豊田スタジアムは名古屋市からはるかに離れた豊田市にある。スタジアムの機能性、美しさ、非常時の緊急導線など、日本一のスタジアムと呼ばれるに相応しい。秋になれば、遠くに白い雪が光る日本アルプスを臨む。まるでミラノのサン・シーロのような世界レベルのスタジアムだ。ただし、試合後には外が真っ暗闇になる。

「右手にはグラスを、左手には勝ち点1しか掴んではいませんが乾杯!」
名古屋市の繁華街・伏見に到着したのは22時30分を回った頃。そこから残念会が始まった。
「左サイドが破綻していたのだから、もっと早く交代すべきだったんだよ。」
「ベンチも気が付いていて選手は準備していたのに決断が遅かったから、交代する前に失点してしまったのは勿体無い。」
「山中を下げればいいのに・・・とおもったら控え選手がいなかった。」
「控え選手がいないならば遠藤を山中のポジションに入れればいいじゃないか・・・と思ったら、遠藤がバテていた。」
「ちょっと圧がかかると、中盤の選手が引きすぎてしまうのは問題だよ。」
「なんで引いちゃうんだろう。」
「いつも、後半になると中盤のラインが最終ラインに吸収されてしまう。」
「扇原が、今日、良かった点を挙げるとしたら、ガブリエル シャビエルにしっかりとついて行ったことだね。」
「ガブリエル シャビエルについて行ったのが中町だったら、ガブリエル シャビエルは来場に追い込めたかもしれないけど。」
「しっかりついていくから、中盤の選手が高い位置でラインを保てなくなるのかな。」
「なんでバブんスキーを使わないんだよ。」
「俺だったらバブンスキーは絶対に使わない。扇原と同時には絶対に使わない。」
「あとは最後に決めるだけだったのに・・・。」
「でも、本当はそこじゃないんだよ。あれは名古屋もなりふり構わずに点を取りにきたからオープンになっただけ。本当は前半のうちに追加点を取りに行けたかどうかなんだ。」
12人が、思い思いに抱くイメージや戦術論でトリコロールを語る。答えは一つではない。必ず賛成と反対がある。闘うのは選手であり監督であるが、それでも語らずにはいられない。残念会が終わったのは24時20分だった。

山中のプレーは大きく改善した。偽サイドバックが復活した。松原のプレーは先発落ちする以前にも増して見事だった。大津には難しいプレー選択の少ない中央のレーンを与えた方が良さそうだ。喜田の復帰は、忘れていたことを思い出させてくれた。パスを受けるために2メートルから3メートル程度のポジションを動かす作業が素晴らしい。喜田と天野が入ると中盤にパスコースが出来る。しかも、ガブリエル シャビエルとジョーが守備のアクションを起こさないため、扇原は自由な空間を得てプレーすることができた。

前半は上手くいっていた・・・扇原に名古屋が圧力をかける前は。上手くいっていたんだ・・・山中の足が止まる前は。

つまり、私たちは迷宮に入ったわけでもなく、歩む道のその先は袋小路でもない。ほんの僅かではあるが進歩しているし、この順位でも監督に迷いはなさそうだ(交代のタイミングは遅れたが)。課題に気がついたであろう選手も増えた。監督は、おそらく6月のインターバルで盛り返す確固たる自信があるのだろう。誰が本当に監督の意図を理解できているか、リーグ戦で選手を試しているのかもしれない。ひょっとするとリーグ戦ではなくカップ戦のメンバーの方が監督の意図を理解できている「一軍メンバー」なのかもしれない。今は妄想だけが広がる。真意と今の手応えは監督にしか分からない。

インターバル前のリーグ戦の対戦相手はガンバと長崎。この日、名古屋には勝てなかったが、この直接対決シリーズで2勝をしたい。この2戦で、選手によっては、自分の運命を大きく変えることになるかもしれない。

<試合後のコメントはこちらをご覧ください。>

<様々な目線から捉えた試合>