Jリーグ2階の目線2022 横浜F・マリノス2-2東京 最後の10分間の猛攻が次の勝利につながるはずだ

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Jリーグは終盤戦に入る。とはいえ、まだ10試合を残していた。各国のリーグと比較すると実力が伯仲しているリーグなので、これを全勝で乗り切るのは至難の業だ。まだ、何が起きるかわからない。そして、今節で川崎フロンターレは敗れた。

川崎フロンターレとの勝ち点を1つ詰められたとはいえ残念な引き分けだった。古今東西スタジアムは常に不条理に満ちており、思い通りにことは運ばない。森重がリスペクト宣言をすることはあるし、選手自らが報復による反則を自首してもイエローカードが出ないこともある。2-0から勝利できないチームは少ないが、それでも統計によると7%はあるという。英衛星放送局「スカイ・スポーツ」の検証によればプレミアリーグで2点のリードを得たチームの89.6%が試合に勝利し、7.6%が引き分け、2.8%が敗北している。

ひとつ確実なことをいえるとすれば「どんな試合であっても相手チームよりもたくさん得点すれば勝利するし勝利すれば不条理は気にならない」ということだ。そして、チーム状態が悪いほど、審判の判定が気になる。試合後にサポーターが、VARと交信中なのかすら分かりにくい清水主審への嘆きでタイムラインを埋めるのは理解できる。ただ、本当にチーム状態が悪いと、試合後どころか、試合開始直後の時間帯でも判定を巡って選手が主審を囲んでしまったりする。この試合が、まさにそうだった。あの時点で、この試合は苦戦が予想された。残念ながら、声を出せない試合環境では、それをサポーターがピッチ上に伝える術はない。ただ、拍手と手拍子で選手を後押しするしかない。誰もが、懸命に手を叩いた。

ミスを恐れてプレーが正直になっている。あっと驚くような展開が少ない直線的な試合だった。最後の10分がアグレッシブに見えたのは、渡邉と岩田が高い位置でプレーして、局面で数的優位を作ったからだ。80分過ぎまでの横浜F・マリノスには、そのような力強さが感じられなかったし、何をしてもボールを奪われずに前へ運べると感じさせるような太々しさにも欠けていた。監督にも、目の前の勝利への焦りが感じられ、前半で脚を痛めている仲川を使い続けてしまった。その結果、無駄なファールから失点してしまう。

それでも、この試合の終了後にアウェイスタンドから精一杯の拍手を選手に贈ったのは、最後の10分間の勇猛果敢な攻撃に可能性を感じたからだろう。この挑戦は、もう一度トリコロールが浮上するきっかけになったかもしれない。本気を出して人数をかけて戦った、あの時間は、FC東京の反撃を許さなかった。この強度を、できるだけ長時間に維持できれば、勝利を掴めるはずだ。

次は湘南ベルマーレ戦。川崎フロンターレを下した厄介な相手だ。そして、真正面から叩きがいのある相手だ。久しぶりの勝利は、水曜日までお預けだが、その試合はすぐにやってくる。