50周年を前に私たちのトリコロールとは何か?を考える。マリーシア感情的サポ論

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1972年に創部、1992年にプロクラブとしてリスタートした横浜F・マリノス=トリコロールの今と未来。

2年後の2022年は節目の年だ。クラブの歴史は半世紀を積み重ねることになる。

Jリーグは「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達に寄与するとともに、国際社会における交流及び親善に貢献すること」を目的に活動しているプロサッカーリーグだ。Jリーグに加盟する横浜F・マリノスは、Jリーグと目的を共有し、夢を実現するために、一緒に歩んでいる。サポーターもその一員だ。では、横浜F・マリノスというクラブは、Jリーグの目的や理念の下で、具体的に何を目的にどこに向かって活動しているのだろう。

他のJクラブは何を目指しているのだろう。

例えば、大分トリニータは「サッカーを通じて、大分の活力に貢献する」ことを目的に掲げている。オフィシャルサイトのわかりやすい場所に書いてある。

浦和レッズは「さいたまと世界をつなぐ窓になります。」と宣言している。

Més que un club(クラブ以上の存在)

FCバルセロナの当時のクラブ会長、ナルシス・デ・カレラスが1968年にクラブの最高責任者として行なったスピーチで発せられた「Més que un club(クラブ以上の存在)」という表現は2018年で50年を迎えた。FCバルセロナはスペインのスポーツ界の一翼を支えてきた。

巨人軍が意識してきたのは、とてつもなく大きな使命感。

日本のプロスポーツを牽引してきたチーム(またはクラブ)はどこか?と質問をされれば、多くの人は東京読売巨人軍(ジャイアンツ)と答えるだろう。日本人にとって、好き嫌いはあれど、東京読売巨人軍の存在は大きい。その理由が「東京読売巨人軍50年史」からうかがえる。

年史から見えてくるものがある

「東京読売巨人軍50年史」の冒頭で書かれているのは、戦争の時代に、どのように広く国民に娯楽を提供しようとしてきたかについてだ。第二の半世紀へ向かって歩む東京読売巨人軍の決意は、こんな一節から始まる。

「巨人軍の歴史は、“戦争と平和”の両極端を歩んだ動乱の昭和の歴史ともにあり、先駆者としての厳しい洗礼を受けた。栄光のかげには先輩たちの苦渋が秘められている。」

これが書かれたのは1984年。今から36年も前のことだ。当時の記憶を残す人は、もう少ない。でも、伝統と挑戦は、今もしっかりと受け継がれている。だから、読売巨人軍は21世紀に入っても、日本で屈指の人気プロスポーツチームであり続けているのだ。

横浜F・マリノスの場合はどうか?2022年に横浜F・マリノスは何をサポーターに語りかけてくれるのだろう。

オフィシャルサイトには、このように書かれている。「青少年を含むあらゆる層の方々の健全で豊かな生活を応援し、地域に貢献できるクラブになる」・・・とても曖昧だ。そこで、改めて1993年の出版物、2004年に発行された12年史、2012年に発行された20年史を読んでみたのだが、明確な答えは見つからなかった。おそらく50年の節目には、何かが打ち出されるに違いない。

2020年〜2021年が次の半世紀に大きな影響を与える。

「“戦争と平和”の両極端を歩んだ動乱の昭和の歴史」が東京読売巨人軍の社会的使命を具体化していった。人種差別事件、東日本大震災、熊本地震、新型コロナウイルスを経験し、そしてCFGが参画し世界と繋がった横浜F・マリノスはどうだろう。

若いサポーターたちの、2020年〜2021年の行動が、2022年に50周年を迎える横浜F・マリノスの次の半世紀に大きな影響を与えるだろう。ここ数年のサポーターは、現在進行形で次々に新しいコトを起こしている。その多くは、これまでのコアサポーターの論理とは若干異なる。特に、既存の概念の刷り込みが浅いうちに、大きな社会的事件を経験した10歳代〜20歳代の若い世代は、勇猛果敢に、これまでの価値観を切り崩している。「もはや平成ではない」。2004年に書かれたサポーター史と今とを比較すると、あまりの違いに驚かされる。

横浜F・マリノス12年史

サポーターの心の中にある答え合わせをしてみよう。

今、私たちは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、Jリーグ史上二度目の大きな中断期間の中にいる。しかし、試合がなくてもトリコロールの話題は中断していない。何かの理由をつけてサポーターが集まって酒を飲んだりもする。サッカーと無関係に一緒に遊びに行ったり旅行に行ったりするサッカー仲間も無数にいる。世代の壁も超える。私たちはトリコロールと共に毎日を過ごし、横浜F・マリノスを通して仲間の輪を広げるのが日常になった。試合のない今だからこそ、心の中にある「自分とトリコロールとの関係」を振り返ってみてはどうだろう。そこに感じる幸せ、力、広がり、そして、未来の横浜F・マリノスの姿が見えてくるかもしれない。

Més que un club(クラブ以上の存在)