Jリーグ2階の目線2019 横浜F・マリノス4-2北海道コンサドーレ札幌

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歴史に名を残せ。集大成が近づいてきた。

0-3で敗れた札幌でのアウェイゲームを覚えている人は、どれくらいいるだろう。あのときの布陣を思い出せるだろうか。日陰には、まだ雪が残るシーズン序盤だった。監督就任2年目とはいえ、戦術の熟成には程遠く、三好のワントップ起用。そして、全く機能しなかった。圧倒的な力の差を札幌から感じた虚しい試合後だった。さらに言えば、その時点で優勝に向けて勢いよく走り出していたのは名古屋だった。

リーグ戦は長い。何かを失って何かを得る。その積み重ねが順位だ。2019年シーズンのJリーグで、最も多くを得て進歩したクラブはどこだ?と質問されれば、トリコロール を差し置いて回答できる人は、余程の変人か、どこか特定のクラブのサポーターしかいないだろう。トリコロールは、今、最も注目を集めるクラブなのだ。

当初は失笑も生まれていたエリキのプレーは、今や連勝を支えている。守備にムラも少なくなり、GKのボールを奪って先制点。さらに美しい追加点。左サイドは、矢のような勢いでマテウスがボールを前に進める。

監督の戦術、安定感を与えた今シーズンからの新加入のパギ。最強のセンターバックコンビとなったチアゴと畠中。そして、シーズン途中に加わって、札幌をズタズタに切り裂いたエリキとマテウス。こうした補強の裏にはCFGのノウハウ、マンチェスターシティ戦の実現を含めた多くのスポンサー獲得が存在する。私たちは、従来からのJリーグクラブとは違うシーズンを過ごしてきた。

全く新しい存在なのだ。

では、優勝に向けて万全かというと、そういうわけでもない。この後の対戦相手は、この札幌戦のように簡単に中央をドリブル突破させてくれるはずがない。サイドバックの裏に斜めに入れてくる低い弾道のサイドチェンジに、トリコロールは脅かされた。これは4月20日の札幌ドームでの惨劇から、あまり変化していない。扇原と喜田の代わりの選手がいないため選手交代の選択肢が少ない。シーズン終盤の疲れが見える選手がいる、リードするとDFラインの裏にクロスを合わせに行く選手が減る・・・課題はたくさんある。一つくらい引き分けることは十分に考えられるだろう。それくらいの心算があったほうが焦りに繋がらない。すべてを確実に勝てるほどJリーグは甘くない。

しかし、日本サッカー史が、日本サッカーの進歩の歴史であるのならば、今シーズンのリーグ優勝はトリコロール でなければならない。偉大なる繰り返しクラブである鹿島、長谷川監督の守備固めで躍進した東京が優勝しては、Jリーグの進歩が記録に残らない。「Jリーグは、資金、分析、戦術、途中補強も含めて総合力で闘わなければ勝てなくなった2019年」という歴史の足跡を残そう。その資格があるのはトリコロール だけだ。

4月20日の札幌ドームでの惨劇から半年を経て、トリコロールは大きく進歩した。その証明となる4-2だった。

力強くボールを前へ。

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<様々な目線から捉えた試合>