Jリーグ2階の目線2019 横浜F・マリノス3-1浦和レッズ

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右往左往する判定の直後に浦和レッズは少しだけ反発することが出来た。後味スッキリの圧勝。

この試合で見るべき点は、試合前の大乱闘でも松尾主審と第4審判による長い中断でもない。スペースを見つけて選手が動き素早くパスが流れ続けたトリコロールのサッカーとファインゴールを自陣に叩き込んだ広瀬のプレーだ。

「ガス戦を経て応用編に入った」と表現されるトリコロールのポジショナルプレーは美しさに磨きがかかった。パスコースの選択だけで驚きの声が上がる。見とれて応援の歌声を忘れてしまう。

浦和は守備のときは5人でレーンを埋める戦術。しかし中盤のラインの位置が悪い。誰かが引き出されたときのスライドの方法も曖昧。バイタルエリアが常に空く。次第に撤退戦になっていく。監督の対策は、一応はあったのだろうが、選手がやれないのでは意味がない。トリコロールは、高い位置でボールを奪われる心配がないので、まず、よほどのことがなければ失点のしようがない。

「行け!遠藤!!」

いつしか遠藤は背中に大声援を受ける選手となった。シュート以外は、もう文句のつけようがない。進撃を支える柱。ただ、不思議とゴールを奪えない。持ってない。不運。そろそろシュートを決めてほしい。だから、遠藤がドリブルを始めると、スタンドは一気に沸き立つようになっていった。

「行け!遠藤!ゴールを奪え!」

何度、その声を張り上げたことだろう。過去に遠藤の消極性を批判していたサポーターの多くが、今は、遠藤の活躍に興奮している。そしてゴールネットが揺れた。

「遠藤!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ついに来た!!!!!」

名手・西川の指先をかすめて先制点を強奪した。浦和にとって、この1点のダメージは大きく、守備陣はさらに後退。

「あら、浦和の応援も半音下がったんじゃないか?」

このまま2点目、3点目と得点を重ねて圧勝するのは目に見えていた。浦和にとっては、何か事故でも良いからきっかけが必要だった。そこに現れたのが松尾主審と審判団という救世主だった。

実は、スタンドでの大乱闘の余韻が残る試合開始前に、こんな会話をしていた。

「こういう荒れそうな雰囲気の試合の担当が松尾さんっていうのはちょっと不安だよね。」

松尾さんは判定を間違える審判ではない。ただ、トラブルの後処理は上手くない。また、アドバンテージの後のケアは悪い。例えば、ファールがあったがアドバンテージをとって攻撃を継続させたとする。得点にならなかった場合に、そのまま試合を継続することが目立つ。上手な審判ならば、ファールで倒された選手に、審判自らが「ファールでしたがアドバンテージでした(おそらく)」と声をかけにいく姿を見る。松尾さんにはそれがないことが多い。それは一例だが、正しい判定であっても選手にフラストレーションが溜まることが多いタイプの審判に感じたので、そんな会話をしていたのだ。

そんな松尾主審と審判団に浦和レッズは救われた。8分間15秒間の中断をきっかけに、興梠がチームメイトの声をかけ前を向きリスタート。浦和は攻め込んだ。この試合では見せられなかったアツい心を感じさせるプレーだった。トリコロールは失点した。そして、しばらくの間、浦和の望むオープンな試合展開に付き合うことになった。

だが、失点について別の側面がある。広瀬の素晴らしいオウンゴールについてだ。あのオウンゴールは自らの責任感と諦めない姿勢から生まれた。身を投げ出して得点を阻止しようとして弾丸シュートでゴールネットを揺らすプレーを経験してこそトリコロールのディフェンダー。過去、1993年5月の井原正巳から始まった美しいオウンゴールの系譜に、広瀬陸斗は名を連ねた。おめでとう。ようこそ、トリコロールの美しき守備陣へ。

判定の右往左往の余韻が薄れてくると、次第に試合は元のペースに戻っていった。PKを決め3-1に。本来ならば、もっと早い時間帯に決まっていた3点目だ。浦和サポーターは「あのオフサイドが認められていたら・・。」と悔やむだろうが、あの2点目(浦和にとって2失点目)がなければ、浦和の反発はなかった。つまり、広瀬のオウンゴールが生まれるようなシーンもなく、一方的に4-0くらいで試合は終わっていたに違いない。完勝とは言えないが圧勝だった。前半のシュートは12-0。トータルでも21-4。あの時間帯のお付き合いをしなければ、その差はもっと開いていた。スッキリした気分で試合終了のホイッスルを聞く。

あの判定の右往左往を批判できるのは、本来であれば、試合終了時刻が遅くなったために終バスや終電を逃すことになってしまった人だけだ。だが、8分間15秒間の中断があったのにも関わらずアディショナルタイムは7分だった(他にも2分くらいの中断はあったはずなのだが)。松尾さんも早く帰りたかったのだろう。

試合終了後、MOMはティーラトンと発表された。当然の選出だ。変幻自在に素晴らしいゲームコントロールをした。そして、もう一人は遠藤の名が呼ばれると誰もが思った・・・がセレモニーはそのまま終了した。

「あっ!今日はマッチスポンサーがいない!!」
「だからMOM表彰は1人か!」
「やっぱ、遠藤、持ってない!!!!!!」

胴上げブーム到来
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<様々な目線から捉えた試合>