Jリーグ2階の目線2015 横浜1-0川崎


長きにわたりブーイングを行わなかった川崎サポーターは、Jリーグ各クラブのサポーターよりも、かなり遅れてブーイングの楽しさに目覚めてしまった。「デビューが遅いとハマる」とはよく言うが、この日もブーイングブームは継続。試合開始前の選手紹介から始まり、試合終了後には審判団に、大きなブーイングが贈られていた。

アディショナルタイムは4分と表示され3分間が経過した。試合終了間際。アデミウソンが大久保にファールをする。
「あー、これはカードだわ。」
「けっこう酷いファールだった。」
「2回やっているし。」

大久保は前半にカードをもらっていた。フェアに進んだ前半。反則ではないが激しいフォジカルコンタクトの連続がスタンドを沸かせた。しかし、なぜか大久保だけは激しさと反則の区別がつかず、筋違いの報復を行って酷いファールでカードをもらっていたのだ。大久保らしさを発揮した期待通りの行為だった。

90分間を通して落ち着きがなく、決定機も創れず、敗色濃厚な展開にいらつきを隠せなかった大久保がアデミウソンの詰め寄る。これはチャンスだ。
「行け行け大久保!もっと言え!」
「そこで躊躇するな!」
「我慢せずに、言いたいことは全て言え、大久保!!」
主審はアデミウソンにイエローカードを提示する。これは当然の判定だ。その間に大久保は走り去り、ゴール前で最後の攻撃に備えている。かなり奥にいる大久保に主審が歩いてゆっくりと近づいていく。
「注意かな。」
「逃げるな、大久保!今からでも何か言え!」
「まだ言えるぞ!言っちまえ!」
アデミウソンが主審の横を歩き大久保へもカードを要求している。主審は進む。真後ろから見ると左の脇が空いている。左手を胸ポケットに入れているようだ。カードをしまっているのか、それとも出そうとしているのか・・・時間をためにためて・・・。
「うわぁ!カード出る!」
「出た!」
「2枚目!!」
「よーし!!!」

それでも、ただでは退場しないのが大久保の退場王としての格の違い。抗議と嘆願で時間を使う。この間に残る選手は最後の攻撃方法を相談することができる。そして、それが終わると、余計な時間を使うことなく、一目散に走ってピッチを去っていく。さすがは退場慣れしている。

最後の最後に、大きな見せ場。トリコロールは歓喜のままに試合を終える。

終盤まで、フェアーな試合だった。そして、試合をコントロールし続けた。試合開始早々に2度、川崎のボールを奪取するために守備陣が突撃し、素早く逆を取られるシーンがあった。あまりに鮮やかに逆を取られたので、これが他山の石となった。以後、トリコロールの守備は辛抱強く慎重に。決して前から奪いに行くのではなく、決定的なコースにボールを運ばれないための守備を続けた。川崎のパスは横パスばかりとなり、スピードダウン。一度だけカウンターの応酬に付き合ったが、それ以外の時間帯は落ち着いた試合運びを続けた。

前半終了間際にファビオが美しいゴール。セットプレーからディフェンダーがヘディングでゴールを奪い取り、なんとなく90分間を終える。まさに、トリコロール伝統の勝利の方程式。全ての選手が持ち味を発揮した。特にアデミウソンは、ボールキープ、ボール奪取、ドリブル、あれほどの貢献をした上でエンターテイメント溢れるプレーを魅せておきながら、2度のイージーな絶好機に放ったシュートが、いずれも西部の真正面に緩い急速で飛ぶところまで、キャラクターを見せつけた。個性あふれる選手の姿を見ているのは楽しい。その上で完封勝利。もう、これは満点の勝利だ。

「すごい気合いの入った試合だった。」
「立ち上がりからシュートが多かったし。」
「誰が1200ゴールを決めるか賭けていたんじゃないか?」
「しかし広島は負けないね。」
「広島を抜こうとしても、あのアウェイの完敗を思えば申し訳ない。」
「ガンバとガスがやれば年間3位は、まだある。」
「さすがに広島を抜くことは難しいけれど年間3位ならばなんとかなるんじゃないか。」
「まぁ、他力本願ですけどねー。」
「なーに言ってるんだ。ウチが他力本願以外でリーグ優勝したことあったかよ!(本当はあるが)」

オリジナル10同士(横浜=J1オリジナル10、川崎=J2オリジナル10)の闘いは、川崎サポーターにとっては後味の悪い結末となったが、そこまでは、実にアツく動きの止まらない素晴らしい試合だった。メインスタンドも増設し観客数も増加。このカードは、益々、熱を帯びていくに違いない。

難敵を一つ越えた。元日まで全勝だ。

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