Jリーグ ルヴァンカップ2階の目線2016 横浜1-0大宮


第1戦は1-2で敗戦。貴重なアウェイゴールを奪ったものの、引き分けにできる試合を落とした。
「1-0で勝てば勝ち抜ける。だからじっくりやればいい。」
それは、堅守トリコロールのお家芸といわれてきたサッカー。たしかに、これまでは、それを誰もが自信を持って言えた。しかし、今回は違う。完封勝ちでの逃げ切りは困難と言いたくなるほど、守備に安定度がない。采配ミスでの失点も続いている。
「勝負は立ち上がりの10分間だよ。」
「そこでやられれば負ける。」
大宮は、逆にアウェイゴールを奪って早期に決着をつけようとしている。先発メンバーにムルジャと江坂。リードを奪ってから途中交代で温存をしようという狙いだろう。リーグ戦でも、第1戦でも大宮は立ち上がりから猛攻を仕掛けてきた。今日、そこで怯んだら、そこで勝負ありだ。じっくりやって勝てる相手ではない。むしろ、攻撃のエンジンがかからないままに時間が進むことが怖い。

榎本のビッグセーブで難を逃れる。これが決まっていれば、この時点で試合終了。立ち上がり、10分間は大宮の猛攻を受ける。だが10分間で、この猛攻を抑えることができた。縦を切られてドリブルを封じられてしまって空回りするマルティノスを除けば、どの選手も気迫とプレーがシンクロしている。いつ間にかスタンドも「じっくり」というムードではなくエキサイトしていく。

これぞカップ戦。激しく体をぶつけ合い、一歩も引かない。共に「絶対にシュートまでは持ち込むぞ」という意気込みを感じる入魂の攻撃を展開。第1戦では、あれほど、試行錯誤しながらの手探り攻撃であったのに、見違えるようなプレーだ。敗退の危機感が、トリコロールを蘇らせた。大宮はファールを連発。トリコロールは一対一を積極的に仕掛け、一度くらい奪われかけても諦めない。何度も繰り返す。奪われても奪い返す。

特にスタンドのボルテージが急上昇したのは、ムルジャのシューズが脱げたシーン。
「お人よしにボールを出すんじゃないよ!」
「怪我じゃないし!」
「ファールでもないし!」
「シューズが脱げたらプレーを止めてもらえるならば、ピンチになれば何度でも靴脱ぐわ!!」
それまでのファールの連発にイライラを募らせていたスタンドは、ここから、一気にヒートアップする。さらにはコーナーでの中澤とマテウスの対決。譲らない!

金井がパスミス。大宮から出されたパスを金井が奪い返し、伊藤翔へ。伊藤翔は学にボールを預けると全速力でディフェンスラインの裏を狙う。ディフェンスラインが下がることで生まれたスペースにカイケが居残ってパスをもらい、さらに伊藤翔が横に走って大宮のディフェンダーを引きつけコースを開ける。そこでシュート。

「ぐぉーーーーーーーーー!!!!!!」
あまりに美しいシュートに座席から飛び跳ねて、前列の高校生に突っ込みそうになる。
「すげー!!!!!!」
「ちょっと待て!カイケ!そんなシュートを持っているのか!」
「話が違うぞ、カイケ!!!!」

早すぎる先制点は不安になる。しかし前半終了間際のゴール。こんな嬉しいタイミングの先制点は予想外。

後半立ち上がり。カウンター攻撃でカイケが見事なスルーパス。マルティノスは決めるだけ。ところが塩田に止められる。
「うわーーー!!」
「決められないか!」
プレーは続く。しかし、マルティノスは前線でしょぼくれたまま。
「あちゃー、ヤルキナスになっちまった。」
「心のダメージが・・・。」

ここからしばらくは、大宮の低くて速いクロスショー。波状攻撃が続く。悲鳴が上がる。腰が浮く。間一髪で跳ね返す。いや、逆サイドまでの抜けるクロスの方が多かったか。大活躍の栗原が足を攣りベンチに下がることになり、さらにピンチが続く。それでも、引かない。攻めの姿勢・攻撃的な守備を崩さない。第1戦での先発落ちがプライドを傷つけたのか、カイケの気合の入り方がもの凄い。大宮の選手に体当たりしてカードをもらう。

「このまま持ちこたえられるのか?」
「マルちゃん、そのそろアウトだろ。」
「カイケも厳しいぞ。」

第1戦では弱気な采配に感じたモンバエルツ監督だが、マルティノスに替えて投入したのは天野。引かない意志を感じる(そもそも守備の選手のベンチ入りが少ない)。だが、予定外の状況に応じた選手交代は苦手なようで、ここからしばらく、動きの落ちたカイケを放置。さらに押し込まれる。カイケの交代を榎本が要求。それでもベンチは動かない。

「おいボールボーイ!早すぎる!!」

選手だけではなく、ボールボーイの動きにもスタンドから注文が飛ぶ。カイケが倒れる。そこからベンチが慌てて動き始める。

「遅い!遅すぎる!」
「なんとか耐えてくれ!!!!」

投入されるのは前田。時間稼ぎと見せかけてドリブルでボールを中央に運んでシュート。枠を外れる。

「惜しい!」
「前田!それは決めないと!!」
「フリーじゃねえか!」
「でも、やっと前田らしいシュートを見られた。」

どの選手も必死だ。アディショナルタイム5分間を耐える。天野のシュートが決まっていれば満点だった。だが、満点でなくても良い。とにかく完封するのだ。

「前で回せ!」
「繋げ!」
「下がるな!」

試合終了のホイッスル。絶叫。総立ち。得点時に突っ込みそうになった前列の高校生たちとも喜びを分かち合う。素晴らしい勝利だ。引かずに闘い続けた。高い位置でボールを奪い返しにかかる攻撃的な姿勢。それを続けたことが完封勝ちできた理由だ。やっとトリコロールらしいサッカーが帰ってきた。ピッチ上の選手が闘う姿勢を崩さず、ベンチもそれに応えた。さぁ、準決勝ではルヴァンパーティだ。今日は闘志のスパイスが効いていた。今日の勝利に、次は何をトッピングする?

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<様々な目線から捉えた試合>

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