2階の目線2015

Jリーグ2階の目線2015 横浜2-1神戸


正直に言おう。残り時間が15分を切って涙を流していた。先日、あの鹿島サポーターが「酷い」「見苦しい」「卑劣」と切り捨てた神戸の反則に次ぐ反則に手を焼き、10人で守るサッカーに敗れて優勝が遠のいてしまうのかと思うと、悲しみがこみ上げてしまったのだ。なにしろ、この試合は、試合前の選手登場時からスタンドのテンションが上がらず、ただでさえ中2日でエンジンのかかりにくい選手たちにスタジアム全体の雰囲気が迎合してしまった。序盤に緩い空気感の中での失点。とても優勝を狙うチームの試合とは思えないスタートだった。

ネルシーニョは守備の位置を前半よりもさらに下げて4-4-1で守る。サイドからのカウンターでの失点がないと判断したモンバエルツ監督はファビオに代えてケイマンを投入。失点をするとすれば中央でのスピード勝負のカウンターだろうとして中央に小林を置いて中澤をフォロー。右サイドは高い位置に三門を置く。来日後、初めての、なにがなんでも勝利するという采配だ。ケイマンは右サイドで消えてから中に入って楔を受ける動きを何度か見せる。これは、往年の釜本を彷彿とするプレー。ネルシーニョは安田(オランダでプレー経験あり)の更に左に相馬(ポルトガル、ドイツでプレー経験あり)を投入するダブル左サイドバックで対抗。あくまで引いて守り切ろうとする。トリコロールは誰もさぼっていない。無駄なパスもない。それでも攻めきれない。フラストレーションが溜まる。悲鳴が上がる。

アデミウソンは不思議な選手だ。あれほどのテクニックと強さを持ち合わせながらシュートだけは苦手。この日も、絶好機に何度もGKにぶち当てるシュートを披露する。スタンドからは落胆の声。しかし「今日はキーパーが当たっているのかなぁと思ったが」と試合後のインタビューでしゃあしゃあと言いのける強いメンタル。よもやのコースを高速シュートで打ち抜き同点。
「うぉーーーー!!!」

待ちに待った同点。だが、同点でしかない。

「行け!もう一点だ!!」
「引き分けじゃダメなんだ!!!」
「勝つぞ!まだまだだ!!」

中村大先生のポストに当たるシュートからやっとスイッチの入ったスタンドは、まだまだ十分に余力を残していた。一気にボリュームをパンプアップ。押せ押せとなる。このままでは負けると考えた高橋がゴール前でボールの行方を追った上で倒れる。
「立てこの野郎!」
「汚いぞ!」
「痛いわけねーだろ!!」
「外に出せ!」
スローで見ると、伊藤翔に胸を軽く押されただけで顔面を破壊されたらしく、顔面を抑えて倒れている。おそるべし翔竜拳。このようなダメクラブに勝てないことは恥だ。トリコロールが優勝するためだけではなく、このようなダメクラブはJ1から追放されなければならない。応援がアツくなる。

縦パスをダイレクトで、仕掛けるケイマンに流し込む伊藤翔。伊藤翔をマークしていた高橋が取り残される。ケイマンからこぼれてくるボール。GKと一対一。しかし、またしても絶好機にGK直撃弾を放つアデミウソン。
「またかよ!!!」
「うぎゃーーーー!」
跳ね返りを中澤がアタマでつなぐ。またぎフェイントを繰り返してミドルシュートの速射砲は中村大先生。これも止められる。
「惜しい!」
跳ね返りをダイレクトで折り返す右サイドの三門らしきトリコロールの影。オフサイドをアピールして右手を上げる高橋。

そこからは覚えていない。グシャグシャになっていた。絶叫し、飛び跳ねて椅子の上に落ちた。リードされていたときから流れていた涙が飛び散った。後ろの席にいたはずの仲間が、なぜか前にいた。逆転した。悪を粉砕し逆転した。大音量で歌うWe Are Marinos。そして試合終了。皆が拳を突き上げて叫び立ち上がる。

勝つだけではない。パスにドリブルに、フリーランニングに驚きがある。ここまでエンターテイメント色に富んだサッカーを見せてくれるのはアスカルゴルタ監督時代以来だ。楽しいプレーが満載。悪も粉砕。だが、足りないことがある。「俊輔と優勝したい」そして「アデミウソンと優勝したい」。あのリーグ優勝を逃した心の傷は癒えていないのだ。次は川崎戦。あの川崎だ。等々力で、奴らを木っ端微塵に倒すときが来た。さて、あの痛がる高橋、そして逆転ゴールを目にして反則をアピールする姿に、トリコロールを身に纏う者は誰かを思い出していないだろうか。時は2003年11月29日。場所は同じく日産スタジアム。天気は雨。そう、あの日、右手を上げて反則をアピールしていたのはジュビロ磐田の山西だ。となれば蘇ってくるのは大逆転リーグ優勝の記憶だ。あの栄光を再び取り戻そうではないか。We Are Marinos。