マリノス三大アウエーの洗礼鹿島篇

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まず、みなさまに申し上げたいのは、鹿島は外国のように環境が大きく異なるアウエーだということです。普通のアウエーだと思って油断をして乗り込むと、痛いしっぺ返しを喰らうことになります。

 

1 試合前のアップ禁止で芝の感触を確認できず

1993年7月3日 Jリーグ1stステージ 第15節 vs 鹿島(カシマ)

Jリーグ初代王者を賭けての1位と2位の直接対決。初めての鹿島遠征となった。この年の鹿島は、今考えてみると実に納得のいかない「海外のサッカー場は芝を守るために試合前にピッチで練習をさせない」という理由を持ち出し、アウエークラブを困らせていた。特に、カシマスタジアムは他のスタジアムと比較すると芝が長く、一歩も足を踏み入れずに試合がぶっつけ本番で開始されるのは、アウエークラブにとって大きなハンディとなった。この試合では、木村、水沼のスパイクと芝がフィットせず、ピッチ外に出てスパイクを履き替え始めた瞬間に鹿島がプレーを再開し速攻でゴール。アルシンドに2ゴールを奪われこともあり1-3でマリノスは敗れた。これで調子を崩したマリノスは第17節の横浜ダービーでも敗れ、最終的には3位でリーグ戦を終えた。

 

2 暑い夏が一瞬で冷蔵庫のように変わる気温10度の低下

2002年8月11日 Jリーグ 1stステージ第14節 vs 鹿島(カシマ)

猛暑で気温34度を超える真夏の決戦。しかし、試合開始前にアウエー側スタンドの向こうに暗雲が立ちこめ、風とともに牛糞のような匂いが漂ってくる。そして、暗雲から下方に白い霧が流れ込んでくると気温は一気に低下。23度にまで下がった。試合開始後に霧は濃くなり、向こう側のゴールを見ることも難しくなる。この気候の変化に対応できなかったのか、マリノスは敗れ、最終節を目前にして首位から陥落した。

 

3 遂にスタジアム前にコンビニが開店したという噂の真相は

1995年3月18日 Jリーグ 1stステージ第1節 vs 鹿島(カシマ)

Jリーグ開幕当時、カシマスタジアムは田んぼの中にこつ然と建設された。周囲に建物はなく、公園の整備もされていなかった。携帯電話の普及していない時代の1994年に公衆電話が設置されると長蛇の列が出来た。翌1995年に「遂にファミリーマート・カシマスタジアム前店が開店した」という噂が流れた。仲間が買い出しにいくが、待てど暮らせど帰ってこない。1時間近くが経過して帰ってきた仲間の証言で判明したのは「スタジアム前店」とは名ばかりで、アウエーの待機列から約1.6km、往復3km以上の徒歩を余儀なくされたということだった。なお、この試合はデビュー戦となった松田直樹の活躍もあって4-3で勝利。Jリーグ開幕以来、遂にカシマスタジアムでの初勝利を挙げた。