Jリーグ2階の目線2022 ACL 横浜F・マリノス2-3神戸 浦和美園からの夜道を歩き、今は、ただ休みたい
AFCチャンピオンズ・リーグはラウンド16で敗退。またしても、その地は埼玉スタジアムで、対戦相手はヴィッセル神戸だった。かつてはアジアを連覇し頂点に立った横浜F・マリノスだが、それは20世紀の物語。アジアタイトルから長く遠ざかっている。特に、今回はJ1降格圏に沈むヴィッセル神戸が対戦相手だったので、落胆が大きかった。
7月は3勝2分けで負けなし。14ゴールと破竹の勢いだった。しかし8月に入って一つも勝てない。タイトルを2つ失った。選手は疲労困憊だ。動きは重く判断も鈍い。象徴的だったのは永戸がボールを奪われた3失点目だった。ハーフウェーライン付近から走ってゴール前に戻ろうとしていた永戸だが、ボールが左サイドに流れたので方向転換。そのまま、さらに長い距離を走った。試合は終盤。残る力を振り絞って肩を揺らしながら走る。しかし、それをヴィッセル神戸の飯野が、あっという間に追い抜いていった。「油断があった」というよりは、ゴール前に戻ってくる途中で「すでに力尽きていた」。このシーンで最も悔やまれるのは、多くの選手が自陣方向に長い距離を走っており、ボールの処理を永戸に任せてしまったことだ。もし「勝負の神様は細部に宿る」という声があるのであれば、それは永戸に援護がなかったことに向けてほしい。もし、永戸の耳に、飯野が近づいているコーチングの声が入っていたら、永戸は真っ直ぐにボールを追わず、全身を使ってボールを隠す動作をしていただろう。
2022年7月19日は、横浜F・マリノスの勢いを削ぐトリガーとなったかもしれない。10日と16日にJリーグを2試合連続で引き分け。共に2失点し、実はチーム状況は悪化の兆しを見せていた。そして19日火曜日。本来ならば、選手はコンディションを整えるトレーニングを行なったはずだ。しかし6人の選手は日本代表としてピッチに立っていた。日本代表は香港代表を6-0で下した。
7月24日に小池がフル出場。そして7月27日に山根視来が体調不良で欠場し、中2日で小池がフル出場。横浜F・マリノスは守備の要が疲弊し宮市を右膝前十字靭帯断裂で失った。
埼玉スタジアムから浦和美園駅までの道は長い。足取りは重い。
「W-1で消耗したよね。」
「しかも暑かった。」
「神戸はドリブルへの対応が悪かったから、今日は右サイドに途中投入したい選手は宮市だったね。」
「山根が出場できないコンディションで小池が連戦起用になったのは仕方ないことだよ。でも、せめて山根はウチの試合を休めよ。」
「畠中のコンディションは悪いままだし。」
「結局のところ森保が悪いんじゃ……。」
「負けたことは変わらない。ここでゆっくり休んでコンディションを立て直すしかない。」
「トリフェスはリモートであっても、しばらく先送りした方が良いね。」
「どうしてもやってくれという声が多かったら、選手のお昼寝中継でいいんじゃないか。」
「神戸にイニエスタがいてくれたら、こんな試合にならなかったのに……。」
「スペインに一時帰国してコンディションが悪くなっていたのかもしれない。帰国していなかったら起用されていたはずなのに。」
「あとは飯倉が出場していたら、テンパってミスしてくれたはず。イニエスタと飯倉がいないのは痛かったわ。」
「こうなったら、神戸には決勝戦まで勝ち進んで消耗してほしいね。」
「その結果、リーグ戦で負けが込んで早く降格を決めてくれるとありがたい。ウチは最終節に勝てる確率が上がるしチケット争奪戦も少し楽になるはずだ。」
「ホント、選手には厳しい試合だったよね。エウベルなんてボールが動いているのに両膝に手を置いて休んでいた。」
「なのに、そこにパスしようとする松原は鬼。」
埼玉高額低速鉄道(略して埼玉高速鉄道)に乗り込み会話は終わる。帰宅すれば、程なく日付も変わるだろう。でも、気持ちが切り替わるのは少し先になるかもしれない。リフレッシュを終えた選手の明るい表情を見たときに、おそらく、この気持ちは晴れる。そして、残るタイトルはリーグ戦しかない。