王国からの若き使者 エウチーニョ

Pocket

第15話 忘れ去られた男

2007年シーズンは補強失敗の年として記憶されている。2007年シーズンに加入し1年以内に横浜F・マリノスを去った選手は5名。開幕前には、横浜F・マリノスは若手育成と勝利の積み重ねの同時実現という、困難な目標達成に大きく舵を切る。ベテランの奥大介、久保竜彦、ドゥトラが横浜F・マリノスを去った。特に7年間も左サイドバックでレギュラーであったドゥトラの穴をどのように埋めるかは大きな課題だった。

そこで、ドゥトラの後継者として獲得されたのがエウチーニョ だ。背番号は、連覇の立役者である中西永輔が背負っていた2となり、期待の大きさがうかがわれた。触れ込みは「U-18ブラジル代表候補」と、かなり微妙。U-18ブラジル代表でも怪しい面があるが、そこに「候補」の二文字まで加わっていた。怪しさといえば、プロフィールは「1987年生まれ」となっているが、サポーターグループのMOIST(外国出身のサポーターの集団)が「1983年生まれ」ではないかと指摘している。C契約の予定が報じられたがA契約となった理由の真相は、そのあたりのプロフィールの信頼性かもしれない。オフィシャルハンドブックには「王国からの若き使者は左サイドのダイナミズム」と紹介されている。なお、趣味は「テレビ鑑賞」。

出場したのはナビスコカップ準々決勝の1試合のみ。左のMFで先発出場。雨天の試合で何度か足を滑らせ、前半のみのプレーで交代した。オフィシャルショップで自分の背番号入りのグッズを大量に購入し、両親に嬉しそうにプレゼントしている場面がサポーターに目撃されている。両親は、その後、グッズを身につけてゴール裏で観戦した。

マルクスとセットで獲得。
すっかり記憶になかった。
翌年にマリノスは強化の組織が変更に。
その結果、
ロペスとロニーを獲得するんだよね。
石井和裕(談)