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