Jリーグ2階の目線2019 横浜F・マリノス1-0サンフレッチェ広島

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些細なことで騒ぐよりも我々にはウニクレソンが大切だ。

立ち上がり、長短織り交ぜたパス回し。広島は、全くボールに触ることが出来ず、23,559人が入ったスタンドからは嘆きの空気が流れる。「広島は前からは無理して来ないな。」ガッチリとブロックを設定して、ボールを奪ってからの逆襲を狙うのであれば、それに対応した攻めをすれば良い。トリコロールはパスを回し続けた。

「怖いのは柏だけだな。」
「流石に柏と広瀬だと役者が違う。」
高い位置で柏にボールを預けられるとピンチが生じる。その上、広瀬が、そこにいないときもある。
「広瀬は、左まで行かないで!」
「どこいっちゃってんの広瀬!」
不安はここだけだった。

水をまかない、芝を長くするといった方法まで使って、広島はトリコロールのパスを封じたかったらしい。「らしい」と書いた理由は、スタンドからでは、それほどパス回しに苦労しているように感じなかったからだ。ピッチコンディションそして広島の罠と思われる中央に出来るスペースを、おそらく意図的に回避してボールを回していく。

パスを呼び込む動きが止まらない。ポジションを動かしながら揺さぶる。そんな努力を続ける中で仲川のゴールが生まれた。ゴール裏からでは、何が何だかわからないほどの凄いゴールだった。なぜ、あの角度からシュートを決めることが出来たのか。ただ、仲川のワンタッチ目が素晴らしく、見事にGKを置き去りにすることに驚いた。

広島は拙攻を繰り返した。シュートが枠に飛ばない。シュートコースが見えなくても無理して放つシュートが多い。それゆえに、ピンチに悲鳴が上がるようになったのは終盤だけだった。柏さえ、しっかりと押さえておけば失点の気配はなかった。広島はトリコロールのパス回しを恐れただろう。終盤にまで0-1で進めば、あのパス回しで時間を浪費させられるのは明らかだったからだ。広島の選手たちの焦りが手に取るように伝わってくる。そしてトリコロールは、松原、扇原を投入し、広島の反撃を抑え込む。この采配に納得だ。

鹿島、広島、この難敵に連勝した。前節とは異なり、強さと渋さと逞しさを見せつける試合だった。鹿島戦の苦戦での経験が生きた。広島は、トリコロールのパス回しと直射日光を浴びて消耗していった。主審はゴールキックを蹴らせずに試合終了のホイッスルを吹いた。

横川駅行きのバスの列に並ぶ。
「ここで連勝できたのは上位進出につながる大きなポイントとなるね。」
「大分と札幌には負けたけれど、本州のクラブに負けなし。」
「ナイスゲームだった。」
「試合中と試合前に流れた迷子やら呼び出しは何だったんだ?」
「最初に呼び出されたおのくにひろ様はどこへ行ったんだ?」
「ハーフタイム抽選の当選者がおのくにひろ様だったらウケたのに。」
「あれは城福からの何かの暗号だったんじゃないか?」
「3人くらい呼び出されていたよね。」
「迷子が呼び出されたら5分後にパトリック行くぞ、とか。」
「前半は広瀬も迷子だった。」

なかなかバスはやってこない。すぐ後ろに並んだカップルが、何やら私たちに聞こえるように会話している。
「ボール2個分入っているよ。」
「誤審のプレーをした選手を讃えるマリノスサポーターはおかしい。」
「入っているのにスポーツマンシップが・・・。」
Jリーグやプロ野球がプロスポーツエンターテイメントとして市民のストレス解消の役割を担っていることは間違えない。特にサッカーは審判に責任をなすりつけることで愛するクラブや選手の非を認めることなく応援し続けることができるという効果も否定しない。ただ、イケ好かない男が、可愛らしい彼女の前でネチネチと、しかも、目の前にいる対戦相手のサポーターに聞こえるように言い続けることが見苦しかった。つまり、彼がやりたかったのは「サンフレッチェ広島は負けたが、オレは目の前のマリノスサポーターに負けてない」というパフォーマンスだったのだ。例えば、0-3で負けているチームの選手が、試合終了直前にハードタックルで相手を倒して警告をもらうのと似ている。典型的な「俺は負けていない」だ。

さて、広島はチームの実力で負けたのみならず、芝を刈らない、水を撒かないといった方法まで駆使してクラブ全体で負けたわけだが、スタジアムの中で見た限りでは、その効果も「あれは絶対にゴールラインを超えた」という確信の声も感じることが出来なかった。ただの圧勝だった。

どうやら、城福監督の記者会見コメントもあって、夜になってネットでは誤審だなんだと盛り上がっていたようだ。一方、その頃、我々は、予約して店で食べた絶品の「ウニクレソン」が「スウェーデン代表にいそうな名前っぽい」と盛り上がっていた。

フットボールに真実はない。残るのは記録と事実だけ。

こう君の行方は・・・。

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