Jリーグ2階の目線2019 横浜F・マリノス1-1名古屋グランパス


試合終了のホイッスル。ため息の後にスタジアムは大きな拍手で包まれた。

激しい試合だった。両クラブのGKは負傷。中盤の奪い合いで警告。強度は強く速い攻防。緊迫感溢れる空気。一度の中だるみもなく、濃密な90分間だった。

「勝てた試合だったよなー。」
「負けなくてよかった。」
一つの試合でも解釈は違う。隣の席で一緒に見ていても違ってくるのだから、この試合を語ろうと思えば、何時間でも語り合えるのではないだろうか。

美しい得点だった。パギ(朴一圭)がシュートを防ぎサイドに繋ぐ。ここで遅攻を選択したかのように見えた。しかし、中央に長い距離の縦パス。そこからは一気にスピードアップし中央から仕留めたカウンター。

「きたーーーーーーー!!!」
「かっこいいい!!」
「よく決めた!」

山なりの浮き玉を使わずに、長短を使い分けてスペースを活かす。これぞ、求めていた得点だ。負傷者が続出し苦しい台所事情だが、ピッチ上の選手は極めるべきサッカーを掴みつつあることを証明した。試合後に選手たちを讃える歌声は続いた。

極めつつあるといえば名古屋だ。想像以上のハイクオリティ。間違えなく強い。パスワークの美しさに加えて時間帯によって使い分ける守備陣形。名古屋がここまでやるとは予想しなかった超コンパクトな圧力のかけ方まで見せる。何と言っても中央が固い。米本とシミッチ。トリコロールもそうだが、ここ3年くらいのJ1は若手の育成や監督の戦術変更を待たない。ダメだったら補強で必要なタイプの選手を集めれば良いという流れが強まったようだ。この名古屋をPKの1失点に抑えたのだから、パギにゴールマウスを任せるようになったトリコロールの格段のステップアップを感じる。安定感が出てきた。名古屋の長谷川とアーリアとジャスール(邪魔な選手だ)が追い込んできても、乱れぬパスで切り抜けることができた。そして、一瞬のタイミングの中で様々な駆け引きが行われたジョーとの一対一。焦らせておいて、タイミングをずらすトーキック(厳密には違う)で、しかも、やや外から巻き込む一級品のシュートを止めたパギ。トリコロールは彼に救われた。パギが関東サッカーリーグ1部のFC KOREAでプレーしていた2013年に、ジョーはリベルタドーレス杯で得点王に輝きコンフェデレーションズカップでブラジル代表として初得点を挙げている。

最後に遠藤に触れておこう。教習所の教育ビデオのような分かりやすい反則でPKを与えてしまった遠藤は入れ込みすぎで空回りしていた。ランゲラックを負傷退場に追い込んでしまった接触は不可抗力。自動車会社のサッカー部をルーツに持つクラブのサポーターであれば理解してくれるだろう。自動ブレーキを装備していれば全ての交通事故を防げるわけではない。一つだけ忠告しておくと、遠藤は軽々しく「自分の今後を左右する」とか「人生を賭ける」といった表現を使わないことだ。「人生を賭ける」場面は、もっと先にやってくる。

パギも負傷した。この審判を割り当てられた審判は不運だった。
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