ACL2階の目線2020 横浜F・マリノス4-0シドニー

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過密日程の5月までに勝ち点を積み上げろ。

豪州リーグ王者、今シーズンも連勝街道を走る、強力ストライカーを擁する・・・死の組の一角・シドニーFCを迎えるホーム初戦は、ACLのヒリヒリとした緊迫感もなければ、まだ見ぬ強豪を迎え入れるワクワク感もなく、あっさりと終わった。

「ウチが強いのかシドニーが弱いのかよくわからなかったよ。」
「全北もアレだったし。」
「全北もメンバー入れ替えでまだまだって感じだったしね。」
「上海と対戦するまでは、ウチのアジアの中での実力はよくわからないな。」
「上海は、なんとなく、どれくらいやるかイメージが湧くから基準になるね。」

素晴らしいサッカーだった。シドニー陣に全員が入ってまで最終ラインを上げるシーンがあるほどのコンパクトなネガトラ対応にシドニーに沈黙した。アタッキングサードに入ったあたりの仕掛けは昨シーズンよりも早く、目まぐるしくボールが動く。一度、前が詰まったときに後ろに下げたからの斜め前への展開がテンポ良く見事。埼玉スタジアムで見たトリコロールとは一味も二味も違った。

平日でリーグ開幕前であるのにもかかわらず10,000人以上が応援に駆けつけた。何度も何度も美しい拍手が鳴り響く。このサッカーを生で見ることに、スタンドから応援することに飢えていた。やっとオフを終えるサポーターの喜びを感じている。

一方で、テレビでは伝わらない、なんともいえなモヤモヤ感もあった。意識したくなくても意識してしまう新型コロナウイルスの影。視界に入る反対側のスタンドには白い小さな花が咲いているように見えた。なぜなら、かなりの比率で白いマスクをしているからだ。みな、感染を気にしている。気にしなければならない。勤務先からの指導でスタジアムに来られなくなった人もいる。この先、いつ、無観客試合になるかわからない。心の片隅にある不安のせいで、4-0の大勝の割には歓声は大きくならず、試合後の会話の盛り上がりも、バックスタンド全体で乏しく感じた。

その後の厚労省の発表によりイベントを自粛する呼びかけはなく、ひとまずJリーグはいつも通りに開幕することになる。選手たちも、東日本大震災直後のように、どこかで小さな葛藤があるかもしれない。でも、お墨付きは得た。サッカーはサポーターの前で行われる。Jリーグ開幕のガンバ戦では、思い切りプレーしてもらうために、思い切り応援しなければなるまい。

そうは言っても嬉しい。今シーズンのホーム開幕が4-0の大勝。そして、居心地の良いホームスタジアムへの帰還。試合後は上機嫌だ。

「リーグ開幕を前に、ここまで仕上げてくるとは凄いね。」
「あとは左サイドの不安だな。」
「エリキがやれるとは、まだ思えないしね。」
「マテウスの穴がでかい。」
「そのうちズバッと補強じゃないの。」
「いるかな、うちの左をやれそうな選手。」
「いるんじゃないの?まず、徳島とか山口とか・・・。」
「あと、あっJ1だと●●って左だよね?」
「そうなんですよ。●●はありだよね。」
「しかも、監督に、ウチに近いやり方を仕込んでもらえるし、これはありなんじゃないか?」
「だから、あんまり早く監督が解任されたりしちゃダメなんですよ。ちゃんと身につけてもらわないと。夏前の解任だけが心配。」

ご存知の通り、開幕直後の日程は緩い。ACLはしばらく試合が組まれていない。Jリーグのアウェイゲームも東京、平塚、清水だ。この3月、そして4月までに、どこまで勝ち点を積み上げられるかが大切だ。選手もスタンドもパワー全開で臨む必要があるリーグ開幕戦になるはずだ。5月になれば関西地方、東北地方、北海道、そして南半球遠征がやってくる。そう簡単に勝ち点を積み上げることはできなくなる。3月から5月をトータルで考えたい。1993年シーズン以来のアジアの頂点とリーグ連覇を目指せトリコロール 。

そしてやってきた私たちの週末へ。ホーム開幕おめでとう。今シーズンも、ここでたくさん笑って、泣いて、嘆いて、怒って、喜んで、感じて・・・そして頂点に立ちたい。

シドニーサポーターは少数精鋭

<様々な目線から捉えた試合>