Jリーグ2階の目線2015 横浜0-0松本

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2015年、松本山雅が加わり、J1には新しい風が吹き込まれた。最終節、試合後に選手たちを讃えるチャントを歌い続ける緑色の波(海はない)を眺めながら、虚しさと嬉しさを感じてシーズンは幕を閉じた。雷鳥は頂を目指すらしいが頂を目指せとは言わない。その、なんとも絶妙なクラブとサポーターの関係が、この熱気を育ててきた。本当は雷鳥を美味しく頂きたかったが、パッとしたチャンスは数えるほどしか生まれない試合だった。

試合後の中村大先生は、大きく体のバランスを崩して歩いてた。やはり、ここ数試合の出来の悪さはコンディションからくるものだったのだろう。そして、喜田が不在の中盤は、今シーズンの象徴的なショートパスを細かく繋いでテンポアップしていくサッカーを実践できなかった。キーマンが機能しない試合で、なんとか勝ちを拾う試合、それをできなければタイトルには手が届かない。チャンピオンシップに出場するクラブとは、そのあたりの大きな差があったことは明白だ。

アンドリューは、過去最高の持ち味を発揮したロングパスを駆使していたが、対する松本は、アンドリューへのマークを捨ててパスの受け手を警戒する守備に見えた。栗原は出番を失い、矢島は秘密のまま。来シーズンに向けて去就も気になる。そしてアデミウソン。

「ぐぁーー!それは決めろよ!」
「撃てよ!」
「いやいやいや、みんな、本気で、あれをアデミウソンが決めると思っていた?」
「いやいや。」
「ちょっとイージーなシュート過ぎた。もっと難しいシュートじゃないと入らない。」

シュートを決める力に乏しい選手。来日前にロマーリオの再来と紹介していたジャーナリストには反省を求めたい。一方で、この一年間はアデミウソンによって選手の技術が一気に伸びた。松本の選手のショルダーチャージを逆に跳ね返すのも度々。強さと上手さを身につけたトリコロールの選手たちは、明らかに一年前とは違う。

今シーズンが無冠でありながら、楽しかったと振り返ることができるのは、アデミウソンとエリク・モンバエルツ監督のおかげだ。プロサッカーリーグはエンターテイメントだ。それを思い返すことができた。もう一年見たい。