Jリーグ2階の目線2015 横浜2-0甲府


走る。人もボールも走る。縦に早く。予想外のパスの方向に驚き、ドリブルでの競り合いに興奮し、テンポ良いパス交換に熱狂する。中央を突き、サイドから斜めに走りこみゴールを目指す。そして奪った三門の美しい先制点。帰省シーズンのせいか、20,000人に届かず、やや寂しいスタンドだったが、その数倍の音量を発して叫んで揺れた。私たちの楽しいサッカーがホームスタジアムに帰ってきた。この真夏に復活した2015年型トリコロールのサッカー。土砂降りの雨の中で夏祭りは続いた。

三門、中町、喜田。絶妙の連携だ。お互いの位置を確かめ、無駄を生み出さずに有機的な連動を続ける。気の利いた喜田のポジショニング。攻守に全力疾走の三門。ボールを止めない中町。ネームバリューも実力も見劣りする甲府の中盤を完全制圧する。中澤とファビオが、いや、他の小柄な選手までもがバレーを封じる。

「バレー弱すぎ。」
「空中戦弱いなー。」

バレーが空中戦で明確に勝ったのは、枠に飛ばしたヘディングシュートの1回のみ。他は、ほぼ完敗。「とりあえずバレー」を狙っていた甲府の攻撃が機能するわけがない。それは、盛田の投入をしても、あまり変わることはなかった。

聞いたところによると、ラフィーニャは体重を4kg落すとスーパー・ラフィーニャになるらしい。動けるようになれば、さすがにラフィーニャは上手い。トラップでボールを的確に左足の前に置いて仕掛ける。ややサイドを中心に位置するアデミウソンともパス交換の息が合ってきた。ほんの一瞬の間合いから急発進で甲府の選手を置き去りにするアデミウソン。確かにシュートが決まらずゴールを奪えない選手なのだが、それでも、その一挙手一投足から目が離せない。タッチライン際の一つのパスだけでスタンドを熱狂させる。

「ヤバい、楽しい!!」

暑さに強い甲府にとっては、この豪雨はハンディとなった。ボールコントロールにミスが目立つ。ただでさえ、早い時間に先制されて、慣れない攻撃を繰り返さなければならない試合。プレッシャーで押しつぶされていく。トリコロールの圧力でパスを後ろに戻すたびに大きな拍手が起こる。ここは新横浜。トリコロールのホームスタジアムなのだ。

なんてことのない追加点であったが大歓声がひときわ大きかったのは、きっとサポーターが勝利に飢えていたからだろう。

「これで安心だ。」
「失点するなよ。完封だ。」

楽しい攻撃を存分に味わえば、最後は完封で終わりたい。それでこそ、トリコロールの完勝が完成する。しかし、ここで登場し攻撃のアクセルをさらに踏み込む中村大先生。まずはコーナーキック。弧を描いたボールは中澤のアタマに。

「来た!」
「よし!」
「やった!」
「ぐぁ!」
「止めるなよ!」
「また止めた!」
「馬鹿野郎!!」
「うわぁー、これが決まったら最高だったのに!!」

そして、ディフェンスラインの裏を狙う正確なロングパス。熱狂するスタンド。夏休みのお祭り騒ぎ・・・になるはずだったが、ここで打ち止め。三門を失うことで甲府が自由に攻撃を展開してくる。後手を踏んだ上にジョギングで敵を追いかけることになる中村大先生。状況を見てか、それとも、この状況を読んでか、すぐにモンバエルツ監督は前線を2枚替え。これで守備を補填する。残念なことだが、おそらく中村大先生のコンディションは良くない。攻撃においては、足を止めてパスを受けるシーンが多いため、素早く縦にパスコースを自ら作ることができない。2013年シーズンとは対照的な姿だ。体づくりを出来なかったツケが、ここで露呈してしまった。

おそらく、監督は、これも織り込み済みだろう。あみりんによると「サブ組のいつもの練習通り」のサッカーを展開。中村大先生がゲームをコントロールする。ゆっくりとパスを回して、まさに時間を浪費していく。ポゼションを高めることで勝利に近づいていく。これは、もう職人芸の領域だ。逆襲を意気込んでいた甲府の選手たちをいなす。スタンドは静かになる。

「面白いとは言えない展開だが、勝つにはベストな展開だ。」
「なんとしても完封で勝とう、このまま。」

途中交代で投入された3選手が、甲府の攻撃を、見事な火消し役として鎮火し完封勝ち。静けさを打ち破る大声援とともに、一斉にトリパラの花が開く。

「久しぶりだー!」
「勝ったぁ!」
「嬉しい!!」

みんな笑顔だ。このスタジアムで笑顔のみんなを見るのは5月以来。長かった。ヒーローインタビューが始まる。ラフィーニャが「体重を4キロ落とした」と発言し腹筋を見せると「おー!」とスタンドが湧く。

「おいおい、ちょっと待て。みんな『ウォー!」とか言っているけどおかしいから。そもそも始まる前に4キロ落とせよ。」

みんなでゲラゲラ笑う。やっぱり勝利って素晴らしい。チャンピオンの座に返り咲くためにはセカンドステージを優勝するしかない。厳しい闘いだ。でも、今日のようなサッカーであれば望みは繋がる。そして、なにより楽しい90分間だったではないか。大切なことだから、もう一回書く。

私たちの楽しいサッカーがホームスタジアムに帰ってきた。

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