天皇杯2階の目線2017横浜1-0磐田


試合終了間際のアディショナルタイム。コーナーでキープすると見せかけて、ドリブルで突破を図るバブンスキー。まさに、これぞマリーシアというプレーで揺さぶる。磐田の守備の要の高橋は怪我で立っているのが精一杯。慌てる磐田の選手たち。もう、磐田に反撃の力は残っていない。直後に試合終了のホイッスがなり。私たちは準決勝進出を決めた。

「しまった失点した。」
「また、アディショナルタイムかよ!」
誰もが思った。副審を見る。旗は上がっていない。またしても大切な時間での失点か。前半からリードを奪われるのか・・・そう思って絶望的な眼でピッチをもう一度見る。主審が副審と視線を合わせ、何か確認している様子。そこで一呼吸を置いて旗が上がってオフサイド判定。大歓声。副審の元に抗議に殺到する薄青いユニフォーム。反対側のゴール裏からはブーイングが聞こえてくる。
「文句があるなら、もっと強く言え!」
「もっと言え!」
「言うだけじゃ足りないぞ。手を出せ!」
ここから、磐田サポーターの敵は一人増えた。
「確認に時間を要していたのだろうけれど、随分とタメてから旗が上がったな。」
「エンターテイメント的には、タメが効いていて最高だ。」
無失点で前半を終える。

おそらく、大半において、磐田はトリコロールを上回った。
「あの10番けっこう上手いね。」
テクニシャンでキープ力がありそうだが、球離れは早く、パスがテンポ良く回る。特に、サイドでのダイナミックなワンツーによる崩しはトリコロールを慌てさせる。
「名波は、ひょっとすると名将かもしれない。」
リーグ戦での対戦時と比べると、格段にレベルアップしていた。

しかし、失点はない。喜田、扇原、栗原、ジョンスが中央を固める。前から厳しくプレッシャーをかける。シビアな展開の中で磐田の嘘つき王こと高橋が倒れる。これまで、何度も、痛くなくても顔を抑えて倒れ、対戦相手、サポーター、審判を欺いてきた男だ。終盤に入って、決め手を欠き、高橋は揺さぶりをかけてきたようだ。
「はいはい、わかったわかった。」
「どーせ嘘だろ、倒れているのは高橋だぞ。」
「顔を抑えているってことは、痛くないだろ、高橋!」
しかし、なんと、信じられないことが起きた。高橋の周りに集まっていた磐田の選手たちが一斉に、頭上にバツを出したのだ。
「えーーーー!?」
「バツなの?」
「マジで?」
「高橋なのにホントに痛かったの?」
「信じられない。」
「笑わせるのもいい加減にしろ。」
こんなことが起きるのだから、この試合、何が起きてもおかしくない。

試合を決めたのは、またもや遠藤だった。対戦相手には、ただの失点ではない屈辱に大きなダメージを与える。もう、シーズン開幕当初の、おとなしく、自信なさげに周囲に気を使って忖度プレーをしていた若手選手ではない。年代別代表選出が、遠藤を変えた。遠藤は豹変した。強くたくましく、ゴールに向かって貪欲に。可能性が高くなくても、シュートを狙い続けた。その結果、バブンスキーの大きなサイドチェンジをダイレクトで折り返すプレーを選択できた。
「腰砕けオウンゴール誘発王」の誕生。「俺にヒザマズケ」と言わんばかりのゴール後の景色。遠藤のクロスをゴールに押し込み、倒れ、トリコロールのサポーターの前で、そのまま土下座でサッカーに詫びを入れたのは高橋だった。

サッカーの神様は、自然の摂理で、トリコロールに勝利を導いた。

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<様々な目線から捉えた試合>

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