Jリーグ2階の目線2023 横浜F・マリノス2-1川崎フロンターレ 我々は挑戦者だが川崎はトリコロールを恐れていた

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Jリーグは30周年の開幕を迎えた。30年前の1993年5月15日に開幕カードの名誉を預かったのは横浜マリノスだった。2強クラブの一角だったからだ。そして、今も変わらない。トリコロールは2023年2月17日も2強クラブの一角として開幕カードで戦うことを指名された。

横浜F・マリノス×川崎フロンターレは、神奈川ダービーという安っぽい名前には相応しくない特別な一戦だ。このカードがY.S.C.C.×SC相模原や湘南ベルマーレ×FC町田ゼルビアと同格だと考えている人は、あまり多くないはずだ。近年は、常に優勝争いを左右する対戦となってきた。そして、日本で最もハイレベルなプレーが約束されている。Jリーグ30年間のうち、直近の10年間を見れば、最強クラブが川崎フロンターレであることは誰もが認めるはずだ。トリコロールはディフェンディングチャンピオンであるが、川崎フロンターレに対しては挑戦する立場であることに変わりはない。トリコロールは勝つために等々力に乗り込んだ。

幸い、この試合は浦和戦ではないので、試合前にゲストを迎えたセレモニーを実施することができた。来場したのは天童よしみさん。そのマイク・パフォーマンスは彼らの立場を反映していた。

「ダービーは負けたらあかーん、負けたらあかーん!」

彼らは負けることを恐れていた。

あっけなく先制点を奪う。負けることを恐れた川崎フロンターレに、さらにトリコロールの戦士たちが恐怖の追い討ちをかけたからだ。昨シーズンよりも、一対一の守備に迫力がある。集団で囲むより以前に、まず、個人がファールギリギリまでアタックする守備を徹底している。驚きのスピードでボール保持者の足元に突っ込む。身体をぶつける。パスコースを切る。その繰り返しが、パスミスを生み西村の得点を呼び込んだ。

そして、迫力といえば、今シーズン2試合目となったことで、声出し応援の迫力も増した。手のひらが痛くなるまで手拍子をした。大切な一戦で気がはやることなく、慎重にリズムを刻んで太鼓が叩かれた。そのため、アウェイの環境ながら、いつも通りの雰囲気が生まれた。対する川崎フロンターレのサポーターは、まだ100%声出しのやり方に体が戻っていないのか、声はコアゾーンからしか聞こえてこないし、手拍子もバックスタンドはまばらだった。だから、ホームの圧力を感じにくかった。

ポゼッションは劣ったもののセットプレーで追加点。終盤には焦る相手を退場に追い込んだ。これは強いクラブの勝ち方だ。トリコロールのポジション争いは、今シーズンも激しい。途中出場した直後のマルコス・ジュニオールの守備の追い込みはその象徴で、絶対にシミッチにパスを出させない強い意志を感じた。井上も一挙手一投足にやる気を見せた。渡辺の走りは攻守にチームメイトを助けた。隙がなかった。

連覇に向け、素晴らしい白星スタートとなった。だが、油断はできない。選手の新しい配置に挑戦した川崎フロンターレは、これからやり方が洗練していくだろう。最後まで優勝を争うに違いない。願わくは、ジェジエウ不在の苦しい布陣で、次節に鹿島アントラーズに負けた上に、岩政監督に少し自信をつけさせてあげると嬉しいのだが、そう簡単に希望通りとはいかないだろう。

戦いは始まった。最終節まで緊張と興奮の週末が続く。明けましておめでとうJ30。30年の節目のシーズンに、鹿島アントラーズを追い抜く21個目のタイトルを獲得しよう。笑って今シーズンを終えるのは、私たちトリコロールだ。