いよいよ決勝戦。
決勝戦を前にして香川の怪我離脱が報じられます。
これは困る。
対戦するオーストラリアはおそらくガッチリゴール前を固めるロングボールチーム。
香川のワンツーのような突破が効く筈です。
それでも不思議と
負ける気がしません!
我らが日本代表は、
「もうダメだ」と思った瞬間から、
何度もミラクルを起こしてきました。
日替わりヒーロー、しかも交代選手。
誰が出ても、その選手が活躍するような気がします。
決勝を前にして、
冷静に日本代表を分析してみます。
今大会、絶好調なのが、長友と岡崎。
右サイドの内田が攻守にわたって精彩を欠いているので、
この2人の運動量が生命線です。
一方で動きに不満があるのが遠藤。
厳しい相手になると、どうしてもセーフティに動いてしまうのか、
ファーストチョイスがバックパスか横パスになって、推進力が失われます。シュートしないのも不満です。
両サイドのスプリントを無駄にしてしまうことが多いのです。
本田が持ちすぎるのは良し悪しで、上手くためが作れてひきつけて良いパスが出れば、
韓国戦の前田のゴールのようになるけれど、持ちすぎているところを狙われています。
出切るだけゴールの近くで本田にボールを預けたいところです。
交代選手の数は多いけれど、
実はチョイスが少ない、というのがザックジャパンの弱点。
サイドの選手に代わりがいませんし、FWの選手も前田、岡崎と比べると見劣りします。
交代選手が活躍する割には、ジョーカー的な動きになっているとは言い難いのです。
守備の選手を入れて、本田を一列上げる、というような交代ぐらいしかカードがないのが、
交代が遅くて少ない理由だと思います。
自宅を出る前に、William Hillというブックメーカーのサイトをチェックしました。
オッズは全くの互角、日本勝利2.75倍、90分引分3倍、AUS勝利2.75倍。
得点別でも、日本1-0勝利と0-0引分けが6.5倍、ついでAUS1-0勝利と1-1引分けが7倍です。
得点者オッズでは、日本側では前田3.5倍、本田4倍、AUS側ではケーヒル3.5倍、キューウェル4倍とこちらも全くの互角です。
さて、
試合です。
決勝戦は唯一4万人収容できるKhalifaです。
「シリア狩り」 のアシシ さんのツイートから、前日のプレスセッションでは、
自由に席を移動して応援できるらしい、と聞いていましたが、
ここはカタール、何があるか分かりません。
毎年11月に一流国を呼んでフレンドリーマッチをやるのですが、
2009年のBRA vs ENGでも、2010年のBRA vs ARGでも、
チケットはあるのに、入場制限されて入れない、というようなことがあったように、
ここカタールでは何があるか分かりません。
念のために、アシシさんに、日本人会は共同購入しているからある程度席がまとまっていることを連絡して、
試合開始の3時間前、15時に会場入りすることにしました。
Khalifaは、Villagioというショッピングモールの隣にあります。
さすがに3時間前だとガラガラです。
でも写真には写ってはいませんが、左側のゴール裏には、動員されたと思われる団体が日本の旗を持っています。
双眼鏡で見てみると、フィリピン人かインド人のように見えます。
自由席のはずなのに、
会場のセキュリティは指定されたところに座れ、と言います。
前日のプレスカンファレンスで自由席になったはずだろ、と言っても聞く耳を持ちません。
今考えれば、
この瞬間からサポーターも闘っていたのです!(笑
日本人会は共同購入していますから、ある程度まとまって座ることが出来ます。
アシシさんともスタジアムで合流して、
じゃあ、この日本人会のいるバクスタ左コーナーポスト付近に応援団も集まるようにしましょう、
ということにします。
早く入場したので、共同通信社の人が、とりあえず写真を撮りましょう、と写真を撮ってくれました。
(ちゃんと記事になっていました。嬉しい!)
(ものすごく水撒いてます。パスサッカーの日本にとっては有利?)
キックオフの1時間前になると、もう7割がた埋まってきました。
(こんなプラカードを持っているインド人もいます。誰に頼まれたのでしょうかw)
(キャラクターの向こうの観客席の混み具合に注目ください)
(試合前には、高知からやってきた「ほにや」というよさこいグループが演技しました。隣にいるのはアボリジニ?)
17時15分ごろから、
何となくジリジリと移動して、コールリーダーのところに集まってきました。
カメラマンも増えてきます。
みんな思い思いのゲーフラを掲げます。
僕はシリア戦の後に、後ろの席の人にもらった日の丸を、
妻は「頑張れ日本!」と書いてあるゲーフラを掲げます。
しばらくしたら、
警備員が、僕らのゲーフラを取上げに来ます。
英語かアラビア語で書かれていないものは全て取上げるつもりのようです。
妻も取上げられました。
「僕たちは、シンジてる」のゲーフラを掲げたアシシさんは、
取上げられないように、no problemとかゴニョゴニョ言いながら逃げ切ります。
(うまいなあ・・・
17時半ごろ、後からやってきたオージーが、
「ここは俺の席だからどけ」、と応援団のグループの真ん中に座ろうとします。
みんな集まっているんだし、ここよりも別のところがいいと思うよ、
と話しても、「ここがオレの席だ、どけ」の一点張り。
確かに彼らに理がありますし、警備員は最初から指定席だと言って譲りませんでしたから、
僕らはポジション争いに負けて、別のところに移動を余儀なくされます。
さらにこの頃、
スタジアムの外ではゲートが締め切られて、
チケットがあっても入場できない、という事態になっていたようです。
確かにスタジアムは超満員。
4万人収容のところに、37000人も入っていて、
後日談ですが、しかも外に5000人とも1万人も言われる人が入れなかったと聞きました。
(Gulf Timesの新聞記事では700名だとか)
このようにスタジアムのいろいろなところで僕らも闘いながらキックオフを迎えました。
(ベンチには怪我で帰国した選手達のユニが掲げられています)
スタメンは、香川に代わって、藤本が入りました。
川島
内田 マヤ 今野 長友
遠藤 長谷部
藤本 本田 岡崎
前田
審判はウズベキスタンのイルマトフさんが勤めます。
現時点で西村さんと並ぶアジア最高の審判。
この人ならば不満はないでしょう。
ファーストファール、ファーストカードが焦点になります。
これまで日本はレッドカードとPKに苦しめられてきたから、
イルマトフさんの笛の基準をまずチェックしなければ、
パク・チソンを倒して与えたPKのようなことを繰り返してしまいます。
試合は、
終始、AUSの優勢で進みます。
噂とは異なり、中盤のプレスがきついため、
日本チームはほとんど前に向けません。
遠藤のところでパスカットされ、そこからロングボールを入れられます。
内田は今日も良くありません。
攻撃参加しても、クロスは手前のDFに止めらるか、ワロスになってファーでタッチを出ます。
守備のポジショニングも相変わらずです。
AUSの攻撃には厚みがあります。
中盤からパスが出る、フィジカルで強いキューウェルかケーヒルがキープして二列目がサイドに流れて、
連動した動きで崩してきます。
幸い、最後のところでDFが身体を張って得点は許しません。
ロングボール、FK、CKは全てピンチです。
ヘディングで競り勝つことは無理で、
何とか身体を入れて自由にさせないようにしますが、韓国戦の失点のように、こぼれ球のケアまでは出来ません。
いいところにこぼれてしまったら、即失点です。
岡崎と前田が前線から守備をしなければなりません。
DFラインからでもロングボールを入れられてしまえば、それは即ピンチだからです。
イルマトフさんは、
ビックリするほど笛を吹かず、
カードも全く出ません。
プレーを出切るだけ止めず、AUSの明らかなハンドも見逃します。
AUSの攻撃が激しさを増します。
何度も突破されて、枠を捉えられ、抜け出されて川島と1対1の場面になります。
でも失点しません。
韓国戦の余韻なのか、川島がまさに鬼人のように立ちはだかり、
失点を許しません。
まさに守護神!
しかし、
いつ失点してもおかしくありません。
そして、失点した瞬間、きっと一気に3点ぐらい入れられそうな試合展開です。
日本の攻撃は、左サイドが中心です。
内田が不調、さらに藤本も機能しない、ということで、岡崎が左に流れて長友と二人で崩していきます。
岡崎の惜しいシュートもありましたが、枠の僅かに右側、捉えられません。
マッチアップしている8番のSB、攻撃は素晴らしいのに守備があまりに軽いので、
何度も長友がサイドを切り裂きます。
ザッケローニが早めにカードを切ります。
機能していなかった藤本を後半11分に下げ、岩政を入れます。
ロングボールに強い岩政を入れて、
今野を左SBにして、長友を一列上げて、遠藤がバランスを取ります。
いい交代です。
これで、長友がさらに攻撃的になります。
岡崎と長友、本田の運動量が目立ちます。
最前線から守備をして、日本ボールになれば3人で全力疾走して、
何とか崩そうとします。
支配するAUSに対して、日本は速攻でしか攻め手がなくなります。
そして、
後半30分ごろから岡崎がガス欠になります。
DFラインの後ろのオフサイドポジションから走って戻って来れなくなります。
それでもザッケローニはまだ手を打ちません。
あっという間に90分が終了し、
延長戦に突入します。
(円陣を組んで延長戦に向かいます)
日本の攻め手はありません。
岡崎はクタクタ。長友も歩いています。本田が前線でキープしても、誰もフォローにいけません。
何度もロングボールが入り、その都度に悲鳴が上がります。
延長前半で前田に代えて、李忠成を入れます。
フレッシュな忠成が、岡崎や長友の分も走れよ、
と思うのに、中途半端なポジショニングを取って、まったく守備をしません。
それもFWの駆け引きだ、というのは頭では分かっていても、
あの岡崎の頑張りを見ていたら、
今はクリアボールを本田に当てるぐらいしか攻め手がないのだから、
オフサイドポジションをちんたら歩くんじゃなくて、
せめて相手のDFラインからのロングボールを防ぐようなスペースを埋める動きぐらいしろよ、
と腹が立ってきて、思わず、
「チュンソン、手を抜かずに一生懸命走れよ」
と叫んでしまいました。
そして、その直後に、遠藤からゆっくりとしたパスが長友に。
長友のスプリントで8番は軽く交わされ楽々センタリングします。
ニアに岡崎、岡崎に3人ついているために、真ん中の忠成がフリーです。
あー、ドフリー!!!決めろ!!!
まるでアニメのようなボレーシュートを忠成が決めます。
伊野波のときもそうでした。
僕がネガティブに叫ぶとその選手が点を取ります(笑
あとで映像を見てみたら、
あの瞬間だけ、集中力を切らしたかのように、3番がフラーっと忠成のマークから外れてしまいます。
彼は何もせず待っていただけ。
3番にしてみれば、悔いても悔やみきれないミスでしょう。
それでもリードしているのは我々です。
残り時間はまだ10分。
ロスタイムもあるかもしれません。
前の列のサポーターは、
もう勝った、勝ったと安心していますが、韓国戦を見ていた僕らはそんな安心が出来ません。
集中!集中!最後まで油断するな!
と、僕は声をからします。
最後の最後、ロスタイムで、
岡崎がPAのすぐ外でハンドをとられます。
えー、今まで全然ハンドなんてとらなかったのに、厳しすぎるよ、
と不満をもらしますが、
なんとかここをしのぎきってタイムアップ、
日本が優勝しました。
(試合直後の様子です)
(長友が香川のユニフォームを持っています)
(いい光景です)
そして、表彰式が始まりました。
紙ふぶきが舞い、
花火が盛大に上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=uAcZqYjhRnk
(動画もご覧ください)
選手達もアジアカップをもってやってきます。
嬉しい瞬間です。
(本田が他の選手より先に挨拶に来ます。もしかしたらみんなより先にスタジアムを離れて、モスクワに向かうのかな?)
(選手が次々と看板を乗り越えてサポーターの近くまでやってきます)
(長谷部はアジアカップをサポーターに渡そうとしましたが、観客席との間に溝があって断念。でもその気持ちが嬉しい!)
(ザッケローニがアジアカップを掲げます)
(ザッケローニにとっては生まれて始めての胴上げ?)
声がかれ、
膝も腰もお腹もクタクタに疲れて痛くなりながら、
スタンドで、
この幸運をかみ締めていました。
仕事でドーハに赴任して、
その地で偶然アジアカップが開催され、
こんなミラクルな勝ち方で、日本が優勝する。
毎試合、毎試合、本当にシビレる試合ばかりで、
2試合分ぐらい応援したように疲れる。
最後まであきらめないこと、
誰もが普通に言うけれど、なかなか実行できないことを、
僕らの目の前で見せてもらって、
こんな幸運、もう一生ないのじゃないか、
そして、僕はこの場所で日本の優勝の瞬間を目の当たりにしたことを、
一生誇れるんじゃないか、と
感謝の気持ちと達成感で一杯になりました。
ありがとう
って言葉じゃ足りないけれど、
この言葉しか出てきませんでした。
煌々と輝く夜のスタジアムが、
いつまでも僕らの幸運を祝福していました。