Jリーグ2階の目線2017 横浜1-1広島


厳しいレギュラー争いになった。帰国したデゲネクはピッチ上にはいない。バブンスキーはポジションを失い、代表招集で離脱したマルティノスの穴を埋める場所に起用された。かつて欧州のクラブの移籍した日本人選手が「代表招集で日本に帰国し、代表戦後にクラブに戻ってみるとポジションがなかった」などということが数多く起きたが、それと同じことがトリコロールでは現実に起きている。ポジション争いを勝ち取った者がスターティングメンバーとしてピッチに立つ。

広島の指揮を誰が執るのか、試合直前まで知らなかった。調べてみると経歴が出てきた。日本リーグ2部の1990/91シーズンでアシストランキング3位。
「うーむ、微妙すぎる。」
「得点ランキングではなくアシストランキング。」
「しかも日本リーグ2部。」
「当時の2部のレベルを考えると、ポーンと蹴って誰かが決めるパターンが大半だったからな。」
「つまり、たくさんゴール前に蹴ったということか。」

試合開始早々に積極的な仕掛けでチャンスを作る。しかし、2人でボールにチャレンジするが全体が連動しているわけではなかった広島の守備は、時間が進むにしたがって強固になっていく。明らかにバブンスキーの左ウイングは機能しておらず、山中の困惑が見える。ボールは動き、停滞感はなかったが攻めあぐねた前半。監督解任直後の広島は、完全に残留争いモードで割り切った試合の準備をしてきていた。

後半に入ると、バブンスキーのポジションが、幾分か前になりワイドからの仕掛けも出来るようになる。それでもダイナミックさに欠けると、学と左右の位置を入れ替える。

「倒れるなよ!」
「簡単に吹っ飛ばされるな!」
金井が倒れ、誤審をアピールするブーイングも飛んでストレスが最高潮に達すると、そのエネルギーがスタンドの熱を上げる。大観衆とは言えない観客数でありながら、今シーズンで一番の音量の手拍子。声援。我々は勝てる。勝ち進むことができるという期待が大きな一体感を作り出す。ボールを奪い取りカウンター。大歓声。中澤がドリブル。大声援。惜しいシュートに揺れる。

モンバエルツ監督はバブンスキーの左サイド起用という誤った手を講じてしまったが、後半の選手交代は早めに、しかも攻撃的に。今シーズは、苦しい試合展開から2得点してチームを救っている「切り札感までは無い切り札」前田を投入。見事な抜け出しからスルーパスを受けて、強引に得点を強奪する。待ちに待った先制点。大音量の絶叫とともに跳ねる。
「すげーゴールだ!」
「よく決めた!」

守りきるか、もう1点を奪いに行くか、判断の難しい時間が残る。そして、得点の直後に追加点の絶好のチャンスが飛び込んできた。しかし決まらない。広島は、途中投入された茶島が中盤の深い位置からドリブルで仕掛けて、守備に揺さぶりをかけてから鋭いパスを打ち込んでくる。あの攻撃に対応が後手を踏んだ。そして、持ちこたえられなかった。

悔しい引き分け。誰かが手を抜いたわけでもなく、油断を漂わせるところもなかった。引き締まった好ゲームだった。その証拠に、試合後も多くの観客は一気に帰るわけではなく、選手たちの戻りを待った。大きな拍手が贈られた。前半のスコアレスも、終盤の盛り上がりを生み出す溜めであったと考えたい。あのストレスがあったからこそ、手拍子を主体とした応援と、成長し前進するクラブの姿がシンクロした。

「でも、残留争いのクラブに、また優しさを提供してしまった。」
「さぁ上に行くぞ!というところで立ち止まる。」
「こういう試合では、どうしても勝てない。」
「でも、負けたわけじゃない。」

そうはいっても、どうすれば勝てたのか、なぜ勝てなかったのか、試合後の会話は続く。

「なんかさぁ、前半の攻めあぐねを見たときにさぁ、ここで『俺たちのマリノスが帰って来た』って思っちゃったんだよねー。」
「なんか、ここで勝てないのが『俺たちのマリノス』だよね。」
「俺たちはさあ、『俺たちのマリノス』を返せとか、ぜんぜん言っていないのにさぁ・・・。」
「ここで帰って来ちゃうんだよ。」
「しばらく忘れていたのに。」
「帰ってくるなよ『俺たちのマリノス』。」
「あいつらが等々力で『俺たちの浦和を返せ』とか言うから、勘違いして『俺たちのマリノス』が帰って来ちゃったじゃねーか。」
「だからさぁ、浦和サポーターが悪いんだと思うわけだよ。」
「結論としてはそれだ。浦和サポーターが悪い。」

勝てなかった。しかし、涙がこぼれそうになるほどの大音量の手拍子に、確かな手応えを感じた。まだまだ、このクラブの進化は止まらない。上を目指そう。進んでいける。

<試合後のコメントはこちらをご覧ください。>

<様々な目線から捉えた試合>

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