真夏の夕涼み着、入浴時の着衣だった浴衣は、いつの間にか高級な晴れ着の一種となった。それが、ユニクロなどの大手アパレルによる、自宅で洗濯できる安価な商品の市場投入で、一気に普及したのが近年。物の常識は時代とともに変化し、価値も変わっていく。

降格圏の入り口で踏みとどまっているもの、残留争いを強く意識しているトリコロールは未来を見据えた理想のサッカーよりも現実的な闘いを選択。サポーターもそれを受け入れ、目の前の対戦相手を叩いて勝ち点を確保することに全力を注いでいる。試合前は浴衣フェスで笑顔が溢れたスタンドも、試合開始のホイッスルが鳴れば、雰囲気が一変する。

山中がケガで早い時間にピッチを去る。そのポジションをカバーしたのは喜田。不慣れではあろうが、偽サイドバックを取り入れた戦術であったことが幸いし、闘志溢れるプレーで強力な柏攻撃陣を跳ね返す。松原以外は、開幕当初では考えられない顔ぶれとなった最終ラインは粘り強く闘い抜いた。前節に続いて、飯倉のプレーは安定し、まさに守護神の呼び名がふさわしい。

とはいえ、この試合の内容が良かったかといえば、それは別の評価だ。パスを回すシーンが長い。つまり、持たされている・・・いや、勝手に持ち続けて試合を難しくした。前半から、パクジョンスは、縦パスへのプレッシャーが弱く、簡単にボールを中央でキープすることが出来た。バイタルエリアに次の選手が走りこめば、前を向いて次のプレーをすることが出来たはずだ。だが勇気なく、そのようなプレーは数える程しかなかった。ボールは外へ、外へ。

この試合の決着を決定づけたポイントは、地味ながら、いくつか見える。一つはブマルが倒れたシーン。頭を打ったわけではない。ブマルは緊急で治療を受けたければ回転してでも外に出れば良い。主審もプレーを止めさせない。それは当然のことだ。しかし、ブーイングで雰囲気が変わり、トリコロールの選手たちはプレーしたくないというアピール。戸惑う柏。ボールが動かなくなる。その時間があまりに長く、柏がタッチにボールを出す決断。ついには主審はプレーを止める。

「なんというお人好しなんだ!」
「まさか、柏側から止めるとは!」

柏の選手たちには、まだ厳しい残留争い真っ只中の強い自覚はなかったのだろう。なお、ブマルは、すぐにプレーに復帰し、時間を稼ぐパス回しにも参加。

さらには、試合終了直後の柏サポーターから掲出された横断幕。そこにはルヴァンカップ獲得を望むメッセージが書かれていた。柏サポーターは、目の前のリーグ戦に集中できていなかった。3点目はGKが指示を出さなかったことで生まれた。さらには、なぜかバックパスをキャッチする珍プレーまで。

残留争いの勝負は紙一重だ。クレバーなプレーをしているとは言い難い大津だが、頑張りで平均を遥かに上回る貢献をした。再三にわたって、なぜか天野がパスを出そうとする方向とは逆のスペースにばかり走り出すブマルだが、サボらず献身的にプレーをし続けたおかげで2アシストの結果を残した。まずは全力でプレーし続けることの大切さを示してくれた。厳しさの足りなかった柏と、全力で残留のためにプレーし続けたトリコロール。その差は紙一重かもしれないが、勝ち点の差は3つ、いや、直接対決なので6に相当する差がついた。

順位はひっくり返った。柏レイソル・・・地獄へようこそ。

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