Jリーグ2階の目線2022 横浜F・マリノス0-1 福岡 残酷な見殺し

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アビスパ福岡にアウェイゲームで敗れるのは21年ぶりだそうだ。西日本新聞は快挙のように大きく紙面で伝えたが、実際には、その間に5試合しか行われていない。そう考えれば、この試合は、いつも通りの敗戦。特別な試合とは感じなくなる。

しかし、この試合の後、福岡空港へ下る坂を歩きながら感じたのは、この上ないほどの深い失望だった。その感情は退場したアンデルソン・ロペスに対してではない。選手が退場することはよくある。唾を吐く選手も思い出せる(Zから始まる名前だ)。

この失望の正体は「残酷な見殺し」だ。アンデルソン・ロペスはベンチに見殺しにされた。そう感じてしまうのだ。私たちマリーシアのメンバーのほとんどはメインスタンドのベンチ上位置に座っていた。試合が進むにつれて、ピッチ上以上にベンチがエキサイトしていくのが見えた。ベンチが主審からイエローカードを提示された。水沼が、あまりにエキサイトするベンチのスタッフに「もういいから」とピッチ上から注意する振る舞いを見せたのは、この試合を象徴するシーンだった。彼らは、自分のことしか考えていなかった。ピッチ上で苦しむ選手のことはベンチから見えていなかったのだ。

アンデルソン・ロペスは福岡の選手と何度もやり合っていた。もしかすると、福岡の選手を退場させようと駆け引きしていたのかもしれない。いずれにしても、ボールに集中していなかった。これほど「集中」という単語で的確に表現できる試合は珍しい。なにしろ、自分の目の前を通過するボールに気がつかないくらい、アンデルソン・ロペスは福岡の選手と何度もやり合っていたのだ。

ベンチは、アンデルソン・ロペスがボールに集中できるようにサポートすべきだった。もしくは、早々にベンチに下げるべきだった。しかし、何もすることなく、アンデルソン・ロペス以上にベンチはエキサイトしていた。この試合は3人しか交代カードを切っていない。つまり、アンデルソン・ロペスを交代させても、予定されていた選手交代のプランを左右することはなかったと考えても良い。でも、何もしなかったのだ。

アンデルソン・ロペスへの仕打ちは残酷な見殺し。こんな試合は、もう見たくない。