上西議員がサッカーファンを騒がせている。さすがに、このツイートは酷い。侮辱物だ。

では、上のツイートよりも先に投稿され、発端となった、このツイートはどうだろう。

このツイートの発言者が、上西議員以外の人物であったとしたら、どのように感じただろう。注目すべきは、上西議員が「親善試合は遊びなのかな」と書いていることだ。この発想は、ある程度、サッカー観戦のキャリアを積んで、サッカーを理解していないと出来ない。実際に、浦和レッズはリーグ戦と比較すると緩めの守備をしており、監督も布陣のテスト采配。警告覚悟の決死の守りはなく失点を重ねた(3失点目は単純なミス)。「親善試合は遊びなのかな」は間違えとは言えないツイートだ。それでも猛反発の総攻撃が発生した。このツイートに対して1,144のリプライ(2017年7月17日現在)が付いている。そこには上西議員のツイートへの反論ではなく、上西議員を攻撃するツイートが大量に存在する。中には連絡先を記載してクレーム電話をかける行為を奨励しているツイートもある。

最初に紹介したツイートは、これらのツイートを受けてから投稿されている。

この現象は上西議員が国会議員だから起きたことだろうか。実際には、スタジアム各所でも起きているのではないか。また、さらに広く見れば、こいつと思った標的は徹底的に打ちのめす日本人気質を示した例でもあるのではないか。これは、攻撃を受けた者が自殺に至るケースも多数あるイジメと似た行為だ。

自分は、一度、スタジアムで、総攻撃の対象になったことがある(こちらにも、そのようになる原因は存在したのだが)。試合中でありながらスタジアムのトイレの前に呼び出される、結婚相談サービスの会員に勝手に登録される、新聞や雑誌の文字を切り抜いて作った脅迫状が郵送される・・・などなど、文字で書くと冗談のようなことが実際に起きた。「もう、スタジアムへ行くのはやめよう」と弱音を吐くことはなかったが、その年にリーグ優勝を果たしたときに、これで脅迫は止まるだろうという気持ちになり「これでスタジアムに来ることを続けられるよ」と言って友と抱き合って泣いた。もう昔の話だ。もちろんSNSなど存在していない頃の話だ。その経験があるので、上西議員への総攻撃はSNSだから起きたというわけではないと断言する。そして今回の場合は「許しがたいツイート」であるかよりも、「あいつを許せない」上西議員という人物を標的に指定して総攻撃している面が強い。サポーターの広大な人的ネットワークの中では「あいつならば総攻撃しても大丈夫な安心感」は一瞬にして共有される。それくらいサポーターの人のつながりは強い。

その標的にされる人の属性やきっかけは様々だ。「にわかに何がわかる」と観戦歴の浅いサポーターが攻撃を受ける場合もあれば、逆にコアサポーターやコールリーダーが人格攻撃の総攻撃を受ける場合もある。「女は黙れ」「ろくに応援もしていないのに黙ってろ」・・・何がきっかけに誰が総攻撃を受けることになるか、予想できない。だから、上西議員を攻撃している人に言っておきたいことがある。いつの日か、その正当な理由なき総攻撃の対象が自分に向くことがあるかもしれないから、その覚悟はしておいてほしい。こうした攻撃が、サポーターやサッカーファンの仲間を広げる方向に役立つのかどうか、今一度、考えてみてほしい。野球の応援と比べてサッカーのサポーターは「敷居が高い」「作法にうるさい」「暗黙のルールが細かい」という声をよく聞く。特に若い世代からだ。それはなぜなのか。Jリーグサポーターの閉鎖性が生み出す負の側面、その一端を示した事件だったのではないだろうか。

石井和裕