Jリーグ2階の目線2022 横浜F・マリノス4-2 川崎 まん防を超えて

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川崎フロンターレは、今、Jリーグの絶対王者だ。優勝候補の筆頭であることは間違いない。その川崎が4失点。4年ぶりの逆転負けだという。ニュースの多くは川崎が主語だった。仕方ない。王者に対しては敬意を示そう。ただ、示すのは敬意だけだ。試合結果は4-2の勝利。この試合の主役は、誰が見てもトリコロールだとサッカーファンに示した。

もしかすると、きっかけは選手の怪我だったのかもしれない。しかし、後半開始直後の選手交代が試合を動かした。前半は安全なプレーに徹していた中盤の組み立てが活性化された。センターバックだった岩田がアンカーに。2021年に連戦連勝していたときのポジションに岩田が帰ってきた。そして、喜田のポジションは前へ。ゴール前に顔を出せる人数が増え、中央でも素早いパス交換が目立つようになった。

川崎にとっては不運だった同点ゴール

逃げないトリコロールは強い。川崎にとっては不運も重なった。ピッチ外に退いたチャナティップがピッチ内に戻ろうとしたが、ボールがチャナティップの近くのエリアでパス交換されたため、主審は戻す指示を出せなかったのだ。ルールだ。そして、こうした隙を突くことが極めて苦手なトリコロールが意外な形で得点。エウベルのヘディングシュートは素晴らしかったが、おそらく、これぞ本当に「集中力が切れていた」のだろう。川崎の多くの選手はチャナティップと主審に気を取られていた。そして1分後に追加点。攻めの姿勢を貫いてこそ、優勝するに値するトリコロールの輝きだ。

強い王者から4得点した。強い王者を相手に、突破力のある両ウイングを起用する選手起用を選択した。そして、両ウイングが2得点した。上々だ。

新戦力の試運転も

後半は、中盤を攻撃的な布陣に変え、畠中とエドゥアルドのコンビも機能した。試合をクローズする役割だったはずの樺山がピッチ上で迷子になり、穴埋めのためにマルコス・ジュニオールが疲弊したこと以外は、ほぼ順調だった(川崎相手に失点のピンチが多いのは普通だ)。

予想外の大観衆を魅了

開幕戦に生じた疑問の一部は解決に向かった。ここ数年で身についたトリコロールらしさが蘇った。優勝争いの高い壁になるのは間違えない王者の勝ち点を削った。そして、何より、神奈川県のまん延防止等重点措置の延長に伴い、まん延防止等重点措置期間中の収容制限である20,000人を433人も上回る大入り20,433人のファン・サポーターが足を運んだスタンドを魅了することができた。見事な試合だった。