2013年 ナビスコカップ2階の目線 横浜3-0磐田(ホーム)

Pocket

Jリーグが出来て、新たに創造された価値ってなんだろう?スポーツによる地域活性、公共財としてのスポーツの位置づけ、などなど、様々な新しい価値を日本社会に生み出してきた。この20年間、右肩上がりのバブルは崩壊し、日本再生を目指す中で、Jリーグの誕生によって、スポーツの位置づけは大きく変わった。そんな中でも「毎週末にスタジアムにさえ来れば仲間がいる」というサポーターライフを生み出したことは、間違えなく大きな新しい価値だと言える。もしJリーグがなかった、いま、どのような週末をおくっていたのだろう。

20年前のこの日、Jリーグは生まれた。あの日、私は国立競技場にいた。沢山の仲間と一緒に隊列を組んでスタジアムに入った。そして、この日、隣の席には、その仲間の1人がいる。あれから、ずっと週末は20年間も一緒に過ごしている。あの日、一緒にはいなかったけれど、仲間は広がった。同じときを共有できる友達は、何十倍にも、何千倍にも増えた。Jリーグは私の全てを変えた。

斎藤のサイドアタック、藤田の積極性、大先生のテクニック、ファビオのドリブル・・・歓声を上げ、言葉を交わし、ゴールで固く握手をする。ゴール裏からは20年前の代表的なチャントである「We are Marinos」が歌われる。ゴール裏の権力争いに翻弄され、何度もバージョン変更を余儀なくされてきたチャントが、20年後にオリジナルの歌詞で歌わている。

あの日、私たちの夢が現実化した。そして、更に大きな夢に向かって走り出した。その足取りは着実に前に進んできた。止まらない。五輪出場、ワールドカップ出場。女子は世界一にまでなった。そして、このスタンドでの生活。いつもは何も感じないくらいの日常だ。でも、こうして節目を迎えると、この日常が自分に与えられていることに驚く。そして感謝する。得点は3-0。後半は危なげのない完勝ペース。残り時間は僅か。普通であれば、早くし合い終了のホイッスルを吹いてほしい。でも、この日は、ホイッスルが鳴らずに、いつまでも試合のままで仲間と一緒にこのときをおくり続けたいと思った。

Jリーグ、ありがとう。20年間。