松田直樹の永久欠番に想う

松田直樹の背番号3が永久欠番になる。

横浜F・マリノスでは、松田直樹選手の逝去に伴い、同選手の横浜F・マリノス、日本代表、そして日本サッカー界への多大なる貢献への敬意と謝意、さらには松田直樹という偉大な選手への心からの追悼の証として、横浜F・マリノス在籍時に使用していた背番号「3」を永久欠番とすることを決定致しました。ここに謹んでご報告させて頂きます。

オフィシャルサイトで発表された。今回の決定に対して賛否両論が沸き起こっている。その理由も様々。いずれが正しいということはなく、サポーターであれば感情的に語るのも当然のことといえる。

しかし、クラブは冷静に物事を判断すべきではないのか。50年後、「松田直樹の背番号3は永久欠番で、木村和司、井原正巳は永久欠番ではない」理由を、今の3世代後のクラブ職員は説明できるのだろうか。仮に、あなたがクラブ職員になったとき、その理由を明確に説明できるだろうか。そして、冷静に功績をたたえる手段を検討したときに、永久欠番以外に故人の功績を後世に伝える方法はなかったのだろうか。

以前、クラブの中では、マリノスタウンのクラブハウスの屋上にメモリアルスペースを設けようと私案をまとめていた人がいる。Jリーグ全クラブの中でも群を抜いて素晴らしい練習施設を保有しているクラブならではの方法の検討の余地はいくらでもあったに違いない。たとえば、日本サッカー協会には「日本サッカー殿堂」というスペースがある。そこにで、大正~昭和初期に日本サッカー界に画期的な技術的進歩をもたらしたビルマ(現ミャンマー)出身の留学生Kyaw Din(チョー・ディン)氏も、その名を刻んでいる。私たちが生まれる前にサッカー界に功績を残した人物の偉業をも伝えることが出来ている。けっして永久欠番だけが故人の功績を後世に伝える方法ではない。

今回、永久欠番ありきで検討が進み「今期は欠番」だったはずの背番号3を今期のうちに、いや、訃報から1ヶ月も経たないうちに永久欠番としたことは、クラブの冷静さを欠いた感情的な決定だったのではないかと思う。たいへん、残念だ。

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