第13話 あの活躍は何だったのだ?

2005年シーズンの開幕を前に岡田武史監督は苦悩していた。「ACLとJリーグの両方を狙う」と優勝宣言したものの戦力が整わない。安貞桓は骨折。久保も怪我からの回復が遅れる。そこで獲得したのがアデマールだった。

ブラジル全国選手権の得点王経験があり、シュツットガルトでもプレー。そして、城南一和では、A3チャンピオンカップとACLで横浜F・マリノスからゴールを奪う大活躍をしていたのだ。しかし、実はアデマールはKリーグでは、全く活躍できず城南一和を早々に戦力外になっていた。このことは日本国内では、あまり知られていなかった。

アデマールといえば、三ツ沢球技場での試合前の練習を思い出す人が多いだろう。スタンドから「アデマール!」と声をかければ、必ずと言っていいくらいに笑顔で声の方を向いて手を振ってくれた。ただ、プレーについては印象はない。なぜなら、出場記録はACLの2試合だけだったからだ。アデマールは、ブラジルに戻り、サンカエターノでプレーした後に、なぜかアメリカンフットボールにキッカーとしてチャレンジした。理由はフリーキックの名手だったからだとのことだが、横浜F・マリノス在籍時に、その片鱗すらも感じることはできなかった。

多分、いい人だと思う。
石井和裕(談)