2013年 Jリーグ2階の目線 横浜1-1C大阪(日産)


試合後、選手たちがゴール前へ。半分程度のボリュームだろうか、ブーイングが起きる。この試合に対する反応は、人それぞれで様々だ。第三者として眺めていれば、どんなに面白い引き分けゲームだっただろうか。首位でいるが故にブーイングが起こることを少しばかり恨む。素晴らしい試合だった。しかし、悔しい。勝てなかったことが悔しい。後半は圧倒していた。勝って当然の内容だった。柿谷を押さえ込んだ。けれども勝てなかったのだ。それでも、やはり気持ちは踊った。試合後に、スタジアム前で記念撮影をするセレッソのギャルサポーターの背景に旗を広げて収まった。落ち込んでいたら出来ない行為だ。やはり、この試合は「勝てる試合を勝てずに悔しかった。でも、見せ場がたくさんで楽しかった。」と総括せざるを得ない。

柿谷に対する厳重な警戒。いつもは栗原と中澤の距離は広い。しかし、この試合は狭い。追っかけっこでは勝てない。2人で挟み込んで守りたい。その狙いは的中した。ゴールに向かって一直線のピンチは、あのゴールキックからのカウンターアタックのプレーだけだった。深めの守備のブロックからカウンターを狙う。さすがはリーグ最少失点のクラブだ。攻めに枚数をかけてこない安全策だ。しかし、その安全策が通用しない。両サイドを奈良輪とドゥトラが圧倒し、柿谷は孤立した。シンプリシオがベンチに下がると、柿谷の孤立は更に進んだ。栗原、中澤、富澤の3人が、この試合を制した。そして、心配された「小林感」の不足は、まったく気にならなかった。

それゆえに、あの失点は、あまりにも残念。スタジアムが静まるまさかのミス。だが、その落ちたムードを一気に盛り返すのは、やはりゴール。そして、その時間は早い。僅かに失点から3分後の出来事。

「持っていけ!」

「ディフェンスが下がったぞ!!」

「いける!!」

とはいっても、そこからシュートを撃ってくるとは、多くのサポーターも予測しなかっただろう。「撃て!」という声も、ほとんど上がっていない。しかし、そんな意外な早いタイミングでドゥトラは撃つ。その瞬間、固唾を飲んだ。シュートの軌跡を見送る。そして、ゴールネットが揺れると、ほんの一瞬だけ、目の前の出来事を周囲の反応を気にして・・・それは、ほんの一瞬。僅かに1/100秒くらいだったのかもしれない。だが、なぜか、確認をした。キム・ジンヒョンが一歩も動けず見送ったシュートは、本当にゴールネットに突き刺さったのか!?一瞬の躊躇。それほど信じられない弾道が同点ゴールとなった。

「うぉおおおおお!!」

「すげぇーーー!!」

「なんだーーーー!!」

絶叫が天井にこだまし、スタンドが揺れる。美しく力強い40歳のレーザービーム。びっしりと詰まった2階席の拍手、手拍子のボリュームが一挙に増す。こんなスタンドを待っていた!

ボールを奪って速攻を狙うセレッソ、パスを繋ぎながら崩しにかかるトリコロール。双方の狙いがハッキリとわかる。持ち味を活かしながらスイングする試合に、なんども大歓声が沸く。そしてスリリング。せっかくの同点打。流れは悪くない。前半、アディショナルタイム。ここで失点をするわけにはいかない。カウンターを受けそうなピンチ到来。

「西村さん!終わり!終わり!」

「もう前半終了!」

「終わって!!」

「西村さん、笛吹いてー!」

しかし、ピンチを凌いでボールを奪う。声は一変する。

「行け!!」

「シュートまで行け!!」

ゴールまでは奪えずにコーナーキックに。

「まだ時間はあるぞ!」

「西村さん、まだ!まだ!」

「まだ吹かないでー!!」

想いは届かず、ここでアディショナルタイムは終了。前半が終わり、コーナーキックのチャンスは幻に。

「なんだよー、もうワンプレーやらせろよ。吹くなよ、バカヤロー!」

 

後半開始早々の大ピンチ。榎本がボールを搔き出し、栗原がかかとでクリア。後半最大のピンチを凌ぐ。ここから後は、怒濤の攻めとなる。中村大先生を、やや後ろのポジションに置いて、右に左にパスを振り回す。富澤が効いている。跳ね返されても何度も繰り返す。左サイドのパス交換が停滞すると、ボールは右へ。不安視されていた奈良輪だが、むしろ、左よりもチャレンジ精神が旺盛でスタンドを沸かせる。

35,000人のスタンドは、大きな力となる。手拍子の大きさは20,000人とは比べ物にならない大きさだ。見た目にも、ホーム側の自由席は埋まって見える。美しい。さらにサポーターのテンションが高まる。柿谷目当てで来場された親子連れにとって、これは貴重な体験となっただろう。Jリーグは面白い!!

9月の連休初日、日産スタジアムでの代表戦直後のゲーム、セレッソに多数在籍する日本代表選手などなど、好条件が重なって、素晴らしいゲームとなる。もちろん、その最大の要因は、全力でプレーする選手たちのチャレンジ。もし、私たちが首位ではなければ「サッカーは勝ち負けではない」と断言できたほどの内容。勝てなかったのは残念だ。だが、実のある収穫の秋がスタートしたともいえる。

「その割には暑すぎるだろ!」

 

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一部のスタジアムでは、ポストシーズン制採用に反対する横断幕が掲出されたという。この日のセレッソ側ゴール裏にも横断幕が掲出されていた。しかし、試合後に私たちのゴール裏に掲出されたのは、芝の管理に感謝する横断幕だった。Jリーグができて20年。この世の中にプロサッカーリーグがあることが当たり前の世代も増えてきた。しかし、私たちは、ずっと大切にしている。この国にプロサッカーリーグがあることを。そして、スポーツで社会をよりよいものにしていく力を。そして、この素晴らしいプロサッカーリーグを守っていく必要性を。このJリーグに関わる全ての人たちへからの思いやりと愛を感じながら、この先もJリーグを見つめていきたい。そして、20年目の今年こそタイトルを奪取したい。

 

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