Jリーグ2階の目線2019 横浜F・マリノス2-2川崎フロンターレ


言葉にならない絶叫が日産スタジアムの屋根にこだました。

アディショナルタイムも、ほとんど残されていない。これが最後の攻撃となるだろう。天野の脚から虹を描いでゴール前に送り込まれたコーナーキックは軌道を鋭角的に変え、ゴールに突き刺さった。
「おおおおおおおお!!!」
「ぐぃおおおおおおお!!!!」
決めたのは水曜日のルヴァンカップの後に、先頭を歩いてスタンド前にやってきた扇原だった。言葉にならない絶叫が日産スタジアムの屋根にこだまし、その声は Seven Nation Army のリズムに移行していく。そして、ゴール裏からチャントが始まると、またメロディーを変えていく。興奮状態のスタンドは、いつまでも揺れる。ただし、静寂に覆われた薄い青の一角を除いて。

川崎フロンターレ。もはや神奈川県を代表するクラブ。Jリーグでもっとも魅力的なサッカーを披露し2連覇。等々力競技場の年間チケットは完売し、ホーム、アウェイを問わず、そのチケットはプラチナペーパー化するほどの人気クラブ。かつてのトリコロールと立場が逆転して久しい。

この試合を振り返り、発せられる言葉は様々だ。同点に追いついたことを高く評価する人がいれば、追いついたことは良いが今年のトリコロールの闘い方をできていないことに不満を漏らす人もいる。トリコロールのサポーターに、劇的な同点劇を嬉しく感じない人はいない。だが、終盤のゴール前で多くの選手が放り込みのロングパスを待って足を止めるやり方は得点に結びつくとは思えないし、喜田と扇原のドイスボランチ(中盤の底に2枚の選手)のやり方を洗濯した経緯も謎だ。その辺りに胸の引っかかりを覚える人は手放しで喜ぶまでには至らない。

ただ、一つだけ言えることがある。立場が逆転されてから開く一方だったチーム力の差が、この試合では縮まったことを多くのサポーターは感じていた。無邪気なドリブルが付け入る隙がない緻密な闘いを、トリコロールは川崎に対して挑めるようになった。時代をトリコロールに引き寄せるチャンスはやってきたのだ。

そして、忘れてはならない。引き分けの価値は次の試合で決まる。

できることならば、等々力での再戦も、無敗同士で迎えたい。

闘う者の歌声が響いた。
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