他サポから見た「俺たちの浦和事件」応援は誰のものか?マリーシア感情的サポ論
「俺たちの浦和を返せ!」
等々力競技場で去っていく選手バスに乗るミハイロ・ペトロヴィッチ監督に向かって浦和レッズサポーターが叫んだ言葉だ。2017年07月5日(水)明治安田生命J1リーグ 第13節で浦和レッズは川崎フロンターレに4-1で大敗した。「俺たちの浦和」とはいつの浦和なのか・・・そのインパクトのある言葉は、すぐに他クラブを応援するサポーターの間で話題になった。
・ACLを制した、リーグ優勝を果たした、あの強い浦和か?(Jリーグの優勝は1回)
・ビスマルクとラモスにヘディングを繰り返し繋いでゴール前に運ばれ武田にゴールを奪われたJ開幕当初の浦和か?
・福田が優勝に向けて快進撃を続ける中で「負けないよ!」とインタビューで答えた頃の浦和か?
・J2降格が決まってしまった後にVゴールを決め喜べない勝利を味わった頃の浦和か?
・今のサポーターの基礎を築き赤い旋風を巻き起こした1992年の浦和か?
浦和外も荒れてます、、、 pic.twitter.com/8qXwaPoyqG
— haruki (@h_o_frontale) 2017年7月5日
7月8日(土)までは、「俺たちの浦和」は他クラブのサポーターからは笑いのネタでしかなかった。そして、勝てなければミハイロ・ペトロヴィッチ監督が辞任するという2017年07月9日(日)明治安田生命J1リーグ 第18節の新潟戦に注目が集まった。浦和レッズは逆転で勝利。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の首はつながった。
試合後にゴール裏で事件が起きる。Curva NORDと言われるゴール裏北スタンドに陣取るコアサポーターのコールリーダーが「今日はやめよう」とトラメガで発言。勝利後に歌うのが恒例(必ず歌うというルールではない)の「We are Diamonds」を歌うことを拒絶したのだ。
勝った!
↓
ウィアダイ歌おう!
↓
ゴール裏中心「やらねえよ!」
↓
それ以外がブーイング、歌い出す。
↓
それに対してゴール裏中心がブーイング
↓
歌いきる #urawareds pic.twitter.com/2G9QU70JW4— とれっせ (@vioredsword) 2017年7月9日
コアサポーター以外のエリアからブーイングと罵声が飛び、Curva NORDの意に反してスタジアムは「We are Diamonds」の歌声に包まれた。トラメガで喋るコールリーダーの横を無視するように、たくさんのサポーターが出口に向かっていく。「We are Diamonds」が歌われる間に、コールリーダーの周辺に空席が増えていく。そして、何本かの動画の中に、こんな女性の声が入っていた。
「あなたたちだけのレッズじゃないでしょ。」
ここで気がついた。笑いのネタになっていた「俺たちの浦和」は、広島からの流入が始まる前の浦和を指してはいるものの、そのベースにあるのは過去の浦和レッズを指す時間軸から表現された言葉ではなかったことに。「あなたたちだけのレッズじゃない」その言葉で表されていた。「We Are REDS !」全ての浦和レッズサポーターが浦和レッズの一員であり、Curva NORDはレッズサポーターの代表者ではなかったのだ。ただ、コールを扇動する役割を担っていたグループに過ぎなかったのだ。
突然に起きたわけではない。過去にも近い事件は起きていた。1997年のこと、駒場スタジアムの東側立ち見席に陣取るURAWA BOYSは太鼓を使用しない応援の推進を試みていた。しかし、それに同意しなかった西側立ち見席に陣取るサポーターが太鼓を持ち込み、応援方法は混乱。最終的には太鼓を再び使用することになり、現在に至っているのだ。
つまり、サポーターの世代交代や「JAPANESE ONLY事件」による「クルバ・エスト」の解散を経ても、浦和レッズサポーターのスピリッツは変わっていない。スタイルは引き継がれ、ゴール裏を引退したベテランサポーターはメインスタンドやバックスタンドで声を枯らして応援し続けていることを証明した。
私は浦和レッズサポーターに嫉妬した。そして、ゴール裏でコールを扇動しているコアサポーターは「応援は誰のものか?」について、改めて学んだのではないだろうか。
石井和裕